「パリの街はいい。実にいい。みんなもパリへ行くといい。」
「いい」だらけで、パリを評したのは、何を隠そう私のかつての上司。「まちづくり」の海外研修から戻り、事務室での第一声がそれでした。
先日、NHKの番組「世界遺産」はフランスはパリでした。これを見ていると、上司がうなる理由もわかります。特に街並みが大変に美しく、歴史と現在が同居しているようです。趣のある建物は、自己主張を程よく抑えてあります。これだけの街並みは、市民全員が街を美しくしようという共通認識がないと、到底保てないでしょう。
テレビでパリを見た後、日本の東京へ目を移すと、あまりの乱雑さにがっかりする。少なくとも大正時代頃までは、日本もパリと同じように、高さが均一に保たれ、すこぶる景観が良かったそうです(先の上司が街並みについて一生懸命調べていたので、参考にさせていただいた)やはり、戦後にすっかり変わってしまいました。
明治期の版画家小林清親の作品に《橋場の夕暮れ》なるものがあります。その作品は、雨上がりの瑞々しい虹が、空に優しく架かる姿を、人が舟の上から眺めている様子の作品です。私は小林作品のなかでも、特に好きな絵でして、実際に現在の橋場(白髭橋付近)へ行きました。ところが、絶えずひた走る車の騒音、目立ちたがりの灰色のビル、濁り、ごみだらけの川。もはや、ここには情緒はありませんでした。100年の経過で、ここまで変わってしまうと、大変に残念です。
日本は、他国の文化をうまく吸収して、独自の文化を築き上げてきたといわれます。今はどうでしょう。他国の文化を吸収しすぎて、消化不良を起こしているような気がします。あまりにひどい症状です。結局、パリの街にあこがれてしまうのも、日本には街並みの美しさがないからなのかもしれません。
「いい」だらけで、パリを評したのは、何を隠そう私のかつての上司。「まちづくり」の海外研修から戻り、事務室での第一声がそれでした。
先日、NHKの番組「世界遺産」はフランスはパリでした。これを見ていると、上司がうなる理由もわかります。特に街並みが大変に美しく、歴史と現在が同居しているようです。趣のある建物は、自己主張を程よく抑えてあります。これだけの街並みは、市民全員が街を美しくしようという共通認識がないと、到底保てないでしょう。
テレビでパリを見た後、日本の東京へ目を移すと、あまりの乱雑さにがっかりする。少なくとも大正時代頃までは、日本もパリと同じように、高さが均一に保たれ、すこぶる景観が良かったそうです(先の上司が街並みについて一生懸命調べていたので、参考にさせていただいた)やはり、戦後にすっかり変わってしまいました。
明治期の版画家小林清親の作品に《橋場の夕暮れ》なるものがあります。その作品は、雨上がりの瑞々しい虹が、空に優しく架かる姿を、人が舟の上から眺めている様子の作品です。私は小林作品のなかでも、特に好きな絵でして、実際に現在の橋場(白髭橋付近)へ行きました。ところが、絶えずひた走る車の騒音、目立ちたがりの灰色のビル、濁り、ごみだらけの川。もはや、ここには情緒はありませんでした。100年の経過で、ここまで変わってしまうと、大変に残念です。
日本は、他国の文化をうまく吸収して、独自の文化を築き上げてきたといわれます。今はどうでしょう。他国の文化を吸収しすぎて、消化不良を起こしているような気がします。あまりにひどい症状です。結局、パリの街にあこがれてしまうのも、日本には街並みの美しさがないからなのかもしれません。