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アメフト観戦記や読書日記を綴っていましたが、最近は古墳(コフ)ニストとして覚醒中!横穴式石室をもつ古墳にハマっています。

シェイクスピアを楽しむために

2015-01-26 00:14:52 | 読書日記
「シェイクスピアを楽しむために」
 阿刀田 高著 新潮文庫

 ご存知阿刀田高の教養エッセイの一冊である。僕自身、このシリーズを読むのは、「ギリシャ神話を知っていますか」「ホメロスを楽しむために」についで3冊目になる。
 これまで、シェイクスピアについては、意外と読んだことがなく、かかわりといえば、高校の文化祭のクラスの出し物で「ハムレット」で父王の幽霊役をやらされたぐらいである。正直、自分のアイデンティティがズタズタになるぐらいのひどい出来だったような気がする。これがトラウマになったのか、それ以来30年シェイクスピアの作品を一切読むことなく現在に至っている次第である。
 本書では、シェイクスピアの生没年を1564~1616をひとごろしイロイロと覚えるとのこと。なるほどと思うのと同時に1564年というと、織田信長が桶狭間の戦いで今川義元を破ったのが、1560年だから、日本では戦国時代の最終章に入るぐらいの時である。そして1616年は、大坂夏の陣の翌年という訳で徳川幕府の基盤が固まったころである。
 シェイクスピアの生涯に、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康の活躍期がすっぽりと収まるということになる。そう思うと凄いことだよね。未だに読み継がれているのだから。
 そして、誕生日と命日が一緒なんだそうだ。確か坂本龍馬も誕生日と命日が一緒だったような気がする。分野は違えどどちらも大天才ではある。

 本書の中で取り上げられている作品は、11作品。
 「ハムレット」「オセロ」「マクベス」「リア王」といった四大悲劇はもちろんのこと、「ロミオとジュリエット」や「ジュリアス・シーザー」、「ベニスの商人」、そして「ヘンリー6世」「リチャード3世」などの史劇が取り上げられている。すごいなあ。これだけでも凄いのにまだまだ取り上げられていない有名どころの作品もあります。
 シェイクスピアの作品を読んでみて感じるのは、有名な台詞が多いところ。戯曲だから、当然といえば当然ではあるのだが、グッとくる台詞が我々を捉えて離さないところがあるような気がする。「生きるべきが死ぬべきか、それが問題だ」「弱きもの、汝の名は女なり」などなど。「シェイクスピア名言集」という本もあったりする。
 
 ただ、読んでいてこの話知ってるぞと思うのも多い。黒沢明監督の「乱」のようにシェイクスピアの「リア王」を下敷きにしている作品も多いからだろうか。そういった意味では、割と手塚治虫氏の漫画から得ている情報もあるかもしれない。例えば「バンパイア」は、主人公の間久部緑郎が、3人の魔女から予言を受けるところから始まる。この辺りはマクベスの予言と一緒である。間久部という名前も、マクベスからきてそうだ。間久部の最後も、マクベス同様に、人間以外のものにやられるという魔女の予言がバンパイヤにやられるということで当たってしまうことになる。
 実は、手塚治虫の漫画を読んでいると、シェイクスピアの作品を元にしているなあというのがある。「鉄腕アトム」中には、「ロビオとロビエット」というロミオとジュリエットをモチーフにした作品があるし、七色いんこという舞台俳優であり、泥棒でもある人物を主人公にした「七色いんこ」では、「ハムレット」「じゃじゃ馬ならし」「ベニスの商人」「オセロ」の作品を題材にしている。そういえば、「リア王」を題材にした時代劇もあったような気がするのだが、ちょっとわからない。その他にもあるような気がする。
 このような形でいつの間にかシェイクスピアの作品世界に触れているのである。面白いものである。

 そして、阿刀田高氏のこの手の本を読むとつい関連した本が読みたくなってしまう。ということは、入門書としての役割を十分に果たせているということなんだろうなあ。さあ、何から読んでみよう。
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