語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【沖縄】のメッセージを日本政府に伝えていくことが重要

2014年12月05日 | 社会
 辺野古建設に反対する沖縄県知事が誕生した。10万票の大差をつけた。
 この結果は米国にも大きな影響を与える。米主要メディアはこぞって長文の記事を掲載した。
 <例>「日本政府への打撃」【「ニューヨークタイムズ」】
     「事態を複雑にした」【ワシントン・ポスト」/「星条旗新聞」】

 鳩山由紀夫・首相(当時)が普天間基地の県外移設を主張してから、辺野古基地建設反対は文字どおり「オール沖縄」の取り組みとなった。昨年1月には、県内全市町村長による「建白書」行動も行われた。
 しかし、昨秋、中央からの圧力で県選出の自民党国会議員が辺野古を容認。昨年12月末には仲井眞弘多・知事(当時)が埋め立てを承認した。

 猿田佐世・新外交イニシアティブ(ND)事務局長は、どのように沖縄の基地問題をワシントンに伝えるか、という視点でこの問題に取り組んできた。自ら米政府・議会にロビーイングし、国会議員を含む沖縄の方々の訪米活動をサポートしてきた。

 沖縄の基地問題をめぐって、ワシントンには多様な意見が存在する。
 特に鳩山政権時代には、さまざまな角度から議論が活発化した。リチャード・アーミテージ“日米関係の守護神”なども、辺野古以外を検討すべき、という発言を繰り返した。米政府でも別案を検討する人々が現れていた。ジョン・マケインら有力米上院議員は現在の計画は実行不可能との声明を発表した。
 しかし、近年、尖閣諸島や歴史問題などに米国の日本専門家の関心が移るにつれ、沖縄が話題にのぼる頻度は低下した。

 とはいえ、米政府は常に状況を注視している。辺野古で調査が開始されたこの夏、米国の「知日派」から真っ先に問いがあったのは、「反対派は何人集まっているか」だった。その地で基地運用を予定する米国としては、反対の規模は強い関心事だ。
 そこに、この知事選の結果だ。
 むろん、米政府が直ちに政策を変えることはない。安倍政権も強行姿勢を崩さない。この選挙で事態がすぐに変わると思うのは誤りだ。

 やらねばならぬことは多い。
 「日米政府に沖縄のメッセージを伝えていく」【翁長雄志】 
 これが何よりも重要だ。米国内の活動に限っても、連邦議会の上院軍事委員会、歳出委員会への訴え、米基地予算案に係るロビーイング、各シンクタンクとの連携など、これまで誰も戦略的・継続的に取り組んだことのない多くの課題を一つ一つ実践していかねばならない。
 翁長・新知事は、ワシントン沖縄オフィスの開設を公約に掲げていた。オール沖縄での米国への働きかけをNDは全面的にサポートしていく。

 ワシントンでは、安全保障の観点を踏まえて立論しなければならない。
 どの場面で海兵隊を用いるのか。なぜ海兵隊は沖縄にいなければならないのか。
 分析を進めれば、「抑止力」の観点からも米海兵隊が沖縄にいる必然性はないことがわかる。
 このような議論をワシントンの安保専門家と深めることも重要だ。

□猿田佐世「日本政府に沖縄のメッセージを伝えていくことが重要 ~強化される沖縄の自己決定権~」(「週刊金曜日」2014年11月28日号)
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 【参考】
佐藤優】【沖縄】辺野古への新基地建設は絶対に不可能だ
【佐藤優】沖縄の人の間で急速に広がる「変化」の本質 ~民族問題~