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「泊原発廃炉・核ごみいらない岩内集会2022」へのメッセージ

2022-09-11 22:36:00 | 原発問題/一般
泊原発廃炉・核ごみいらない岩内集会2022」が、9月10~11日、泊原発地元・岩内町で開催された。あいにく、当日は別件で参加できないため、以下のとおりメッセージを出したので、ご紹介する。

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 「泊原発廃炉! 核ごみいらない岩内集会2022」にご参加のみなさん、こんにちは。

 本来なら直接、この場でスピーチをすべきところですが、先約があり、本集会に参加できないため、メッセージを送ります。

 8月24日、岸田首相は、すでに再稼働している10基に加え、新たに7基の原発を再稼働した上、福島原発事故以降はどの政権も言い出せなかった原発新増設にまで踏み込みました。福島第1原発事故からまだわずか11年、依然として3万人を超える人々が故郷を追われたままです。100万人に1人のはずの甲状腺がんが30万人の福島の子どもたちを検査して300人も見つかっています。放射能汚染、健康被害、核のごみ・汚染水処理問題など、事故が引き起こした問題は現在もまったく解決していません。11年前の福島の苦しみはそのまま今日に引き継がれています。こんな状態で原発再稼働のみならず、新増設まで口にするのは福島県民に対する、まさに陵辱に他なりません。

 このような恥ずべき再稼働、新増設政策が出てきたのは、何と言っても今年に入ってから続いた電力ひっ迫です。3月22日、首都圏が大雪に見舞われる季節外れの寒波で電力需要が大幅に増大。首都圏が停電寸前の「電力ひっ迫状況」となりました。首都圏は、6月にも各地で40度を超える異常な猛暑が襲来し、再び停電寸前に追い込まれました。

 想定外の時期に電力需要のピークが来た場合に、一時的に電力需給が厳しいことは事実でしょう。しかし、それは年間にすればせいぜい十数時間に過ぎません。たった十数時間の節電ができず、危険な原発を動かして、数万人の避難者、通常の千倍もの甲状腺がん患者、10万年経っても消えない核のごみを再び生み出すのでしょうか。100年に1度あるかないかの究極的に愚かな決定といわなければなりません。

 今年2月、ロシアが侵攻したウクライナでは、1986年に事故を起こし、廃炉作業が続くチェルノブイリ原発が一時、ロシア軍に占拠され、作業員が交代できなくなるなど危険な状態に陥りました。現在では、欧州最大規模といわれるザポリジエ原発がロシアに占拠されたまま、原発がいつ破壊され、過酷事故につながるかわからない状態で先行きが危ぶまれています。チェルノブイリの10倍の規模といわれるザポリジエ原発がもし破壊されれば、ヨーロッパは全滅することになるかもしれません。こうした危機を引き起こしている原発を、人類史に残る福島事故を経験した日本で、何の反省もなく再稼働するなら、遠からず次の事故が起き、日本の名前は世界地図から消えることになるでしょう。

 一方で、市民は福島を忘れていません。各地で粘り強い闘いが続いています。

 今年5月、札幌地裁で泊原発の運転を差し止める判決が出ました。6月、最高裁で福島原発事故について、裁判官のうち1人が、国の責任を認める反対意見を述べました。判決としては国の責任を認めない不当なもので大変残念ですが、絶望することはありません。電力会社は原賠法という法律によって事故を起こした原子炉のメーカーに賠償を請求できないことになっています。この上、国にも賠償責任がなく、数十兆円単位の巨額の賠償金を電力会社だけで支払わなければならないことが明らかになったのです。電力会社も民間企業であり、これほどの巨額の賠償を単独では払えるはずがありません。このままでは原発に責任を持てないとして、原発をやめたいと考える電力会社も出てくるでしょう。

 また、7月には東京電力の株主代表訴訟で原発事故の賠償や処理に費やした13兆3210億円を会社に返還するよう経営陣に命ずる判決も出ました。「こんな判決が続けば電力会社の社長を引き受ける人はいなくなる」と電力会社の間に動揺が広がっている。新聞がそのように報じています。電力会社が企業として責任が持てず、社長のなり手もいなくなるほど原発が重荷なら、やめればいいだけのことです。

 今日の集会では、原発に頼らないまちづくりについて議論されると聞いています。3.11までは、経済発展によって原発でも何でもいいから電力が欲しいという大都市の問題として認識されていました。しかし3.11以降は、大都市が原発の電気を使いたくないと言っているのに、むしろ立地自治体のほうが原発の電気を使ってもらわなければ町が立ち行かないと言い出しており構図が逆転しています。立地自治体をどのようにして原発の「毒」から解放するか。日本が脱原発を実現させられるかを占う上で、今はこれこそが最大の問題になっているのです。

 私は、3.11福島原発事故を福島県西郷村で経験しました。子どもたちにこれ以上放射能を浴びさせられないと、目を血走らせながら避難先を探す人、逆に「お前らみたいなのがいるから風評が起き、福島が差別される」と闘う相手を間違えている人、「隣の家は賠償金をもらえたのにうちはもらえなかった」ことが原因で仲の良かった隣人との関係が壊れた人、甲状腺がんにかかった人などの話が交錯したあげく、人間不信に陥り「もう誰も信じられない」と言う福島県民の姿を目の当たりにしてきました。

 家や生活は壊れても再建できますが「健康」と「信頼」は一度壊れると回復は困難です。それらを壊した張本人である国や福島県が責任を取らず、謝罪もせず「復興に協力しないお前らが悪い?」。私に言わせれば、国や県こそ、ふざけるなと言いたいです。

 こうした思いをする人たちを二度と生んでほしくありません。福島県民共通の願いです。人々を繋いでいる「信頼」が事故で壊れたら経済も再建できないことを、福島の経験から私は確信を持って言えます。今ならまだ間に合います。次の「福島」が生まれる前に、すべての立地地域がまず原発を止め、廃炉にすることが最も重要です。今日のこの集会が、そのための場となるよう心から願っています。

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