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アメフト観戦記や読書日記を綴っていましたが、最近は古墳(コフ)ニストとして覚醒中!横穴式石室をもつ古墳にハマっています。

どくとるマンボウ回想記

2007-10-20 22:26:53 | 読書日記
 どくとるマンボウ回想記
  北 杜夫著 日本経済新聞社

 私がおそらく初めて文庫本を買ったのは、北杜夫「どくとるマンボウ追想記」だったと思う。兄が北杜夫のファンで少なからず本棚に北杜夫の本が並んでいたことから興味を持ったのだと思う。その当時、気管支喘息がひどく、体も小さかったため、体力的に自信をなくしていた自分の気分にぴったりと合っていたのだと思う。
(まさか、そこから遅ればせながら体が大きくなり、クラスでも真ん中らへんまで背が伸びるとは思いも寄りませんでした。)本流から少し離れて、一人ごちるところや自然への崇敬といった北氏の世界は、私自身の共感を持つものだった。
 その後「どくとるマンボウ航海記」や「幽霊」といったエッセイや小説はいまでもその冒頭は覚えている。「どくとるマンボウ航海記」では、マダガスカル島には、アタオコロイノナという神様みたいなものがいるが、これは土人の言葉で「何だか変てこりんなもの」というくらいの意味のものである。」とか「幽霊」の「人は何故追憶を語るのだろうか」といったものである。「幽霊」にいたってはその後しばらく影響から抜けられなかった記憶がある。当時の私はそういった言葉を純粋に受け入れる繊細を持っていたのである。今では想像もつかない。
 本書は、日本経済新聞の「私の履歴書」として連載したものに加筆修正したものである。内容的には前述の「どくとるマンボウ追想記」「どくとるマンボウ青春記」「どくとるマンボウ航海記」「どくとるマンボウ医局記」といったものと重なるところが多い。
 簡単に言えば、上記の本のダイジェスト版ともいえるかも知れない。ただ私のような読者にとっては、当時北杜夫の本を乱読しまくっていた時代を懐かしく思い出される。そしてここから私の読書生活は始まったといえるのではないか。
 本書の中にも様々な作家の交遊が描かれているが、その作家を元に、読書の幅を広げていった様な気がする。遠藤周作や阿川弘之などなど。文庫本の解説からでは井上ひさしというのもあったなあ。しかしほとんどの作家も既に鬼籍に入られている。月日は確実に経っているのである。
 あの頃から20年すっかりおじさんになってしまった。いろいろなことがあったけど、茫洋な海の中、マンボウのように漂いながらも、まだまだ知りたい事や楽しみな事がいっぱいあるんですよ。
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