語られる言葉の河へ

2010年1月29日開設
大岡昇平、佐藤優、読書

【詩歌】中村真生子「やがて、いつか」

2015年06月18日 | 詩歌
 少しずつ
 別れるための
 準備をしなくては
 と思った。

 まだ元気なうちに
 気づいたことに
 感謝する。

 そして・・・・
 やがて、いつか。

 少しずつ
 還るための
 準備をしなくては
 と思った。

 まだ元気なうちに
 気づいたことに
 感謝する。

 そして・・・・
 やがて、いつか。

□中村真生子「やがて、いつか」(『メルヘンの木』(祐園、2005))
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 【参考】
【詩歌】中村真生子「叶わなかった思い」
【詩歌】中村真生子「永くて遠い神」
【詩歌】中村真生子「自分育て」
【詩歌】中村真生子「語る」
【詩歌】中村真生子「蠢く」
【詩歌】中村真生子「メルヘンの木」
【本】中村真生子『メルヘンの木』

        山陰柴犬「かれん」(写真提供:中村真生子さん)
      

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【堤未果】地方の介護現場を完全に無視 ~高齢者の「移住」提言~

2015年06月18日 | 医療・保健・福祉・介護
 (1)有識者会議の「日本創成会議」は、団塊世代が75歳以上になる「’25年問題」をふまえ、
    高齢者を元気なうちに東京から全国41地域へ移住させる
という提言をまとめた。不足する施設やサービスの奪い合いを防ぎ、地方の活性化につなげるのが狙いだ、という。

 (2)(1)の提言に対する疑問点は多い。
 <例>同会議が移住先として選定した地域は、雇用を生むという利点はあるものの、医療や在宅サービスの現状が考慮されていない。
 同会議は、地方には東京より多くの受け入れ枠がある、という。だが、同会議のメンバーは果たして地方の介護現場を視察したのだろうか?

 (3)地方では、報酬が安すぎて介護スタッフが集まらず、閉鎖したり、施設を建てても開所が大幅に遅れる、といった問題が多い。施設数イコール受け入れ枠と容易に考えるのは危険だ。  
 介護業界の民間企業参入が拡大する一方、政府が介護報酬を切り下げたニュースはまだホットだ。
 今回の介護報酬切り下げの結果、介護事業所や有料老人ホームの倒産が急増、現時点では過去最悪のペースで増加中だ【東京商工リサーチ】。
 政府は更なる段階的介護報酬切り下げを行う意向だ。しかし、中小の介護施設が大手に淘汰されていくことが、地元に密着した地域医療に与える負の影響は小さくない。

 (4)厚労省は、人手不足解消に、海外から移民を受け入れる、という。
 しかし、言葉の壁、社会保障費の問題、業界全体の報酬低下リスクなどをふまえると、これも長期的解決策とは言いがたい。
 介護業界に人材が集まらない最大の原因は報酬だ。報酬体系を見直し、若者を呼びこむ施策とセットで導入しないと、本末転倒になってしまう。

 (5)都心から地方へ高齢者が移住した場合、特別養護老人ホーム入所枠の、地域内での奪い合いの問題もある。
 政府は、近年「施設介護ではなく在宅介護へ」と促す政策を推進しているが、自治体で総量が規制されている特別養護老人ホームの不足問題をどうするか。現実的対策が必要だ。

 (6)そもそも、政府と日本創成会議は、若年層から中年世代までが暮らしやすくなるよう地方を活性化させることを目指していたはずだ。いつのまに、「地方活性化」と「高齢者福祉」という二つの異なる政策が混在してしまったのか。 

 (7)人間は、加齢に伴い、住み慣れた環境や家族のそばで暮らしたい、と願う。
 高齢になってからの急激な環境変化でえ体調を崩すケースも少なくない。
   「施設が足りないから地方へどうぞ」
だけでは、自発的に移住するインセンティブとしては弱い。
 日本創成会議は、この提言をまとめる過程のなかで、当事者や現場の声をどれくらい聞いたのか。

 (8)介護ビジネスの波は、確実に世界で広がっている。
 日本同様高齢化が進むドイツでは、国内の施設費用が支払えない高齢者の多くが、3分の1の費用で済むポーランドやアジアの国に移住している。
 日本も、確実にこの流れの方へ向いている。
 今年3月、東南アジア最大の病院チェーン「IHHヘルスケア」が日本の介護老人福祉施設5ヶ所の買収計画を発表した。経営者が外国人となったとき、果たして国の目は行き届くのか。
 世界で最速で超高齢社会となる日本で、高齢者の「移住」のような政策を実施するには、今よりずっと慎重な議論が要請される。

□堤未果「地方の介護現場を完全に無視した高齢者の「移住」提言 ~ジャーナリストの目 第256回~」(「週刊現代」2015年6月27日号)
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 【参考】
【堤未果】本当に患者のためか疑問 ~国民健康保険法の改正~
【堤未果】サービス残業は絶対なくならない ~残業代ゼロ法案~
【堤未果】医師不足に拍車をかける国家戦略特区
【堤未果】「イスラム国」掃討と膨れあがる米の軍事費 ~いつか来た道~
【堤未果】格差大国アメリカの後を追う日本 ~金融緩和と年金改革~
【堤未果】米国社会の変質 ~ミズーリ州の武装警察~
【米国】国民皆保険という美名の裏で大増税開始 ~オバマケア~
【食】中国の鶏肉問題--流通のグローバル化で食の安全はますます困難に
【堤未果】「水道の民営化」が招く社会インフラ大崩壊 ~価格高騰に水質低下~
【堤未果】「社会保障のための増税」のウソ ~来るべき医療崩壊~
【堤未果】世界が危惧する日本のジャーナリズム ~「監視大国」米国以下~
【堤未果】アベノミクスと米国経済の危うい共通点
国の鶏肉問題--流通のグローバル化で食の安全はますます困難に」
【政治】国家戦略特区法の危険性
【米国】と日本における民営化の悲惨 ~株式会社化する国家~  




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