語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】エミリー・ディキンソン「もし駒鳥たちがやってくるころ」

2015年06月20日 | 詩歌
 もし駒鳥たちがやってくるころ
 わたしが生きていなかったら
 記念のパン屑をひとつ
 赤いネクタイをした者にあげて下さい

 もしわたしがよく眠っていて
 あなたにお礼が言えなくても
 固い石の唇で
 言おうとしているのを知って下さい

 If I shouldn't be alive
 When the robins come,
 Give the one in red cravat
 A memorial crumb.

 If I couldn't thank you,
 Being just asleep,
 You will know I'm trying
 With my granite lip!

□エミリー・ディキンソン「もし駒鳥たちがやってくるころ」(『ディキンソン・フロスト・サンドバーグ詩集 ~世界詩人全集12~』、新潮社、1968)
□亀井俊介編『対訳 ディキンソン詩集 ~アメリカ詩人選(3)』(岩波文庫、1998)
□MABEL LOOMS TODD & T.W.HIGGINSON “Collected Poem of EMILY DICKINSON”,Crown Publishers,Inc.1982
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 【参考】
【詩歌】エミリー・ディキンソン「成功はすばらしく思われる」

【労働】派遣労働の待遇悪化 ~「改正労働者派遣法」案~

2015年06月20日 | 社会
 (1)今国会で「改正労働者派遣法」案が審議中。目玉は、業務別に設けていた派遣受け入れ期間の制限撤廃だ。

 (2)必要な専門スキルを持った人材を自社で育てるには時間がかかる。突発的な事情が発生して、急遽人材を増やさねばならないが、採用が追い付かない・・・・。
 派遣法は、こうした事情でえ採用難に陥った企業の人材不足を一時的に補うために、派遣社員を活用する観点から定められた。派遣社員の活用はあくまで急場しのぎであって、その間に必要な人材を自社で採用・育成せよ、というものだ。
 そのため、かつては派遣社員を活用できる業務そのものが制限されていた。しかし、改正を重ね、今は建設業務、警備業務、医療業務など一部の業務を除き、原則として自由化された。
 また、ソフトウェア開発、OA機器の操作、財務処理など専門的知識や技術が必要とされる26種類の専門業は派遣受け入れ期間の制限がない。その他の一般業務は、派遣受け入れ期間の制限がある(最長3年)。

 (3)しかし、IT化により26業務の専門性がだんだん薄れてきた。特別採用が困難な業務とは言えなくなってきた。
 今や、派遣社員が会社に常駐し、正社員の椅子がどんどん減っている会社も少なくない。
 そこで、「派遣社員は急場しのぎの人材」という本来の法律の趣旨をはっきりさせるために、今回の改正では
  (a)専門26業務と一般業務の区分を廃止し、
  (b)すべての業務で派遣社員一人が働くことができる期間を最長3年に制限する(3年ルール)を設定する
ことになった。
 
 (4)問題点は、すべての業務で派遣社員が3年ごとに雇い止めとなるリスクが発生することだ。
 同じ派遣先(<例>金曜日商事)で働き続けるためには、派遣社員Aさんは、
  <例>3年ごとにX課からY課へ、さらにZ課へ・・・・と違う部署を渡り歩く必要がある。
 現行派遣法の一般業務では、派遣社員Aさんが3年働いた後は、そのポストで別の派遣社員Bさんが働くことはできなかった。
 ところが改正派遣法では、派遣社員Aさんが3年働いた後は、そのポストで別の派遣社員Bさんが働くことができるのだ。派遣社員の顔を変えれば、派遣先は同じポストで派遣社員を活用し続けることができる、ということだ。
 もし、「別の派遣社員に着てもらえば、ポスト探しの手間が省ける」と派遣先が考えるならば、派遣社員Aさんは金曜日商事を去らねばならない。

 (5)派遣先と無期雇用契約を結んだ場合、つまり派遣会社のいわゆる正社員になっている場合、3年ルールの対象外となり、同じポストで3年を超えて働き続けることは可能だ。
 しかし、派遣会社の正社員化が進むことは期待できない。
 改正法案の新3年ルールは、3年ごとに派遣先を渡り歩く派遣労働者の派遣先の“渡り鳥化”を進める規制強化になってしまいそうだ。

□稲毛由佳(社会保険労務士・ジャーナリスト)「派遣労働の待遇悪化につながる「改正労働者派遣法」案のポイント解説」(「週刊金曜日」2015年6月12日号)
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