休日はデジカメ持ってぶらぶらと📷

アメフト観戦記や読書日記を綴っていましたが、最近は古墳(コフ)ニストとして覚醒中!横穴式石室をもつ古墳にハマっています。

平城京歴史館 「奈良と火の鳥 ~手塚治虫が描いたやまと~」

2016-03-09 18:09:29 | 博物館へ行こう
 平城京跡の再建された朱雀門の西脇にある復元された遣唐使船に隣接して平城京歴史館が建っている。平城京歴史館は、平城京遷都1300年祭が行われたときに、平城京の学習施設として、大陸との交流により発展した国造りをテーマに解散した施設である。何度も平城京跡には足を運んでいるのも関わらず一度も中に入ったことはなかった。今回は、手塚治虫がテーマということで、是非とも行かねばと思って予定を立てていたのだが、いろいろとあって延び延びになり、やっと乙津れることができたのは、3月5日、展示が終わる1日前であった。

 漫画の「火の鳥」は、手塚治虫氏のライフワークであり、最高傑作の一つであると僕は思っている。(ちなみに僕のビック3は「ブラックジャック」「火の鳥」「アドルフに告ぐ」である。)その火の鳥が、今回の展示のテーマである。火の鳥は、その鳥の生き血を吸えば永遠の命が得られるといわれる火の鳥を巡って、遥かな古代から未来、地球や宇宙を舞台に壮大なスケールで描かれた大河的漫画である。ここの作品は、独立しているものの、全体を通して生命の本質、人間の業がテーマとなって描かれている。手塚治虫の死により、未完に終わった。黎明編から始まり、未来編、ヤマト編、鳳凰編などがある。

 僕が初めて火の鳥を読んだのは小学生の時で、図書館で黎明編と未来編を読んだ記憶がある。大学生になって、今回の展示の中心になっている鳳凰編を読んでモロにハマり、ちょうどその頃ハードカバー版が角川書店から出版されたところだったので、お年玉をはたいて全巻を一気に買った記憶がある。(ちなみにその本はまだ手元にある。)そういう訳で、今回の展示である。手塚治虫が描いたやまとということで、展示ではやまとが舞台になっている「ヤマト編」「鳳凰編」の原画が展示されている。「ヤマト編」は、石舞台古墳から得たイメージを物語にしている。おそらく古墳時代の日本を描いている。主人公はヤマトタケルとなっており、熊襲征伐の物語と殉死と埴輪にまつわる物語を下敷きにしている。「鳳凰編」は、奈良時代、東大寺の大仏建立を舞台に物語は描かれている。火の鳥のシリーズの中でも、火の鳥を貫くテーマである輪廻転生、生命の本質、人間の業がはっきりと明確に打ち出されてる作品である。僕が火の鳥の中で№1を挙げろと言われると、迷いなく鳳凰編を挙げることだろう。
 展示では、ヤマト編では、墓づくりに熱を上げる時の大王が、本当に死ぬときの迷い戸惑う場面が取り上げられている。考えてみれば、死は本人の意志とは関係のないところで訪れる。それはいつ訪れるかわからない。極端なことを言えば、本人が死を意識するまでもなく、一気に消滅まで行ってしまうのである。何と不条理なことなのであろうか。大王は、死ぬときにこういう「ばかはしななきゃなおらない。」と。墓づくりだけに熱中しただけの人生をそう総括するのである。ただ、これも現代の我々の眼からみるとそうなのであって、古墳時代の墓づくりについては、その当時の最新技術を集約した一大モニュメントであり、そうとばかりは言えない。

 

 鳳凰編は、主人公の一人、仏師茜丸が夢の中で火の鳥である鳳凰に出会い、その姿を描く場面。もう一人の主人公である我王が、師である良弁の即身仏になる時に立ち会う場面。茜丸と我王が大仏殿の鬼瓦を製作を競う場面。建設中の大仏殿が火災を受け、茜丸が焼死する場面などが選ばれている。そこには、芸術家が作品を作る目的は何なのか?宗教とはいったい何のためにあるのかことが描かれている。

 

 手塚治虫の原画を見ながら、そんなことを考えておりました。

 展示では、手塚治虫が描いた奈良の著名な名所が紹介されている。(そこは観光施設ですね。)

 

 東大寺大仏殿、二月堂、正倉院、平城京朱雀門(ちなみに火の鳥が描かれたときには再建されていない。)新薬師寺などである。ちなみに新薬師寺のこの場所は気付かなかったなあ。何度も行っているのに・・・。

 平城京歴史館では、映像シアター等で、平城京と世界との結びつきをテーマにした「平城京 はじまりの都」と阿部内親王を主人公にしてた大仏建立の背景をテーマにした「安らけし都」が上映されている。なかなか面白かった。阿部内親王というとどうしても弓削道鏡の関係でネガティブなイメージを持っているのだが、ちょっと違う面もあったのだ。考えてみれば、日本の歴史上唯一の女性の皇太子であったのだから、理想や国家への想いといったものもあったに違いないと思う。
 ちなみに、平城京歴史館から出るには、この映像シアターの中を通っていかないといけない。つまり、上映中は外に出れないということだ。ちょっとしたトラップである。
 
 平城京歴史館は、何と今年の6月で閉館になるとのこと。建って6年で閉館って・・・。閉館後は、平城京跡整備計画に従って、改めて別の場所で整備しなおされるということなのかな。何か税金の無駄遣いのような。もう少し長期的な展望を持って作るべきものだったのではと思う。なんか変な感じではある。

 

 この復元遣唐使船はこの場所に残るみたい。

 

 遣唐使船から朱雀門を望む。
 
 

 しかし、この日はもう春が来たのかと思うぐらい気持ちのいい一日であった。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「万葉の旅」をたどる ⑧ ~... | トップ | 赤面山古墳 現地説明会 »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

博物館へ行こう」カテゴリの最新記事