ならまちにある十輪院、旧元興寺の子院の一つといわれ、吉備真備の子、朝野宿禰魚養の開基と伝えられる。本堂は鎌倉時代の建築として国宝に指定されており、本堂に安置されている地蔵菩薩立像を中心とした石仏龕が非常に珍しい。
今回、ここに来た目的は、境内の隅にある朝野宿禰魚養のお墓と伝えられる魚養塚の巡検である。朝野宿禰魚養は、奈良時代の後期から平安時代初期にかけて実在した官人で、非常に能書家であったと伝わる。ただ、吉備真備の子であるかどうかは正直不明である。
魚養塚は、十輪院の狭い境内の隅っこに、人知れず存在している。
魚養塚を眺めてみると、一見、古墳の横穴式石室のように見える。入り口が狭すぎて、中には当然入ることができないので、カメラを奥に突っ込んで撮影を試みた。
奥壁に仏さまが刻まれている。側壁等には彫刻等、特に何もなさそうである。
この塚自体は、北向きに開口(通常は南向き)しており。横穴式石室のように、羨道と玄室の組み合わせになっていない。古墳のように見えるがどうも違うように感じる。
どうだろうか?
十輪院のお寺は、春の陽ざしを浴びて、非常に落ち着いた感じの気持ちのいい雰囲気が漂っており、猫の額ほどの境内には、庭もあり、奥にはハナミズキが白い花を咲かせていた。
十輪院から東へ、だらだらとした坂を上っていって、国道に出て南下すると、奈良教育大学があり、この構内にある吉備真備の墓と伝えられる吉備塚古墳がある。その途中に頭塔があったので、写真に収めておいた。隣接していたホテルが取り壊しになったのでその姿がよく見える。この景観がいつまで続くだろうか・・・。
ちなみに、この頭塔の下にも、横穴式石室を持つ古墳が眠っているらしい。
吉備塚古墳は、奈良時代の官人、吉備真備の墓と伝わる直径20mほどの円墳で、発掘調査の結果、木棺直葬で二か所埋葬施設が検出されており、出土品としては画文帯神獣や太刀などが見つかっている。
なお、出土品については、同大学の教育資料館で展示されているそうだ。こうなると奈良時代の人物、吉備真備の墓ではなさそうである。
奈良教育大学の構内に入るのは今回が初めて、キャンパスがかなり広いのにびっくり
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