(1)竹島は、島根県隠岐の島町に属する我が国固有の領土だ。にもかかわらず、韓国に不法占拠された状態にある【注】。
(2)韓国政府の立場は、こうだ。「独島は、歴史的にも国際的にも韓国領で、しかも韓国が実効支配している。従って、日本との間に領土問題は存在しない」
しかし、歴代大統領は、竹島上陸を差し控えてきた。竹島を巡って日本が本格的に外交攻勢を行うと、韓国にとって不利な状況になる、という認識を韓国の外交当局が持っていたからだ。
(3)日韓外交正常化交渉は、14年もの長期交渉になった。この交渉で最後まで残ったのが竹島問題だ。日韓基本条約では、調印(1965年6月22日)直前まで、竹島をめぐる日韓の見解が一致しなかった。そこで、同日付けで外交文書「紛争の解決に関する交換公文」を作成し、問題を棚上げした。「両国政府は、別段の合意がある場合を除くほか、両国間の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとし、これにより解決することができなかった場合は、両国政府が合意する手続きに従い、調停によって解決を図るものとする」という内容の交換公文だ。椎名悦三郎・日本国外相と李東元・韓国外務部長官が合意した。
日本側は、竹島問題がここでいう紛争だと主張し、韓国側は独島問題をめぐる紛争はないと主張し、双方の見解の相違について、あえて詰めないようにした。東西冷戦下、米国の同盟国たる日韓両国が領土問題をめぐって対立すると、ソ連、中国、北朝鮮を利することになるので、両国とも自制したのだ。
しかし、その間に韓国は、独島を韓国人統合のシンボルに変容させた。
(4)東西冷戦終結後20年を経て、国際関係は国家エゴを剥き出しにする帝国主義的傾向を強めている。その中、急速に力をつけつつある韓国は、帝国主義国となる基礎体力のない国であるにもかかわらず、意識においては帝国主義国のように振る舞っている。
かかる状況で、韓国はこれまで自制していた最後の一線を踏み越えた。8月10日、李明博・韓国大統領が竹島に上陸した。
(5)一方的に竹島をめぐる状況を変更しようとしている韓国に比べ、日本政府は適切な対応をとっている。
(a)韓国大統領が竹島に上陸した10日、政府は武藤政敏・在韓国大使を呼び戻した。その夜、記者会見で、野田佳彦・首相は「抗議の意思を示すために、武藤駐韓大使を本日帰国させることとした次第であります」とはっきり述べた。首相が、公式の場で、「抗議の意思を示すため」と述べたことで、国際社会に日本政府は事態を絶対に看過しない、というシグナルを送った。
(b)さらに玄葉光一郎・外相は、竹島問題を国際司法裁判所に提訴する意向を示した。韓国が提訴に応じないことは織り込み済みだが、竹島問題を国際化することで、日本は「客観的に見て紛争がある」と韓国が認めざるを得ない環境を作ろうとしている。
紛争であるとすれば、(3)の交換公文に基づき、韓国は竹島問題に関する外交交渉を余儀なくされる。
【注】8月22日、参院決算委員会で、玄葉光一郎外相は、民主党政権発足以来現職閣僚としては初めて、竹島は韓国による「不法占拠だ」と答弁した。【記事「玄葉外相「竹島は不法占拠」 自民政権時並みの答弁に」(朝日新聞デジタル記事2012年8月22日19時39分)】
以上、佐藤優「李大統領「竹島上陸」日本の対応 ~佐藤勝の情報リテラシー第39回~」(「週刊現代」2012年9月1日号)に拠る。
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(2)韓国政府の立場は、こうだ。「独島は、歴史的にも国際的にも韓国領で、しかも韓国が実効支配している。従って、日本との間に領土問題は存在しない」
しかし、歴代大統領は、竹島上陸を差し控えてきた。竹島を巡って日本が本格的に外交攻勢を行うと、韓国にとって不利な状況になる、という認識を韓国の外交当局が持っていたからだ。
(3)日韓外交正常化交渉は、14年もの長期交渉になった。この交渉で最後まで残ったのが竹島問題だ。日韓基本条約では、調印(1965年6月22日)直前まで、竹島をめぐる日韓の見解が一致しなかった。そこで、同日付けで外交文書「紛争の解決に関する交換公文」を作成し、問題を棚上げした。「両国政府は、別段の合意がある場合を除くほか、両国間の紛争は、まず、外交上の経路を通じて解決するものとし、これにより解決することができなかった場合は、両国政府が合意する手続きに従い、調停によって解決を図るものとする」という内容の交換公文だ。椎名悦三郎・日本国外相と李東元・韓国外務部長官が合意した。
日本側は、竹島問題がここでいう紛争だと主張し、韓国側は独島問題をめぐる紛争はないと主張し、双方の見解の相違について、あえて詰めないようにした。東西冷戦下、米国の同盟国たる日韓両国が領土問題をめぐって対立すると、ソ連、中国、北朝鮮を利することになるので、両国とも自制したのだ。
しかし、その間に韓国は、独島を韓国人統合のシンボルに変容させた。
(4)東西冷戦終結後20年を経て、国際関係は国家エゴを剥き出しにする帝国主義的傾向を強めている。その中、急速に力をつけつつある韓国は、帝国主義国となる基礎体力のない国であるにもかかわらず、意識においては帝国主義国のように振る舞っている。
かかる状況で、韓国はこれまで自制していた最後の一線を踏み越えた。8月10日、李明博・韓国大統領が竹島に上陸した。
(5)一方的に竹島をめぐる状況を変更しようとしている韓国に比べ、日本政府は適切な対応をとっている。
(a)韓国大統領が竹島に上陸した10日、政府は武藤政敏・在韓国大使を呼び戻した。その夜、記者会見で、野田佳彦・首相は「抗議の意思を示すために、武藤駐韓大使を本日帰国させることとした次第であります」とはっきり述べた。首相が、公式の場で、「抗議の意思を示すため」と述べたことで、国際社会に日本政府は事態を絶対に看過しない、というシグナルを送った。
(b)さらに玄葉光一郎・外相は、竹島問題を国際司法裁判所に提訴する意向を示した。韓国が提訴に応じないことは織り込み済みだが、竹島問題を国際化することで、日本は「客観的に見て紛争がある」と韓国が認めざるを得ない環境を作ろうとしている。
紛争であるとすれば、(3)の交換公文に基づき、韓国は竹島問題に関する外交交渉を余儀なくされる。
【注】8月22日、参院決算委員会で、玄葉光一郎外相は、民主党政権発足以来現職閣僚としては初めて、竹島は韓国による「不法占拠だ」と答弁した。【記事「玄葉外相「竹島は不法占拠」 自民政権時並みの答弁に」(朝日新聞デジタル記事2012年8月22日19時39分)】
以上、佐藤優「李大統領「竹島上陸」日本の対応 ~佐藤勝の情報リテラシー第39回~」(「週刊現代」2012年9月1日号)に拠る。
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