学芸員のちょっと?した日記

美術館学芸員の本当に他愛もない日記・・・だったのですが、今は自分の趣味をなんでも書いています

貝原益軒『養生訓』をよむ

2018-11-29 21:31:38 | 読書感想
昨日の曇天模様は持ち直し、今日はみごとに晴れました。空が明るいと、気持ちまで明るくなりますね。

背景に高齢社会があるせいなのかはわからないけれど、昨今、テレビ、新聞、雑誌、書籍などのいたるメディアで「健康」志向の情報を取り上げたものをよく見かけます。それだけ「健康」の言葉が紙面・誌面に踊るということは、健康でありたいと願っている人がたくさんいるということなのでしょう。かくいう私も、ストレスで自律神経を害したことから、こうしたメディアにはとてもお世話になりました。

さて、時代はさかのぼり、江戸時代の健康に関する本といえば、貝原益軒の『養生訓』が有名です。こないだ書店でぱらぱらとめくってみたら、面白そうだったので、買って読んでみました。まず、貝原益軒は福岡藩の藩医であり、同書が出版されたのが84歳のときというから、当時の医術の専門家であり、実際に長寿だった人が書いた本なのだから、内容は信じるに足るでしょう。益軒は養生するために何が必要なのか、例を挙げながら示し、さらに人間が不健康になるのは気が滞るからだと述べます。気が滞る、というのは、やはり東洋医学の発想ですよね。

彼の記したもののなかには、今でも十分に私たちの生活に活かせるものが散見します。


・運動して健康を増進しておくこと。
・怠らず労働をするのが養生の途(怠けた生活を送るなということ)
・道を楽しむものは命流し
・ゆるやかに呼吸せよ(深呼吸)
・飲食とも控えめにせよ


などなど。現在の健康情報と同じようなことを江戸時代に書いていたわけです。時代は変われど、人間は変わらない、のかもしれません。物事を悲観的に考えやすい人へのアドバイスもあります。過ちをおかしたら、一度は反省しても、あとはクヨクヨしないほうがいい、とも。心と身体のバランスをうまく取ることが健康を保つ秘訣であることを益軒はわかっていたのですね。

今でも生きている『養生訓』。手軽に読める本なので、興味のある方はぜひご覧になってみてはいかがでしょうか。