学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

吉田健一『吉田健一対談集成』

2010-01-22 20:31:18 | 読書感想
今日はとてもよい日和。窓から差し込んだ日光が部屋をしっかり温めてくれて、昼間は暖房無しで過ごすことができました。

さて、近頃すっかり読書がおろそかになっていますが、ご飯を作る合間に読んでいるのが、批評家、小説家の吉田健一(1912~1977)対談集です。

吉田健一氏は英文学に深い見識があり、エドガー・アラン・ポーやヴァレリーなどの翻訳などを手がけています。最近発売された本ですと、河出書房新社の世界文学全集に含まれたF.M.フォースター『ハワーズ・エンド』が吉田氏の翻訳ですね。(もちろん亡くなられていますので、新訳ではありません)

お酒が大好きだったという吉田氏。本では、ウイスキーをちょいとやりながら、文学者たちと対談してゆく様子が書かれています。特に河上徹太郎氏とのやり取りは、2人とも遠慮せずに意見をぶつけ合っており、同調するところは同調し、反対するところは反対する。仲間同士のいわゆる「なあなあ」の対談ではないところが、また面白いところです。また、短いものの、丸谷才一氏と社会のあり方について語り合う場面も、私が気になるところです。

対談集ですから、ちょっと疲れていても、気分転換に読める。手軽な本です。最近、吉田氏の著書が復刻され、改めて注目されているようですので、この機会にぜひ読んでみてはいかかでしょうか。

●吉田健一『吉田健一対談集成』講談社文芸文庫 2008年


コメント
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