徒然なるままに…建築家のボヤキ。。。

I・N設計スタジオ ブログ

原点回帰のプチ探訪 その1

2008-08-04 11:42:53 | 建築つれづれ…
 8月2日、3日と仕事で東京に行ってきました。2日は仕事の打合せを古巣の事務所に行って後輩と打合せです。その夜は先日以前のコラムで書いたSGセミナー2008のメンバーと同窓会という名目の飲み会に参加。3日にはフリーでしたのでさて何を見てこようかという事になりまして…、私の出した答えが「原点回帰」でした。今こうして建築設計の仕事をさせてもらい、独立をし、古巣の事務所から仕事を依頼されたのも「あの時」があるからです…。いくつかのあの時を訪ねてみようと思いました。
 最初に「建築」に興味が出始めた「あの時」とは?親父が大工だったせいもあってガキの頃から建築には触れる機会が結構ありました。小学生の頃だったと思います。あるとき家に本があって、何気なしにその本を開いたんです。そうしたら、すごい建築が目に飛び込んできたんです。当時の私の目には渦巻きが2つ連なっている巨大な建物という印象でしたが、その印象がかなり強烈でした。こんなことができるんだ…、建築といえば田舎暮らしの私には、一般的な個人住宅がほとんどだったので、それはそれは強烈でした。そう丹下健三氏の「国立代々木競技場」です。おぼろげながら建築に興味を抱き始めた原点。早速代々木に向かいました。 
 明治神宮前の交差点から巨大なフォルムを現す代々木競技場。1960年代に競技を行う選手たちの向上心を鼓舞するような垂直に延びていくフォルムと優雅な2次曲面を超高力鋼サスペンション構造を採用し表現した。当時は高度経済成長期で全ての日本人が未来志向になってきていたから実現できた建築だと思う。コンクリートという重量素材で2次曲面をこんなにきれいに表現している、単純にすごい。晩年の丹下さんの作品は個人的にはコテコテしててあまり好きではない、東京都庁しかり、フジテレビしかり。しかしこの頃の作品は晩年とは違いシャープなものが多い。直線と曲線の表現が繊細と言うかなんと言うか…、たまらない。この作品を本で見たからこそ今の自分がある…。2016年の東京オリンピック招致委員会理事の建築家・安藤忠雄氏は、尊敬の念をこめてこの競技場を再利用すると言っている。もう丹下さんはこの世にいないがこうして彼の魂はいまだ風化されずに生きている。 ~つづく~
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