WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

ラバーズ・コンチェルト

2010年04月05日 | 今日の一枚(S-T)

●今日の一枚 248●

Sarah Vaughn

Best Collection

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 サラ・ヴォーンの『ベスト・コレクション』というCDがここにある。今は次男のものだ。株式会社タスクフォースという会社が発売した廉価盤である。定価は2600円とあるが、もっと安く買ったように思う。カーステレオで聴くために、ずっと以前、CDショップではなく、どこかのホームセンターで買ったもので、その後、次男にあげた。有名曲ばかり集めたもので、ちなみに収録曲は次の通りだ。

   1.煙が目にしみる
   2.マイ・ファニー・ヴァレンタイン
   3.スターダスト
   4.オール・オブ・ミー
   5.セプテンバー・ソング
   6.ミスティー
   7.ラバーズ・コンチェルト
   8.酒とバラの日々
   9.イエスタディ
  10.イパネマの娘
  11.ミッシェル
  12.シャレード
  13.ムーン・リバー
  14.ラブ
  15.いそしぎ
  16.誰かが誰かを愛している

 今春、中学生になる次男が、1年ほど前、何かの学校行事でラバーズ・コンチェルトをリコーダーで演奏することになり、毎日家で練習していたので、「その曲を有名な歌手が歌っているのを聞かせてやろうか」ともちかけ聞かせてやると、「お父さん、このCD、ちょうだい」と、めずらしくおねだり………。廉価盤なのでまあいいかと進呈したところ、その日以来、次男は毎日このCDを聞きはじめた。はじめはラバーズ・コンチェルトだけだったが、そのうち他の曲も繰り返し聴くようになり、私がダビングしてあげた同じくサラ・ヴォーンの『サラ・ヴォーン・ウィズ・クリフォード・ブラウン』やマイルス・デイヴィスの『ワーキン』『カインド・オブ・ブルー』なども聴くようになるなど次男の興味はどんどん深みにはまっていった。小学生がJAZZを聴く光景はちょっと奇妙である。

 ところが、学校で放送委員をつとめる次男はさらにエスカレート、自分が担当する毎週火曜日の昼休みの放送で、なんとJAZZを流しはじめたのだ。ヒット曲やアニメソングを欲する小学生たちに不評で迷惑になりはしないかと心配していたのだが、先日の卒業式の際、複数の先生方から「毎週火曜日の放送で素敵な曲がかかるのを本当に楽しみにしていました」というお話をいただいた。肝心の小学生諸君の感想はさだかでないが、先生方からだけでもそういっていただき、ほっと胸をなでおろしたしだいである。 

 ところで次男であるが、最近はインターネットでYou Tube を自由にあやつり、勝手にいろいろな曲(JAZZ)を探しては聴いている。げに恐ろしきは子どもである。

 


The Artistry of…………?

2010年04月05日 | 今日の一枚(A-B)

●今日の一枚 247●

Buddy Defranco

Autumn Leaves

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 モダンクラリネットの最高峰、Mr.クラリネット、バディ・デフランコの1954年録音作品、『枯葉』である。「verveお宝コレクション」の一枚として発売され、最近購入したものだ。バディ・デフランコは、チャーリー・パーカーらのBe Bop革命をいち早くクラリネットに持ち込んだ人として知られている。スウィング期には花形楽器として君臨したクラリネットも、モダン期以降はサックスやトランペットにその座を奪われ、驚くほど少なくなった。哀愁の音色をもつこの楽器も、展開の速いジャズではマッチしにくいということなのだろうか。実際、ちょっと間違えると、日本人の耳には今は懐かしき「ちんどんや」の演奏に聞こえそうである。しかし、バディ・デフランコは、このアルバムでも哀愁の音色はそのままに、はやい展開のイマジネイティブなアドリブををプレイする。時折聞こえる、この楽器特有の穏やかでどこか寂しげで消え入りそうなヴィブラートが心にしみる。② You Go To My Head は出色だ。私の中では、アート・ペッパーのものに匹敵する演奏だ。アルバムタイトル曲の⑤ Autumn Leaves もいい。哀愁の雰囲気全開である。後半のアドリブ展開もよく歌っている。

 ところで、この作品を購入したのはジャケットが気に入ったからなのだが、よく調べてみると、バディ・デフランコには『枯葉』と題するジャケットの違う作品が存在するようだ。1954年8月9日(ロサンジェルス録音)という録音データや、曲目、参加ミュージシャンなどから恐らくは同じ内容のものだと考えられる。ジャケットには美女が写っている。いいジャケットだ。できれば、こちらの方がよかった。どちらが本物なのだろう。よくみると、購入したもののジャケットには「Autumn Leaves」という表記は見られず、かわりに「The Artistry of Buddy Defranco 」と記されている。それに対して、美女のジャケットの方にははっきりと「Autumn Leaves」とある。もしかして、購入したものはオリジナルジャケットではないのでは……? そんなはずはない、「verveお宝コレクション」の一枚である。一体、とちらがオリジナルなのだろうか。?? 

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