「今年高校に入った子どもに、入学するまでの間、何か1冊読ませたい。何を読ませたらよいでしょうか?」
そういう相談があったとする。
本書を推薦したい。
著者がカナダのブリティッシュ・コロンビア大学で教鞭をとっていた頃、高校生向けのカッパ・ブックス『読書術―頭の回転をよくする読書術』を刊行した。
1960年に口述し、カナダに渡った後、口述筆記が送られてきたが、なかなか手を入れる余裕がなく、原稿が完成したのは1962年だった。原稿に費やした時間は正味1か月だったが、とりかかってから刊行されるまで2年以上の時間が経っていた。
それだけのことはあったらしく、本書はベストセラーになった。
本書は2部で構成される。第1部は「どこで読むか」。第2部は「どう読むか、その技術」。
第1部はリードのようなもので、第2部が本題だ。
おそく読む「精読術」、はやく読む「速読術」、本を読まない「読書術」、外国語の本を読む「解読術」、新聞・雑誌を読む「看破術」、むずかしい本を読む「読破術」・・・・読む技術のあれこれが具体的に、論理的に、時にはいくぶん諧謔をこめて語られる。
口述筆記がもとになっているから、読みやすい。
本書の「あとがき、または30年後」で、30年前の議論の要点が今でも通用する、と加藤周一は言い、事実通用すると思う。
なお、ここで2つの議論、(1)外国での読書、(2)読書の愉しみ・・・・を追記し、駄目を押している。
読書の初心者向けの本だが、読書に慣れている人も本書により読書術を整理し直してもよいかもしれない。ことに、新聞・雑誌を読む「看破術」は、 このメディアが過去のものになりつつある21世紀、その意義を改めて考える手がかりとなる。
□加藤周一『読書術』(岩波現代文庫、2000)
↓クリック、プリーズ。↓
そういう相談があったとする。
本書を推薦したい。
著者がカナダのブリティッシュ・コロンビア大学で教鞭をとっていた頃、高校生向けのカッパ・ブックス『読書術―頭の回転をよくする読書術』を刊行した。
1960年に口述し、カナダに渡った後、口述筆記が送られてきたが、なかなか手を入れる余裕がなく、原稿が完成したのは1962年だった。原稿に費やした時間は正味1か月だったが、とりかかってから刊行されるまで2年以上の時間が経っていた。
それだけのことはあったらしく、本書はベストセラーになった。
本書は2部で構成される。第1部は「どこで読むか」。第2部は「どう読むか、その技術」。
第1部はリードのようなもので、第2部が本題だ。
おそく読む「精読術」、はやく読む「速読術」、本を読まない「読書術」、外国語の本を読む「解読術」、新聞・雑誌を読む「看破術」、むずかしい本を読む「読破術」・・・・読む技術のあれこれが具体的に、論理的に、時にはいくぶん諧謔をこめて語られる。
口述筆記がもとになっているから、読みやすい。
本書の「あとがき、または30年後」で、30年前の議論の要点が今でも通用する、と加藤周一は言い、事実通用すると思う。
なお、ここで2つの議論、(1)外国での読書、(2)読書の愉しみ・・・・を追記し、駄目を押している。
読書の初心者向けの本だが、読書に慣れている人も本書により読書術を整理し直してもよいかもしれない。ことに、新聞・雑誌を読む「看破術」は、 このメディアが過去のものになりつつある21世紀、その意義を改めて考える手がかりとなる。
□加藤周一『読書術』(岩波現代文庫、2000)
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