学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

館長による講座

2018-11-28 21:58:32 | 読書感想
今日は久しぶりに朝から曇天で、しばらくしてぽつりぽつりと雨。霧も一向に晴れなくて、街全体が白っぽくなっていました。

仕事の帰りがけに書店へ立ち寄ったら、気になる本を見かけました。草薙奈津子さんが書かれた『日本画の歴史』近代篇と現代篇(両方とも中公新書)です。ぱらぱらとめくったときに、カラー版の豊富な図版が入っていたのと、内容のポイントがわかりやすかったこと、です・ます調でやわらかい文章だったので、近代篇を買いました。日本近代美術は、絵師や作家が色々な流派に分かれたり、絵に対する考え方が多種多様で、なかなか体系的につかみづらいところがありましたので、知識の確認のために購入した次第です。

著者の草薙さんは平塚市美術館の館長で、私はお会いしたことはありませんが、お名前は様々なところで拝見します。今回の著作は、草薙さんが同館の館長講座でお話しされた内容を元にして執筆されたそう。

館長が美術館の表舞台に出てくることは少ない、というのは一昔前のはなしで、現在は館長講座やミュージアム・トークなどで、積極的に館長がお客様の前に出る時代になりました。ここ10年くらいで、館長の役割がずいぶん変わってきたのではないか、というのが私の実感です。かくいう私の勤務する美術館も、同じようなイベントを開催し、中には講座をきっかけに館長のファンになられた方もいらっしゃって、毎回好評をいただいています。館長によっては、要望があれば美術館を飛び出して、日本国中を渡り歩き、自身が勤務する美術館に関する講演会や講座をされる方とお会いしたこともありました。エネルギッシュですよね。

草薙さんのこの著書のような、美術研究の第一人者による館長講座シリーズのようなものが新書で継続して出版されると嬉しいです。淡い期待を抱いて、今夜は眠ることにしましょう。それでは、おやすみなさい。