傷ついた鹿は一番高く躍り上がると
狩人のいうのを聞いたことがある
それはただ死の法悦にすぎなく
やがて叢(くさむら)は静かになる
砕かれた岩はいずみをほとばしる
踏まれた鋼は跳ねかえす
頬は病に冒されると
かえって紅くなる
陽気は苦悩のよろい
なかでそれは注意ぶかく守っている
だれかが血を見付けて
“傷ついている”と叫ばないように
A wounded deer leaps highest,
I've heard the hunter tell;
'Tis but the ecstasy of death,
And then the brake is still.
The smitten rock that gushes,
The trampled steel that springs:
A cheek is always redder
Just where the hectic stings!
Mirth is the mail of anguish,
In which it caution arm,
Lest anybody spy the blood
And "You're hurt" exclaim!
□エミリー・ディキンソン「」(『ディキンソン・フロスト・サンドバーグ詩集 ~世界詩人全集12~』、新潮社、1968)
□亀井俊介編『対訳 ディキンソン詩集 ~アメリカ詩人選(3)』(岩波文庫、1998)
□MABEL LOOMS TODD & T.W.HIGGINSON “Collected Poem of EMILY DICKINSON”,Crown Publishers,Inc.1982
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【詩歌】エミリー・ディキンソン「声高く戦うのは勇ましい」」
「【詩歌】エミリー・ディキンソン「もし駒鳥たちがやってくるころ」」
「【詩歌】エミリー・ディキンソン「成功はすばらしく思われる」」
狩人のいうのを聞いたことがある
それはただ死の法悦にすぎなく
やがて叢(くさむら)は静かになる
砕かれた岩はいずみをほとばしる
踏まれた鋼は跳ねかえす
頬は病に冒されると
かえって紅くなる
陽気は苦悩のよろい
なかでそれは注意ぶかく守っている
だれかが血を見付けて
“傷ついている”と叫ばないように
A wounded deer leaps highest,
I've heard the hunter tell;
'Tis but the ecstasy of death,
And then the brake is still.
The smitten rock that gushes,
The trampled steel that springs:
A cheek is always redder
Just where the hectic stings!
Mirth is the mail of anguish,
In which it caution arm,
Lest anybody spy the blood
And "You're hurt" exclaim!
□エミリー・ディキンソン「」(『ディキンソン・フロスト・サンドバーグ詩集 ~世界詩人全集12~』、新潮社、1968)
□亀井俊介編『対訳 ディキンソン詩集 ~アメリカ詩人選(3)』(岩波文庫、1998)
□MABEL LOOMS TODD & T.W.HIGGINSON “Collected Poem of EMILY DICKINSON”,Crown Publishers,Inc.1982
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【詩歌】エミリー・ディキンソン「声高く戦うのは勇ましい」」
「【詩歌】エミリー・ディキンソン「もし駒鳥たちがやってくるころ」」
「【詩歌】エミリー・ディキンソン「成功はすばらしく思われる」」