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【金曜恒例】反原発北海道庁前行動(通算345回目)でのスピーチ/刑事訴訟の短編映画と自主避難者追い出し問題

2019-07-13 21:33:43 | 原発問題/一般
 皆さんお疲れさまです。今日は、福島に関して重要なことをお知らせしなければなりません。

 1つ目は、また映画の話になりますが、福島原発事故の刑事裁判を描いた映画「東電刑事裁判 動かぬ証拠と原発事故」が完成したというお知らせです。「日本と原発」という映画を、私財をなげうって制作した河井弘之弁護士らの「Kプロジェクト」によるもので、26分の短編映画です。すでにYouTubeでも公開されており、見ることができます。今年3月まで9ヶ月間にわたって東京地裁で集中的に行われてきた東電経営陣の刑事裁判について、要点と経過をまとめたものです。この裁判を通じて初めて明らかになった事実も、証拠を添えてまとめられています。非常に貴重な映画です。刑事裁判の意義を26分間で改めて確認できるので、上映会を開くにもちょうどいい長さだと思います。ぜひ、各地で上映運動を広げていく必要があると思います。

短編映画「東電刑事裁判 動かぬ証拠と原発事故」Youtubeで公開!


 2つ目は、福島県から自主避難し、東京都内などで公務員住宅に住んでいる人たちに対し、県が家賃の2倍に当たる損害金を請求する方針を決め、自主避難者に請求書を送る動きが始まったことです。

 2017年3月までは住宅無償提供制度がありました。それが打ち切られた代わりに、家賃補助制度が設けられてきましたが、この家賃補助制度も何度も打ち切りが狙われてきました。運動の力でこれまでなんとか続けられてきたこの家賃補助制度が2019年3月までで打ち切られることになった結果、期限までに公務員宿舎を退去できなかった人たちが「不法滞在」として損害金を請求されています。

 これらの公務員住宅は、セーフティーネット契約という制度に基づき、自主避難者に貸し出されてきました。これは公務員宿舎を自治体(福島県など)が財務省から有償で借り上げ、これを避難者に有償で「又貸し」する制度です。3月末限りで立ち退くよう求めたのに、それに「違反」したとして県がこの宿舎料を2倍にすると通告してきたのが事の発端です。

 セーフティネット制度自体は、原発避難者のためにできたものではありません。これは元々、2008年のリーマンショックの際に、仕事と家を一度に失ったため、再就職にも生活保護申請にも行き詰まった人に一時的に生活拠点を与える目的で、財務省が通達を出して、空いている公務員住宅を失業者に有償で貸せる制度を創設したものです。財務省が自治体に有償で公務員宿舎を貸し、自治体が有償で失業者に「又貸し」する。この制度が原発避難者に適用されてきました。

 現在、公務員宿舎を退去できず、2倍の請求を通告されても残っている人は、精神面で問題を抱えているなど「再就職して出て行け」といわれても就職も困難で、行く先もない人たちです。精神面を病んでいる人も多いだけに自殺者を出しかねないという状況に置かれています。そのような人たちに、ろくな説明もせず2倍の請求書を送りつける非人道的なやり方が、福島県の行政の名で行われているのです。

 この間、原発事故被害者団体連絡会(ひだんれん)などの団体は、無償提供の時代から追い出し中止、無償提供を続けるよう何度も要請してきました。無償提供が家賃補助に変わってからも、補助を打ち切らないよう繰り返し要請してきました。何度も、ではなく何十回も、と言ったほうがより正確だと思います。しかしそれらはすべて県と内堀雅雄知事によって完全に無視されてきました。昨日まで同じ釜の飯を食い、苦楽を共にしてきた隣人であっても、県を捨てて勝手に出て行ったものはどれだけ残酷にいじめても、踏みにじってもいいという統一見解でも出されているのではないかと思うほど、県はこの間、自主避難者を追い詰める政策だけを一貫して追求してきました。政経東北という地元メディアから「避難者に冷たい内堀県政」とこの間、何度も書かれましたが一向に政策が変わる気配がありません。福島県産農産品の「風評被害」解消のためなら宇宙の果てまででも出掛けていく内堀知事が、県庁に自主避難者が話し合いを求めて並んでいても、誰もいないかのように無視して通りすぎていくのです。内堀知事は、自分の政策を支持してくれる人の姿しか見えないという特殊能力の持ち主なのでしょう。

 そもそも公務員宿舎は余っていて、財務省が公務員を相手に入居者を募集しているという話も聞こえてきます。もちろん宿舎は公務員のためのもので避難者向けのものではありません。しかし、公務員宿舎が余っているにもかかわらず、行き場もない人を無理矢理追い出すのが行政のやることだとは思いません。今回の選挙で公的住宅の整備を公約に掲げている政党もあります。公務員宿舎が余っているなら公的住宅として有効活用するのも立派な社会政策だと私は思います。

 この問題をめぐっては、財務省は必ずしも追い出しにはこだわっていませんでした。入居者がいて宿舎料収入を徴収できるのは悪い話ではないからです。むしろ、避難者の存在をこの間徹底的に消し去ろうとしてきたのは福島県です。県を徹底的に批判し県政を変える必要があります。

 再来週、26日の金曜日、私はこの道庁前をお休みし、東京に行きます。東京で、原発政策をめぐって原子力規制庁と申し入れ交渉を行うことになっており、そこでもこの住宅問題を取り上げる予定です。自主避難者の公務員宿舎からの追い出しをやめさせましょう。

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