あなたは黒髪をむすんで
やさしい日本のきものを着ていた
あなたはわたしの膝の上に
その大きな眼を花のようにひらき
またしずかに閉じた
あなたのやさしいからだを
わたしは両手に高くさしあげた
あなたはあなたのからだの悲しい重量を知っていますか
それはわたしの両手をつたって
したたりのようにひびいてきたのです
両手をさしのべ眼をつむって
わたしはその沁みてゆくのを聞いていたのです
したたりのように沁みてゆくのを
□中野重治「わかれ」(『中野重治詩集』(岩波文庫、1978))
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【参考】
「【詩歌】中野重治「あかるい娘ら」」
「【詩歌】中野重治「しらなみ」」
「【詩歌】中野重治「浦島太郎」」
「【詩歌】中野重治「豪傑」」
やさしい日本のきものを着ていた
あなたはわたしの膝の上に
その大きな眼を花のようにひらき
またしずかに閉じた
あなたのやさしいからだを
わたしは両手に高くさしあげた
あなたはあなたのからだの悲しい重量を知っていますか
それはわたしの両手をつたって
したたりのようにひびいてきたのです
両手をさしのべ眼をつむって
わたしはその沁みてゆくのを聞いていたのです
したたりのように沁みてゆくのを
□中野重治「わかれ」(『中野重治詩集』(岩波文庫、1978))
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【参考】
「【詩歌】中野重治「あかるい娘ら」」
「【詩歌】中野重治「しらなみ」」
「【詩歌】中野重治「浦島太郎」」
「【詩歌】中野重治「豪傑」」