戦後日本の高度成長を牽引し、日本の産業発展に経産省が大きく貢献した・・・・面もあるが、実際にはその逆のケースが多々ある。
●経産省の打ち出す産業政策が、むしろ日本経済の発展の妨げになっている。
●経産省主導で行った大プロジェクトが失敗に終わった。
・・・・といった事実が数多く見られる。
日本の産業の保護・育成のために導入された規制だが、新規参入したい企業にとって大きな障害になる。規制という名の下に縛りを設けることで、可能性のある新しい産業の芽を潰す場合もあるからだ。本来ならば、将来有望な企業を育成することこそ、重要な政策であるはずなのに、まったく逆の政策だ。日本の産業界全体にとっては大きなマイナスだ。
規制は、業界の利益を独占している大企業などにはありがたい政策だ。新たな競合企業を法律で追い払ってくれるのだから。
近年、「規制緩和」が叫ばれているが、掛け声ばかりで一向に進まない。既得権益を守りたい企業と経産官僚との「官民癒着」の構造が底にある。
「特定の企業を保護し、成長を促す」政策は、経産省が推進する日本型産業政策の典型だ。国が予算を編成し、官僚主導の下に政府が立ち上げる一大プロジェクトだ。
しかし、日本経済にとっては大きな無駄だ。
<例>(a)「サンシャイン計画」、(b)「ムーンライト計画」【注】。
(a)は、1974年に始まったエネルギーの安定供給確保を目的とした新エネルギー技術開発プロジェクト。
(b)は、1978年に始まった省エネ技術開発を目的としたプロジェクト。
いずれも産官学によって進められた大型プロジェクトだけに予算規模は大きく、(a)は4,400億円、(b)は1,400億円も巨費が投じられた。しかし、結果はたいした成果を得られずに失敗。
それでも計画は打ち切られず、(c)「ニューサンシャイン計画」が1993年に始まり、2020年までに総額1兆5,500億円もの巨額の予算が見込まれていたが、これも計画倒れで失敗。
ところが、計画は完全に打ち切られたわけではない。予算規模は縮小したが、関連する独立行政法人や特殊法人に関連予算がつぎ込まれている。
何たる壮大な無駄。
かかる無意味な産業政策が、経産省主導の下で行われている。
【注】「【エネルギー政策】失敗続き、税金ムダ遣いの経産省 ~サンシャイン計画~」
「【原発】事故直後に東京から逃げ出した経産官僚たち ~官僚の利権~」
以上、高橋洋一『国民が知らない霞が関の不都合な真実 ~全省庁暴露読本~』(双葉社、2012)に拠る。
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