(1)アクリフーズの冷凍食品から高濃度のマラチオン(有機リン系農薬)が検出された事件で、山ほど報道された。
だが、どのメディアも触れなかった重要な事実がある。農薬をはじめとする有害化学物質(農薬類)は、政府が安全と保証している量や濃度以下でも決して安全とはいえないことだ。
アクリフーズ事件のような最大15,000ppmは(1.5%)もの超高濃度汚染は、犯罪でもなければ起こり得ない。しかし、普通に流通し、私たちが口にしている食品などにも危険はひそんでいる。
(2)政府の定めた残留農薬基準値には、きわめて高いものがある。
<例>アセタミプリド(ネオニコチノイド系農薬)のブドウにおける残留基準は5ppmだが、この基準どおりの農薬を含んだブドウを、体重15kgの子どもが300g/日(1房の半分強)食べると、急性中毒を起こす可能性がある。
なぜこんな危険な残留基準になるか。
農薬メーカーの残留試験で得られた残留値のうち、最も高い値の約2倍(1.5~3倍)を残留基準に定めているからだ。
(3)政府は、(2)の方式で茶葉の残留基準をクロチアニジン(同系農薬)で50ppm、アセタミプリドで30ppmに設定している。
その影響だろう。ボトルの茶飲料(残留基準額未設定)を3か月ほど連日1リットル近く飲み、さらに桃と梨を食べたところ、突然めまいなどに襲われた女性の症例がある。
(4)ADI(1日摂取許容量=生涯にわたって毎日摂取しても健康に悪影響はないと推定される量)残留基準の安全性を確認する根拠となる。
だが、ADIも問題だらけだ。ADIは、動物を使った慢性毒性試験から「無毒性量」(これ以下なら健康への悪影響はない量)を出し、それを安全係数(100)で割って算出される。しかし、
(a)動物実験ではヒトで問題になる微妙な神経障害などは把握できない。
(b)安全係数の100には何の科学的根拠もない。
(c)そもそも、「無毒性量より微量なら健康にはまったく影響しない」という前提自体が時代遅れだ。近年の研究によって、農薬類には「低用量作用(影響)」があることが明らかになっているからだ。無毒性量以下でも毒性を発揮するのだ。
<例1>ごく微量の摂取でホルモンを撹乱する物質(環境ホルモン)。
<例2>胎児や乳幼児の脳神経系の発達を阻害する農薬類。
ゆえに、欧州食品安全機関(EFSA)は昨年12月、アセタミプリドとイミダクロプリド(同系農薬)についえ、ヒトの神経系の発達に悪影響を及ぼす可能性があるので、ADIなどを引き下げよ、と勧告している。
(5)農薬類は、食品に残留しているだけではなく、シロアリ駆除剤など、身の回りの多種多様な製品に含まれている。環境中に放出された成分を私たちは知らぬ間に吸い込んでいる。
日本では食品からの摂取ばかりが問題にされるが、実は吸う方が食べるよりもっと危険だ。1日に大人が食べる食物は1kgだが、空気は20kgも吸い込んでいる。
農薬類の毒性にも、もっと敏感になってよい。
□岡田幹治(ライター)「農薬類は微量・低濃度でも安全とはいえない 乳幼児や妊婦は十分な注意を!」(「週刊金曜日」2014年2月14日号)
↓クリック、プリーズ。↓
だが、どのメディアも触れなかった重要な事実がある。農薬をはじめとする有害化学物質(農薬類)は、政府が安全と保証している量や濃度以下でも決して安全とはいえないことだ。
アクリフーズ事件のような最大15,000ppmは(1.5%)もの超高濃度汚染は、犯罪でもなければ起こり得ない。しかし、普通に流通し、私たちが口にしている食品などにも危険はひそんでいる。
(2)政府の定めた残留農薬基準値には、きわめて高いものがある。
<例>アセタミプリド(ネオニコチノイド系農薬)のブドウにおける残留基準は5ppmだが、この基準どおりの農薬を含んだブドウを、体重15kgの子どもが300g/日(1房の半分強)食べると、急性中毒を起こす可能性がある。
なぜこんな危険な残留基準になるか。
農薬メーカーの残留試験で得られた残留値のうち、最も高い値の約2倍(1.5~3倍)を残留基準に定めているからだ。
(3)政府は、(2)の方式で茶葉の残留基準をクロチアニジン(同系農薬)で50ppm、アセタミプリドで30ppmに設定している。
その影響だろう。ボトルの茶飲料(残留基準額未設定)を3か月ほど連日1リットル近く飲み、さらに桃と梨を食べたところ、突然めまいなどに襲われた女性の症例がある。
(4)ADI(1日摂取許容量=生涯にわたって毎日摂取しても健康に悪影響はないと推定される量)残留基準の安全性を確認する根拠となる。
だが、ADIも問題だらけだ。ADIは、動物を使った慢性毒性試験から「無毒性量」(これ以下なら健康への悪影響はない量)を出し、それを安全係数(100)で割って算出される。しかし、
(a)動物実験ではヒトで問題になる微妙な神経障害などは把握できない。
(b)安全係数の100には何の科学的根拠もない。
(c)そもそも、「無毒性量より微量なら健康にはまったく影響しない」という前提自体が時代遅れだ。近年の研究によって、農薬類には「低用量作用(影響)」があることが明らかになっているからだ。無毒性量以下でも毒性を発揮するのだ。
<例1>ごく微量の摂取でホルモンを撹乱する物質(環境ホルモン)。
<例2>胎児や乳幼児の脳神経系の発達を阻害する農薬類。
ゆえに、欧州食品安全機関(EFSA)は昨年12月、アセタミプリドとイミダクロプリド(同系農薬)についえ、ヒトの神経系の発達に悪影響を及ぼす可能性があるので、ADIなどを引き下げよ、と勧告している。
(5)農薬類は、食品に残留しているだけではなく、シロアリ駆除剤など、身の回りの多種多様な製品に含まれている。環境中に放出された成分を私たちは知らぬ間に吸い込んでいる。
日本では食品からの摂取ばかりが問題にされるが、実は吸う方が食べるよりもっと危険だ。1日に大人が食べる食物は1kgだが、空気は20kgも吸い込んでいる。
農薬類の毒性にも、もっと敏感になってよい。
□岡田幹治(ライター)「農薬類は微量・低濃度でも安全とはいえない 乳幼児や妊婦は十分な注意を!」(「週刊金曜日」2014年2月14日号)
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