WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

タイム盤ソニー・クラーク・トリオ

2007年03月23日 | 今日の一枚(S-T)

●今日の一枚 144●

Sonny Clark Trio (Time盤)

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 麻薬中毒から心臓発作をおこし、1963年に31歳で死んだピアニスト、ソニー・クラーク。彼のレコードはアメリカではほとんど売れなかったらしい。後藤雅洋『新ジャズの名演・名盤』(講談社現代新書)には、人に聞いた話として、あるアメリカのジャズ関係者が来日した際、日本のジャズ喫茶ではウエイトレスの女の子がソニー・クラークの名前を知っているといって驚いたという話がのっているが、ソニー・クラークは本国アメリカより日本で人気のでたピアニストの代表といえるかもしれない。

 『ソニー・クラーク・トリオ』……、ソニー・クラークには、この同じタイトルの作品が2つある。1957年録音のブルーノート盤と、1959年録音の本作タイム盤だ。ブルーノート盤がスタンダード中心であったのに対して、タイム盤は全曲ソニー・クラークのオリジナル・ナンバーからなる。後藤雅洋氏は前掲書において、ブルーノート盤とタイム盤のどちらを好むかによって、微妙なファンの気質があらわれるとしているが、私としてはどちらかというとタイム盤である。彼独特のブルージーでよく歌うフレージングがより際立っているからである。

ひとつ不満をいえば、録音の古さもあるのだろうが、ピアノの音の明快さに比して、ベースの音がこもっているように聴こえることである。もごもごと口ごもり、肝心なことをはっきりいわないようなベースには、ちょっとフラストレーションがたまる。

BlueNote盤 Sonny Clark Trio