語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【政治】情報公開法改正案は未審議のまま ~国民の知る権利~

2012年08月26日 | 社会
 (1)政権交代にあたり、国民が、自民党長期政権の歪みを糺す試みを新政権に期待していたのは間違いない。
 その一つが、官僚と自民党が独占していた情報を国民の手に取り戻す、という民主党の長年の主張に対する支持だった。

 (2)情報公開法改正案は、民主党が枝野幸男・現経産相を中心に準備し、2011年1月に菅直人・首相(当時)が施政方針演説で取り上げ、同年4月に法案を衆院に提出した。

 (3)法案は、2001年施行の同法を抜本的に見直すものだ。情報公開制度が、「国民の知る権利」を保障する観点から定められたことを条文に明記し、専門家の評価もおおむね高い。改正案には、
 (a)国や公共の安全に係る情報であっても、公開を求められたときに「十分な理由」がなければ拒否できないよう歯止めをかける。
 (b)開示決定までの期間を実質3週間に短縮する。
 (c)手数料を無料化する。 
 (d)開示請求を拒否された場合の情報公開訴訟も改革し、「インカメラ制度」(不開示になった文書を裁判官に見せて審理させる)を導入する。
 ・・・・などを盛り込む。制度を利用する国民の立場に立った内容だ。

 (4)ところが、東日本大震災をはさんで動きが鈍化。自民、公明両党への法案説明を済ませたものの、国会に提出されて1年4ヵ月経つのに、審議入りには至っていない。

 (5)今年6月、民主党の公文祖管理や情報公開を話し合うワーキングチームで、逢坂誠二・事務局長が訴えた。
 「民主党政権の大きな心の部分だ。法案の重要性を再認識していただきたい」
 出席議員には、それなりの反応はあった。しかし、その直後の「小沢新党」騒ぎで、この問題を議論する雰囲気はまた霧消した。

 以上、青島顕(新聞記者)「民主党から国民の心が離れた理由は自民党政権の歪みを正す「心の部分」を忘れたからだ」(「週刊金曜日」2012年8月10日号)に拠る。
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