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経団連会長、年頭会見で「国民が反対する原発を無理やり作るのは民主国家ではない」と発言

2019-01-04 23:49:51 | 原発問題/一般
「原発 国民反対ではつくれない」 経団連会長(テレビ朝日)

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 経団連の中西宏明会長は年頭にあたり会見し、今後の原発政策について、国民の反対が強いのに民間企業がつくることはできないとして、理解を進めるために一般公開の議論をすべきだという考えを示しました。

 経団連・中西宏明会長:「お客様が利益を上げられてない商売でベンダー(提供企業)が利益を上げるのは難しい。どうするか真剣に一般公開の討論をするべきだと思う。全員が反対するものをエネルギー業者やベンダーが無理やりつくるということは、この民主国家ではない」

 中西会長は沸騰水型の原発をつくる日立製作所の会長で、震災後8年経っても再稼働していません。こうしたことから、原発を存続させるためには国民的議論が必要だという考えを示したといえます。
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経団連会長の原発発言/政界地獄耳(日刊スポーツ)

★経団連会長・中西宏明は年頭会見で今後の原発政策について「日本のエネルギーの8割は依然、化石燃料で危機的状況にある。コストは高く世界から非難を浴び、再生可能エネルギーは日本には適地が少なく極めて不安定。太陽光も風力も季節性があり、次世代送電網のスマートグリッドも新しい投資が行われていない。打破しなければならない」。

★また「お客様が利益を上げられていない商売でベンダー(提供企業)が利益を上げるのは難しい。一方で、稼働しない原発に巨額の安全対策費がつぎ込まれているが、8年も製品を造っていない工場に存続のための追加対策を取るという経営者として考えられないことを電力会社はやっている。適切な安全対策を最初から織り込んだ原発は発電コストも高くないが、国民が反対するものをつくるには、原発建設の受け入れを前提に、どうするか真剣に一般公開の討論をするべきだと思う。全員が反対するものをエネルギー業者やベンダーが無理やり作るということは、民主国家ではない」と踏み込んだ発言をした。

★確かに中西は日立で英国での原発輸出に失敗したばかり。加えて反原発の機運は高まるばかり。年末には東京電力の旧経営陣3人が強制的に起訴された裁判で3人はいずれも無罪を主張しているものの「最高経営層にもかかわらず、何ら対策を講じなかった責任は極めて重い」と指摘され、3人に禁錮5年の求刑があったばかりだ。経営者として、そして財界として総合的に「間尺(まじゃく)に合わない」と分析をしながら公開討論が必要と問うたのは政権への配慮か。以前聞いた電力関係者の言葉がよみがえる。「技術者たちは安全には自信を持っている。だが信頼・信用が取り戻せない」。エネルギー政策の転換期になるか。(K)※敬称略
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今後の日本の原発政策にとって、決定打となりかねない発言が新年早々飛び出した。経済界トップの経団連会長が、年頭記者会見でいきなりの「原発ギブアップ宣言」だ。しかも、記事にあるように中西氏は原発メーカー・日立の会長。その口から飛び出したのである。

日刊スポーツ記事にあるように、ストレートに「原発をやめるべき」と言えなかったのは、政府・自民党に「お世話」になっている経済界のトップとしての立場もあるからだろう。しかし、「国民大多数が反対している原発を、推進せよというのだったら、せめて政府・自民党の責任で環境整備(世論を原発推進多数に変える)くらいしてもらわないと。それができないなら、こちらとしては付き合いきれないよ」が経済界の本音であり、中西会長の発言は経済界内部のそうした声をかなり率直に反映したものと言えそうだ。

当ブログがそのように推測するのには理由がある。城南信用金庫の吉原毅理事長はじめ、企業トップにも脱原発を実現しなければならないと考える人は少なくない。全国の農協組織の中央団体である全国農業協同組合中央会(JA全中)は2012年に脱原発を宣言している(参考記事)。北海道新聞が道内企業を対象として、2018年9月18日~10月9日にかけて行った調査で、道内企業の41%が北海道電力泊原発の再稼働を「不要」と回答、「必要」(22%)の2倍に上っている。注目すべきなのは、この北海道新聞の調査が道内の一般市民ではなく「企業」を対象としたものであったこと、調査期間が北海道胆振東部地震による全道大停電(9月6~7日)の直後だったことである(参考記事)。大停電であれだけの不便と不利益を強いられたにもかかわらず、道内経済界の脱原発の意思がまったく揺らがなかったことは実に驚くべきことである。逆に、再稼働「賛成」を唱えているのは、建設業など自民党と結託して汚い利益ばかり追求している「一部特殊業界」に過ぎないことを、この際、はっきりさせておきたい。

こうした事情を考えるなら、脱原発はむしろ企業のトップこそが積極的に唱えなければならない性質のものである。加えて、日立にとっては、ときにライバルとして競争し、ときに技術面などで協業し合う同業他社の東芝が、政府の原発推進政策に付き合わされた結果、あわや倒産寸前まで追い込まれたことは当然、念頭にあるはずである。中西会長が「民間企業である以上、われわれは費用対効果、リスク・ベネフィットで物事を判断する。福島原発事故で安全対策の要求水準が上がり、ハイリスク・ハイコスト/ローリターンになった原発事業からは撤退するのが当然」と考えたとしても、民間企業としてそれは至極当たり前の経営判断である。

中西会長のこの発言は国策民営で推進されてきた日本の原発の「推進主体」である経済界からの異議申し立てだけに、原発推進体制に与える衝撃は計り知れない。それと同時に、市民がときに海外の市民の力も借りながら、福島原発事故以降、厳しい安全基準を求めて声を上げ続けてきたことが、経済界に原発を「割に合わない」と思い知らせる原動力になったということも指摘しなければならないのである。

安倍政権の下でなおも原発維持・推進に向け悪あがきを続ける経産省は、もしかすると原発事業の「国営化」を進めてくるかもしれない。原子力ムラや「御用学者」の一部がそれを求めていることにも私たちは注意しなければならない。だがそれでもすでに結論は出ている。フランス国営原発メーカー・アレバ社は2014年1~6月期決算で6億9400万ユーロ(約1010億円)という巨額の負債を抱えている。巨額(数百億~数千億単位)の赤字決算は4期連続であり、国営でなければとっくに倒産していただろう。巨額の税金をいくら垂れ流しても、原発が復活することなどあり得ないのだ。

すでに世界は脱原発どころか脱炭素に向け走り出している。環境破壊に手を貸す企業には金融機関が融資をしないという新たなフェーズに入っており、日本企業に資金も優秀な人材も集まらなくなりつつある。世界経済の動向に人一倍関心を払わなければならない経済界トップがこうした発言をすることは何ら不思議ではないし、当ブログは遅すぎたとすら思っている。2019年を「脱原発元年」にすることは可能だし、またしなければならないと当ブログは考えている。

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