1922(大正11)年6月25日生、2015(平成27)年7月20日没。93歳。
初めてその顔を拝見したのは、ウィルフレッド・バーチェット【注1】が京都で講演したときのことだ。鶴見俊輔が通訳し、松田道雄が解説した。
ベ平連が元気なころだった。私は参加していないが、大学のサークル仲間にベ平連の活動に熱心な男がいた。闘士というより、心やさしく、他人の痛みがわかる男だった。
上野千鶴子は、24日付け朝日紙に寄せた追悼文「どこにも拠らず考えぬいた」で、<鶴見さんは、このひとが同時代に生きていてくれてよかった、と心から思えるひとのひとりだった>【注2】と書いている。まったく同感である。
《鶴見俊輔語録》
「憲法改正に関する国民投票を恐れてはいけない。その機会が訪れたら進んでとらえるのがいいんじゃないかな」「護憲派が六対四で負けるかもしれない。(中略)負けても四あることは力になる。そんなに簡単に踏みつぶせませんよ」(97年、憲法施行50年の朝日新聞インタビューで)
「団結には恐ろしさがあるんです。『正義になる団結はいいじゃないか』というけど、そうじゃない。正義の団結がまた恐ろしいんです。正義の団結が十字軍もつくった、大東亜戦争までいくんですからね」(04年、「歴史の話」)
「いい人ほど友達として頼りにならない。いい人は世の中と一緒にぐらぐらと動いていく。でも、悪党は頼りになる、敵としても味方としてもね」(11年、「日本人は何を捨ててきたのか」)
【注1】オーストラリア生まれのジャーナリスト。中野好夫訳『十七度線の北―ヴェトナムの戦争と平和』上・下巻(岩波新書、1957年)ほか。
【注2】上野千鶴子「リベラル、鶴見俊輔氏のための言葉 上野千鶴子氏追悼文」(朝日デジタル 2015年7月24日)
□記事「戦争体験、反戦の力に 多才な行動派 鶴見俊輔さん死去」(朝日デジタル 2015年7月24日)
□天声人語「鶴見俊輔さん逝く」(朝日デジタル 2015年7月25日)
□社説「鶴見さん逝く 個々の行動に宿る理念」(朝日デジタル 2015年7月25日)
*
《いい人》
そう、いい人がいけない。悪人性がないでしょう。だから、真面目な人、いい人は困るなぁ。「正義の人ははた迷惑だ」。
いい人ほど友達として頼りにならない。いい人は世の中と一緒にぐらぐらと動いていく。でも、悪党は頼りになる、敵としても味方としてもね。悪党はある種の法則性を持っているんだ。これこれのことをやれば、これこれのことが出てくるというね。
ですから、なるべく、わたしは何か事を起こすときに、悪人性が少しある人を仲間にしたい。完全な善人は困るよ。
(「日本人は何を捨ててきたのか」2011年)
□『鶴見俊輔語録(1) 定義集-警句・箴言・定義-』(皓星社、2011)
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【参考】
「【読書余滴】鶴見俊輔の書評術」
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初めてその顔を拝見したのは、ウィルフレッド・バーチェット【注1】が京都で講演したときのことだ。鶴見俊輔が通訳し、松田道雄が解説した。
ベ平連が元気なころだった。私は参加していないが、大学のサークル仲間にベ平連の活動に熱心な男がいた。闘士というより、心やさしく、他人の痛みがわかる男だった。
上野千鶴子は、24日付け朝日紙に寄せた追悼文「どこにも拠らず考えぬいた」で、<鶴見さんは、このひとが同時代に生きていてくれてよかった、と心から思えるひとのひとりだった>【注2】と書いている。まったく同感である。
《鶴見俊輔語録》
「憲法改正に関する国民投票を恐れてはいけない。その機会が訪れたら進んでとらえるのがいいんじゃないかな」「護憲派が六対四で負けるかもしれない。(中略)負けても四あることは力になる。そんなに簡単に踏みつぶせませんよ」(97年、憲法施行50年の朝日新聞インタビューで)
「団結には恐ろしさがあるんです。『正義になる団結はいいじゃないか』というけど、そうじゃない。正義の団結がまた恐ろしいんです。正義の団結が十字軍もつくった、大東亜戦争までいくんですからね」(04年、「歴史の話」)
「いい人ほど友達として頼りにならない。いい人は世の中と一緒にぐらぐらと動いていく。でも、悪党は頼りになる、敵としても味方としてもね」(11年、「日本人は何を捨ててきたのか」)
【注1】オーストラリア生まれのジャーナリスト。中野好夫訳『十七度線の北―ヴェトナムの戦争と平和』上・下巻(岩波新書、1957年)ほか。
【注2】上野千鶴子「リベラル、鶴見俊輔氏のための言葉 上野千鶴子氏追悼文」(朝日デジタル 2015年7月24日)
□記事「戦争体験、反戦の力に 多才な行動派 鶴見俊輔さん死去」(朝日デジタル 2015年7月24日)
□天声人語「鶴見俊輔さん逝く」(朝日デジタル 2015年7月25日)
□社説「鶴見さん逝く 個々の行動に宿る理念」(朝日デジタル 2015年7月25日)
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《いい人》
そう、いい人がいけない。悪人性がないでしょう。だから、真面目な人、いい人は困るなぁ。「正義の人ははた迷惑だ」。
いい人ほど友達として頼りにならない。いい人は世の中と一緒にぐらぐらと動いていく。でも、悪党は頼りになる、敵としても味方としてもね。悪党はある種の法則性を持っているんだ。これこれのことをやれば、これこれのことが出てくるというね。
ですから、なるべく、わたしは何か事を起こすときに、悪人性が少しある人を仲間にしたい。完全な善人は困るよ。
(「日本人は何を捨ててきたのか」2011年)
□『鶴見俊輔語録(1) 定義集-警句・箴言・定義-』(皓星社、2011)
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【参考】
「【読書余滴】鶴見俊輔の書評術」
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