眼が見えなくなるまえに
私は十分見ておきたい--
眼をもっている他のひとたちと
すこしも変わらないように
だがもし今日
空が私のものだと告げられたら
自分の姿に
胸が張り裂けてしまうだろう
牧場も 私のもの
山々も 私のもの
すべての森 果てしない星も
私の限られた眼でとらえられる
真昼のすべても
水に浸かる小鳥の動作や
朝のこはく色の道も
眺めたいときにいつでも眺められるとしたら
話だけで即死してしまうだろう
むしろ窓ガラスに
魂だけ置く方が危なくない--
他のひとたちは
太陽にかまわず眼を寄せても
Before I got my eye put out,
I liked as well to see
As other creatures that have eyes,
And know no other way.
But were it told to me, to-day,
That I might have the sky
For mine, I tell you that my heart
Would split, for size of me.
The meadows mine, the mountains mine, --
All forests, stintless stars,
As much of noon as I could take
Between my finite eyes.
□エミリー・ディキンソン「眼が見えなくなるまえに」(『ディキンソン・フロスト・サンドバーグ詩集 ~世界詩人全集12~』、新潮社、1968)
□亀井俊介編『対訳 ディキンソン詩集 ~アメリカ詩人選(3)』(岩波文庫、1998)
□MABEL LOOMS TODD & T.W.HIGGINSON “Collected Poem of EMILY DICKINSON”,Crown Publishers,Inc.1982
↓クリック、プリーズ。↓
【参考】
「【詩歌】エミリー・ディキンソン「わたしは苦悩の表情が好き」」
「【詩歌】エミリー・ディキンソン「傷ついた鹿は一番高く躍り上がると」」
「【詩歌】エミリー・ディキンソン「声高く戦うのは勇ましい」」
「【詩歌】エミリー・ディキンソン「もし駒鳥たちがやってくるころ」」
「【詩歌】エミリー・ディキンソン「成功はすばらしく思われる」」
私は十分見ておきたい--
眼をもっている他のひとたちと
すこしも変わらないように
だがもし今日
空が私のものだと告げられたら
自分の姿に
胸が張り裂けてしまうだろう
牧場も 私のもの
山々も 私のもの
すべての森 果てしない星も
私の限られた眼でとらえられる
真昼のすべても
水に浸かる小鳥の動作や
朝のこはく色の道も
眺めたいときにいつでも眺められるとしたら
話だけで即死してしまうだろう
むしろ窓ガラスに
魂だけ置く方が危なくない--
他のひとたちは
太陽にかまわず眼を寄せても
Before I got my eye put out,
I liked as well to see
As other creatures that have eyes,
And know no other way.
But were it told to me, to-day,
That I might have the sky
For mine, I tell you that my heart
Would split, for size of me.
The meadows mine, the mountains mine, --
All forests, stintless stars,
As much of noon as I could take
Between my finite eyes.
□エミリー・ディキンソン「眼が見えなくなるまえに」(『ディキンソン・フロスト・サンドバーグ詩集 ~世界詩人全集12~』、新潮社、1968)
□亀井俊介編『対訳 ディキンソン詩集 ~アメリカ詩人選(3)』(岩波文庫、1998)
□MABEL LOOMS TODD & T.W.HIGGINSON “Collected Poem of EMILY DICKINSON”,Crown Publishers,Inc.1982
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【参考】
「【詩歌】エミリー・ディキンソン「わたしは苦悩の表情が好き」」
「【詩歌】エミリー・ディキンソン「傷ついた鹿は一番高く躍り上がると」」
「【詩歌】エミリー・ディキンソン「声高く戦うのは勇ましい」」
「【詩歌】エミリー・ディキンソン「もし駒鳥たちがやってくるころ」」
「【詩歌】エミリー・ディキンソン「成功はすばらしく思われる」」