語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】中村真生子「叶わなかった思い」

2015年06月17日 | 詩歌
 叶わなかった思いが
 陽炎のようにゆれている。
 ゆらゆらと。

 叶わなかった思いは
 高く高く天へと昇る。

 叶わなかった思いは
 星となり
 夜空を照らす。

 叶わなかった思いは
 空を埋め
 今日も輝く。

 叶わなかった思いは
 あなたの心。

 叶わなかった思いは
 私の心。

 叶わなかった思いも
 美しい。

□中村真生子「叶わなかった思い」(『メルヘンの木』(祐園、2005))
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 【参考】
【詩歌】中村真生子「永くて遠い神」
【詩歌】中村真生子「自分育て」
【詩歌】中村真生子「語る」
【詩歌】中村真生子「蠢く」
【詩歌】中村真生子「メルヘンの木」
【本】中村真生子『メルヘンの木』

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【古賀茂明】「信念」を問われる政治家 ~違憲な安保法制~

2015年06月17日 | 社会
 (1)6月4日、憲法審査会でハプニングが起きた。
 参考人からの意見聴取で、与党が推薦した長谷部恭男・早大教授が、集団的自衛権の行使を容認している安保法案を「憲法違反」と明言したのだ。
 むろん、まともな憲法学者が違憲だというのは当たり前のことで、それ自体は何らニュース性はない。
 では、なぜ大事件として扱われるのだろうか。

 (2)実は、野党とマスコミの都合で「そもそも違憲論」がかすんできている。
  (a)野党・・・・集団的自衛権を認めたいと考えるタカ派議員を多く抱える民主党や維新の党は、タカ派議員の反発を怖れて、違憲論議は形だけにとどめていた。
  (b)大手新聞・・・・軽減税率の対象に新聞を入れてもらいたい、という下心があり、政府に本気で反対することができない。そこで、そもそも違憲だ、という論調は弱め、今国会での成立を目指すのでは議論が不十分だ、という「拙速論」に傾斜していた。

 (3)与党推薦の学者が堂々と「違憲論」を述べたことで、民主も維新もこれを追求せざるをえなくなり、「違憲論」を前面に出し始めた。
 ここで矢面に立つのが、中谷元・防衛相だ。同相は、これまで
   「解釈の変更はもう限界にきており・・・・」
   「政治家として解釈のテクニックで騙したくない。・・・・『集団的自衛権は行使できない』と言った以上は、『本当はできる』とは言えません」
などと、憲法改正でなく、憲法解釈を変更することで集団的自衛権行使を容認することには反対・・・・という立場を明確にしていた。
 今回、政治家としての「信念」を問われる形になった同相は、
   「昨年の閣議決定は、行政府による裁量の範囲内であると考えまして、私はこれをもって憲法違反にはならないという考えに至っている」
と自らの変節を正直に認めてしまった。

 (4)中谷防衛相と好対照なのが、安倍首相の「ポツダム宣言」発言だ。
 同宣言は、太平洋戦争を日本が世界征服を目指した戦争だ、とした上で、一部の軍国主義者を戦争犯罪者として糾弾する一方、一般国民を戦犯に騙された被害者だ、と位置づけている。
 侵略戦争だ、という位置づけに係る認識を問われた首相は、同宣言の
   「その部分を詳らかに読んでいないので、論評は差し控えたい」
と発言した。むろん、その部分を読んでいないわけはないし、手元に同宣言がなくても、侵略戦争だ、という認識は、首相であれば持っていなければならない。
 首相はしかし、これまで、「A級戦犯は犯罪人ではない」などと述べ、騙された国民より軍国主義者の側に立っていた。それが首相の「信念」なのだ。

 (5)後日、首相は、ポツダム宣言受諾の事実は認めたものの、自らの口から「侵略戦争」という言葉を発することはなかった。むろん、戦犯が犯罪人だとも言わなかった。
   「信念」を簡単に捨てた防衛相
   姑息に逃げ回りながら、外には言えない「信念」を隠し通そうとする首相
 政治家として信頼できないのは、どちらも同じ。
 こんな人たちに、安保法制という「刃物」を与えたらどうなるか。
 「侵略戦争」から70年経って、国民は再び騙されるのか。

□古賀茂明「「信念」を問われる政治家 ~官々愕々第159回~」(「週刊現代」2015年6月27日号)
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