WATERCOLORS ~非哲学的断章~

ジャズ・ロック・時評・追憶

アメリカンバンド

2010年04月24日 | 今日の一枚(G-H)

●今日の一枚 261●

Grand Funk

We're An American Band

364

 楽天イーグルスが勝った。3-0。気分がいい。岩隈とダルビッシュのエース対決。本当に息づまるような投手戦だった。夜からは次男につきあってスイミングクラブで泳いだ。先週リタイアした反省を生かして、力をセーブして泳いだ。結構しんどかったが、今日は最後まで泳ぎきった。泳いだ後、次男と回転寿司でおなかを満たし、帰宅。それにしても、夕方聴いたグランドファンクのサウンドが耳から離れない。だめだ。やはり、もっと聴かねばなるまい。

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  グランド・のファンク1973年作品、『アメリカン・バンド』である。このアルバムから、3人編成だったグランド・ファンク・レイルロードにグレイク・フロスト(key) が加わり、バンド名もグランド・ファンクに変わった。プロデューサーがかわったためなのだろう。初期の荒削りな部分は消し去られ、ポップで洗練されたサウンドになっている。ただし、エネルギッシュさはまったくそのままだ。マーク・ファーナーのギターも快調である。A-①~③の流れが大好きだ。特に、③ Creepin' は身体にしみるものがある。「Open eyes, but you're sleepin',You best wake up 'fore tomorrow comes creepin' in.」というところが何ともいえずいい。いつも口ずさんでしまう。今も口ずさんでいる。

 ところで、もう若い人はほとんど誰も知らないが(もちろん、知る必要もないだろうが)、1971年のグランドファンクの来日コンサートは、日本のロック史上のひとつの伝説となっている。このコンサートにもいったという渋谷陽一氏は、次のように書き記している(『ロック~ベスト・アルバム・セレクション』新潮文庫)。

「後楽園球場のコンサートは歴史に残るコンサートで、前座が終わると雷鳴をともなった大夕立がやってきて、聴衆のほとんどはズブ濡れになって彼らの演奏を聴いていた。聴衆はここで乗らなければもう乗れないといった調子で騒ぎ、3万人の聴衆が「ハートブレイカー」を合唱するという異様な光景が展開された。」


ハートブレイカー

2010年04月24日 | 今日の一枚(G-H)

●今日の一枚 260●

Grand Funk Railroad

On Time

639

 押入れで他の探し物をしていて、たまたまあったカセットテープ入れにグランド・ファンクのテープを発見、ちょっと聴いてみると、心はウキウキ、ドキドキだ。もうだめだ。耳から離れない。古いロック、ロックがロックであった時代のロックだ。

 グランド・ファンク・レイルロードの1969年作品『グランド・ファンク・レイルロード登場』、グランドファンクのデビューアルバムである。このアルバムはLPでもっていたはずだが見当たらない。カセットテープもLPからの録音だが、肝心のLPが見つからない。誰かに貸して返ってこなかったのかも知れない。そういうことが何度かあった。学校の卒業か何かでなかなかあえなくなってしまったことが原因だ。実は私も、借りたままのLPがある。いつか返さねばとずっと思っている。

 渋谷陽一氏が記すように(『ロック~ベスト・アルバム・セレクション』)、初期のグランド・ファンク・レイルロードは、「単純な肉体派ハードロックバンドとバカにされてきた」バンドであり、「日本のジャーナリズムでもいろいろとイモバンドだとか、バカバンドとか叩かれた」バンドである。しかし、その人気は圧倒的で、来日時には後楽園球場を満員にし、暴動まで起こした。伝説の「嵐の後楽園コンサート」である。

 世間の酷評にもかかわらず、私は大好きだった。とにかく気持ちいいのだ。先の渋谷氏も前掲書でこう述べる。「私はこのクループが大好きで、なんで皆グランドファンクの事を馬鹿にするのか不思議でならなかった。私は決して彼らの事を上手とは思わない。どちらかといえば下手な部類だろう。しかしそれはそれでいいではないか。」そのとおり、演奏の上手下手と好き嫌いはイコールではないのだ。

 今でも聴けば身体が熱を帯びる。荒削りだが、エネルギッシュで正統的でストレートなサウンドだ。ああ、最高だ。たった3人でこの迫力の音を作り出しているのはすごい。B-② Heartbreaker 、いい曲だ。ギター少年だった私の教科書のひとつだった。ロックギターをおぼえたての私は、マーク・ファーナーのこのストレートなギターを必死にコピーしたものだった。今でも、年に数回、酔っ払ってギターに触れると、このHeartbreaker で指ならしをする。もうほとんど弾かないギターだが、不思議とこの曲に関しては指がおぼえている。