語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【原発】【古賀茂明】利権構造が完全復活 ~東日本大震災3年~

2014年03月08日 | 震災・原発事故
(1)原子力政策の現状如何
 原発をめぐる利権の構造や社会を支配する大きな力は完全復活している。原子力ムラだけでなく、経済界挙げての原発推進に、国会議員も「反対」と言いにくい状況だ。

(2)原発は必要か
 先進国で原発が安いと言っているのは日本ぐらい。経済的に原発はすでに終わった産業というのが世界の流れだ。再生可能エネルギーで覇権を取った国が成長する。原発にしがみつく方が、じり貧のいばらの道だ。

(3)東京都知事選で支援した細川護煕元首相が敗れた
 自然エネルギー普及で成長と雇用、福祉を生み出す新しい日本の生き方として原発即時ゼロを訴えたが、ワンイシュー(単一争点)のイメージを付けられてしまった。

(4)安倍晋三政権は再稼働に前のめりだが
 百歩譲って再稼働を許すなら、電力会社が事故時の被害を全額賠償できるだけの保険加入を義務づけるべきだ。本当に安全なら、世界の再保険制度でまかなえる。

(5)「核のごみ」の最終処分地の選定を国が進めている
 日本学術会議が地層処分を見直すよう提言したのに、経済産業省の審議会はそれを無視して議論している。地中深くに埋めて何万年も安全などという新たな神話で国民をだまし、利権を温存するのはおかしい。

(6)国民の不安と政策の隔たりをどう埋めるか
 議員に圧力がかかり、国会で議論できない。自由に発言できるように、脱原発を訴える議員を支援する人々がいる現状を示すことが大事だ。

□古賀茂明「利権構造が完全復活 ~東日本大震災3年~」(日本海新聞 2014年3月8日)
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【地方分権】ポスト成長期は地域の時代 ~「緑の福祉国家」~

2014年03月08日 | 医療・保健・福祉・介護
【地方分権】ポスト成長期は地域の時代 ~「緑の福祉国家」~

 (1)ここ数年、若い世代の間で「ローカル」なものや地域再生といったテーマへの関心が明らかに高まっている。
 海外留学をへて地域の活動に向かう若者も珍しくない。
 若い世代のこうした意識や行動の変化は、私たちの生きる時代の構造変化を反映したものだ。

 (2)「拡大・成長」の時代(高度成長期がその象徴)においては、工業化というベクトルを中心に世の中全体が一つの方向に進むので、「進んでいる―遅れている」という時間軸に沿った一元的な物差しで各地域をとらえていた。
 <例>東京は進んでいる、米国は進んでいる、etc.。

 (3)「ポスト成長」の時代(人口減少を含む)においては、(2)のような時間軸自体が背景に退き、むしろ各地域のもつ固有の特徴や価値に、人々の関心が向かうようになる。

 (4)(2)の拡大・成長の時代は、中央集権化が強固に進む時代でもあった。
 なぜなら集権的なシステムのほうが経済にとってより効果的だったからだ。
 ここで「経済の空間的ユニット」という視点がポイントになる。つまり工業化の時代においては、鉄道の敷設にしても、道路建設や工場の配置にしても、到底ひとつの地域では完結せず、国レベルのプランニングが重要だ。おのずとそれは、「中央」での政策決定を要請する。

 (5)(3)の、現在のようなポスト工業化の成熟時代においては、人々の主な関心は福祉や環境、まちづくりやコミュニティーといった領域となっていく。これらは、本来的に「ローカル」な性格のものだ。
 つまり、経済構造の変化に伴って、問題解決の空間的ユニットがシフトしているのだ。
 ここにローカリゼーションないし分権化の基本的根拠がある。

 (6)他方、各地域は互いに孤立して存在するのではない。特に東京などの大都市は、地方都市や農村部から食料やエネルギーを安価に調達している。そこには、ある種の「不等価交換」が存在する。よって、地域間の「再分配」の仕組みが同時に不可欠だ(再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度や農業支援を含む)。
 ローカルな経済循環から出発し、再分配の仕組みを重層的に組み込みつつ、ナショナル、グローバルへと積み上げていく。・・・・そうした社会の構想(「緑の福祉国家」)が、いま求められているのではないか。

□広井良典(千葉大教授)「ポスト成長期は地域の時代 ~(未来への発想委員会)地方分権を問い直す:上~
(朝日デジタル 2014年3月7日05時00分)

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