(1)第一の矢、大胆な金融緩和で実現した円安により、輸出が増える・・・・という計算は、工場が海外移転してしまった、といった理由により、それほど輸出が増えない。
(2)第二の矢、機動的な財政出動=公共事業のバラマキは、すぐに、人手、資機材、ダンプなどの不足がコストアップとなって、大幅増益どころか、減益の企業も増えている。これ以上予算を増やしても、工事の消化はおぼつかない限界状況だ。
さらに、安部総理が再三強調した賃上げも、ほとんど進まない。所得がやっと下げ止まるかどうかという状況では、消費増税による生活への大打撃は必至。消費には、かなりのマイナス要因になるだろう。
(3)だが、安倍政権は、なぜか根拠のない楽観的期待を持っているらしい。
深刻な危機感はなくて、アベノミクスの第三の矢、成長戦略がまったく出てこない。
(4)かかる状況は、国民から見れば深刻な事態だ。
ところが、他方で、これを奇貨として、着々と焼け太る官僚と族議員がいる。
官僚どもは、今の深刻な状況を逆手にとって、「成長戦略」、「景気対策」の美名の下に、自分たちの利権をせっせと拡大している。安倍政権は、「タマ不足」だから、官僚の振り付け通り、無駄なプロジェクトに予算をどんどん付ける。
その最たるものが、官民ファンドだ。
(5)昨年は、官民ファンドがぞろぞろと創設された。農業関連、クールジャパン、耐震化改修の推進、新たな価値の創造、大学発ベンチャーの支援など、何でもありだった。
官民ファンドというと、何か特殊なことをやるように聞こえる。しかし、単に普通の投資に税金を入れる、というだけのことだ。
官民ファンドの必要性として挙げられるのが、「民間だけではできないから官がやる」という理屈だ。
官僚にそんな能力があるのか、という批判には、「民間から優秀な専門家を連れてくる」と反論する。
しかし、どこかおかしい。
普通のファンドなら、ファンドの経営者は自分の資金も投資する。だから、儲かりそうもない事業には手を出さない。
しかし、同じ人でも、官民ファンドに雇われたら身銭を切らなくてよい。すると、民間ではできなかった事業に投資できる、という。自分の金なら絶対に投資しないのに、国民の税金だから投資できる、ということだ。
こんなに危ない話はない。
これらのファンドには、必ず天下りや現役出向の形で、官僚のためのポストもできる。彼らにとっては最高のしくみだ。
(6)こんなことを止めさせるのが政治家の役割だ。しかし、こちらは、「国土強靱化」「防災・減災」のかけ声の下に、地元への利益誘導に忙しい。
本州との間に3つの橋をかけた四国。
その借金を全国の高速道路料金で肩代わりすることになった。「海峡横断道路」と銘打って、長大な橋やトンネルを作る計画が動き出す。正気の沙汰ではない。
(7)さらには、武器輸出三原則変更さえも利権を生む。
三原則を有名無実化して武器の輸出を認めるのだが、その個別判断は、経産官僚が担う、という。巨大利権の誕生だ。
東電福島第一原発の事故処理も、無限に税金と電力料金を投入することが決まった。これが新たな公共事業となって、経産省が完全に仕切る。数十兆円の利権を手にしたわけだ。
原発推進の方針も決まって、既存の利権を死守した。
経産省は、「笑いが止まらない」。
国民は、「涙が止まらない」。
この事態を、どれだけの人が気づいているだろうか。
□古賀茂明「アベノミクスの限界 ~官々愕々第100回~」(「週刊現代」2014年3月15日号)
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(2)第二の矢、機動的な財政出動=公共事業のバラマキは、すぐに、人手、資機材、ダンプなどの不足がコストアップとなって、大幅増益どころか、減益の企業も増えている。これ以上予算を増やしても、工事の消化はおぼつかない限界状況だ。
さらに、安部総理が再三強調した賃上げも、ほとんど進まない。所得がやっと下げ止まるかどうかという状況では、消費増税による生活への大打撃は必至。消費には、かなりのマイナス要因になるだろう。
(3)だが、安倍政権は、なぜか根拠のない楽観的期待を持っているらしい。
深刻な危機感はなくて、アベノミクスの第三の矢、成長戦略がまったく出てこない。
(4)かかる状況は、国民から見れば深刻な事態だ。
ところが、他方で、これを奇貨として、着々と焼け太る官僚と族議員がいる。
官僚どもは、今の深刻な状況を逆手にとって、「成長戦略」、「景気対策」の美名の下に、自分たちの利権をせっせと拡大している。安倍政権は、「タマ不足」だから、官僚の振り付け通り、無駄なプロジェクトに予算をどんどん付ける。
その最たるものが、官民ファンドだ。
(5)昨年は、官民ファンドがぞろぞろと創設された。農業関連、クールジャパン、耐震化改修の推進、新たな価値の創造、大学発ベンチャーの支援など、何でもありだった。
官民ファンドというと、何か特殊なことをやるように聞こえる。しかし、単に普通の投資に税金を入れる、というだけのことだ。
官民ファンドの必要性として挙げられるのが、「民間だけではできないから官がやる」という理屈だ。
官僚にそんな能力があるのか、という批判には、「民間から優秀な専門家を連れてくる」と反論する。
しかし、どこかおかしい。
普通のファンドなら、ファンドの経営者は自分の資金も投資する。だから、儲かりそうもない事業には手を出さない。
しかし、同じ人でも、官民ファンドに雇われたら身銭を切らなくてよい。すると、民間ではできなかった事業に投資できる、という。自分の金なら絶対に投資しないのに、国民の税金だから投資できる、ということだ。
こんなに危ない話はない。
これらのファンドには、必ず天下りや現役出向の形で、官僚のためのポストもできる。彼らにとっては最高のしくみだ。
(6)こんなことを止めさせるのが政治家の役割だ。しかし、こちらは、「国土強靱化」「防災・減災」のかけ声の下に、地元への利益誘導に忙しい。
本州との間に3つの橋をかけた四国。
その借金を全国の高速道路料金で肩代わりすることになった。「海峡横断道路」と銘打って、長大な橋やトンネルを作る計画が動き出す。正気の沙汰ではない。
(7)さらには、武器輸出三原則変更さえも利権を生む。
三原則を有名無実化して武器の輸出を認めるのだが、その個別判断は、経産官僚が担う、という。巨大利権の誕生だ。
東電福島第一原発の事故処理も、無限に税金と電力料金を投入することが決まった。これが新たな公共事業となって、経産省が完全に仕切る。数十兆円の利権を手にしたわけだ。
原発推進の方針も決まって、既存の利権を死守した。
経産省は、「笑いが止まらない」。
国民は、「涙が止まらない」。
この事態を、どれだけの人が気づいているだろうか。
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