徒然なるままに…建築家のボヤキ。。。

I・N設計スタジオ ブログ

悔しい…落選。。。

2008-11-04 17:29:01 | 建築つれづれ…
 先日このブログで話題にしたコンペの結果が発表になった。残念ながら我々の案は受け入れてもらえなかった。今日はこの場で言わせてもらいたい…。ちょっと辛辣な意見になるのをご了承下さい…。負け犬の遠吠えと思って読んでもらっても構いません。
 コンペの難しさは先日書いた通り。審査員の思惑からそんなにも我々の案が外れていたのだろうか?いやそうではない、敗因は分かっている、ただひとつ工事費だ。それが予算よりかなりオーバーしていることだけで、案の内容云々より最初からはじかれた感じ…。工事費だけで案を選ぶのであればコンペという手法は取らなくてもいいはずである。そもそもコンペというのは案を選ぶはずの手法。専門的な提案内容があって、提案内容が優れている案が当選となるはずべきもの。それが工事費ありきでポイでは提案にならない。いい案を実現するためにはそれなりにイニシャルコスト(工事費)はかかってしまう。そのせめぎあいの中で案を考えていくのであるけども、最初からかなり無謀とも思える予算を押し付けられ、あれもこれもほしいと要望は天井知らずで、いい提案をお願いしますではそれは無茶というもの。予算がないからとハナから1億減らしたり、数10年前の唯一のほったて小屋同然の類似施設を例にとって予算を決めるというような手法は、明らかに乱暴なやり方である。市場調査をやり、綿密に予算を組み立てられるべきで、予算の組み立ては論理的に行ってほしいものであると痛感した。
 丸々2ヶ月間没頭して案を作成した。その労力は計り知れない。参加報酬も貰えないことが多々ある。経営という観点から見れば、落選すれば真っ赤っかのコンペはリスクが多い。でもやらなければ力もつかない。田舎の一設計事務所ではそのジレンマといつも闘うはめになり、コンペ・プロポーザルになった瞬間に辞退する設計事務所も多数あるのが実情である。建築家(設計者)が施主を教育し、施主が設計者を育てる。そんな持ちつ持たれつの関係が理想で、その関係がうまくいけば、安けりゃいいという風潮もなくなると思うのだが…。
 いい建築を実現したいと思っているのは、建築家と言われる人たちが常に抱えている大命題である。そしてその情熱からできたいい建築は文化そのもので、夢の実現でもある。夢を語れず、文化的創造もできない環境では「建築家」は育たない。「ただの図面書き」がゴロゴロ増えるだけ。嘆かわしい現実である。我々は信念を貫き、高い工事費で提案し落選した。残ったのは建築家としての「誇り」だけである。
コメント
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