JR直営の印刷場名は国鉄時代の印刷場名を使用します。
10年以上前に御紹介した券も再度御紹介しようかと思います。
古紙蒐集雑記帖
JR東海 東京駅発行 新横浜までの新幹線特定特急券
2024(令和6)年10月1日に、JR東海東海道新幹線の東京駅で発行された、新横浜駅までの新幹線特定特急券です。
青色JRC地紋の指定共通券紙が使用された、指定席券売機で発券されたものです。
東海道新幹線は今年で東京駅~新大阪駅間開業60周年を迎えますが、その間にいくつか途中駅が開業しました。
現在、東京駅の次は品川駅ですが、開業当時は品川駅には新幹線の駅はなく、東京駅の次は新横浜駅になっていました。そのため、現在でも東京駅から新横浜駅までの区間については旅客側に不利が生じないよう、特例として新幹線特定特急券が発売されています。
このような区間は、東海道区間では他に、三島駅~静岡駅間や静岡駅~浜松駅間、豊橋駅~名古屋駅間など、やはり新駅開業による特例があります。
JR東海 品川駅発行 東京駅ゆき 乗車券・新幹線特定特急券 一葉券
東海道新幹線が開業60周年を迎えた2024(令和6)年10月1日に、JR東海東海道新幹線の品川駅で発行された、東京駅ゆきの片道乗車券と新幹線特定特急券の一葉券です。
水色JRC地紋の特殊指定共通券紙の85㎜券で、指定席券売機で発券されたものです。
御紹介の券は、管理人が会社の帰りに使用したもので、通常であればこのようなことはいたしませんが、開業60年目の節目ということで、短い区間ではありますが、新幹線を利用した次第です。
券面を見ますと、乗車券が180円で、新幹線特定特急料金が870円と、料金が運賃の4.8倍というものですが、もし指定席を利用したら、もっと大変なことになります。
西武鉄道 稲荷山公園駅発行 260円区間ゆき 片道乗車券
1990(平成2)年9月に、西武鉄道池袋線の稲荷山公園駅で発行された、同駅から260円区間ゆきの片道乗車券です。
緑色せいぶてつどう自社地紋のB型金額式大人専用券です。
同駅では乗車券の発売は券売機でおこなわれていましたが、近隣にあります航空自衛隊入間駐屯地での「入間航空祭」開催時には、駅舎内の券売機だけでは混雑時には捌き切れないため、所沢方面側に駐屯地から直接出入りできる臨時改札口が設けられ、硬券による臨発を行っていました。
現在では硬券での臨発は終了し、拙ブログで2022年12月に御紹介いたしました、乗車券印刷機で発券された乗車券での臨発が行われています。
入間航空祭はコロナ禍の時など開催されていない年もありましたが、例年11月3日に行われており、本年(2024年)も11月3日に行われています。
しかし、御紹介の券が発券された1990(平成2)年は、同年11月に行われた大嘗祭のため、航空祭は前倒しで9月に行われています。そのため、御紹介の券は9月に発券されています。
稲荷山公園駅は、狭山稲荷山公園や狭山市立博物館、狭山市第二環境センター、ふれあい健康センターサピオ稲荷山など基地からの返還地を利用した公共施設がいくつか立地しているものの、駅前の商業施設は殆ど無く、自衛隊官舎を除いた、一般の住宅は殆どありません。そのため、同駅は西武鉄道池袋線では元加治駅に次いで乗降客の少ない駅になっていることから、本年(2024年)4月に駅員の常駐が廃止され、それに伴って出札業務も廃止となり、イベント開催時以外は乗車券の発売は行われていません。
水道橋駅発行 120円区間ゆき片道乗車券
今から41年前の1983(昭和58)年11月3日に、中央本線の水道橋駅で発行された、同駅から120円区間ゆきの片道乗車券です。
桃色こくてつ地紋のB型金額式大人専用券で、東京印刷場で調製されたものです。
同駅は同年3月にオープンした東京ドームや、その付帯施設であるビッグエックシティ(BIG EGG CITY。現・東京ドームシティ)や後楽園ゆうえんち(現・東京ドームシティアトラクションズ)、日本中央競馬会の場外勝馬投票券発売所(場外馬券売場)などの施設があり、それらの施設に行く利用客が多く、規模の割に賑わっている駅です。
恐らく、繁忙時には臨発が行われていたこともあったものと思われますが、管理人は敢えて混雑している時には近寄らないようにしていましたので、臨発を見かけたことはありません。
御紹介の券は臨発での発売ではありませんが、窓口で入場券を求めた際に、窓口氏に硬券の乗車券についてお伺いしたところ、120円券であれば常時窓口に設備しているので発売できるということでしたので購入した次第です。
当時、池袋駅や原宿駅と共に、山手線内の駅では数少ない、直営窓口発行の硬券式近距離乗車券でした。
大月駅発行 100kmまでの遅れ承知急行券
1980(昭和55)年5月に、中央本線(東線)の大月駅で発行された、100kmまでの遅れ承知急行券です。
貴褐色こくてつ地紋のA型大人・小児用券で、東京印刷場で調製されたものです。
御紹介の券は2008(平成20)年2月に御紹介させていただきたことがあるのですが、日時が経過したため、再度御紹介させていただくことにしました。
国鉄には、急行券を発売する際に、急行列車が約2時間以上遅延している場合又は約2時間以上遅延することが確実な場合は、当該列車が遅延したときであっても急行料金の払いもどしの請求をしないことを条件として遅延特約の急行券を発売し、この場合には、割引の急行料金によって遅延特約の急行券を特別な条件を付して発売することがあるという規程があり、急行列車が2時間以上遅延した場合には急行料金の全額が払い戻されることになっていますが、乗車駅で急行券の発売時において2時間以上の遅延が予想されていても、この特約により、割引急行券としての「遅れ承知急行券」を発売していました。この場合の急行料金は通常料額の5割引の設定になります。
このような「遅延特約」の制度はJRになってからでも存在するようではありますが、実際に窓口でそのような急行券類を発売することはしていないようです。
当時、大月駅から100km以内の急行料金は500円でしたので、その5割引にあたる250円が発売額になります。
通常の急行券との違いは料金の他に有効期間についても異なっており、当時の急行券類は「発売日共2日間有効」になっていました(現行は当日限り)が、遅れ承知急行券の場合はあくまでも「遅れた時の特約による」という性格上、発売当日限り有効となっています。
裏面です。券番の他、発売当日1回限り有効の旨と自由席車への乗車案内が記載されています。
当時、中央本線には「アルプス」号をはじめとして、「こまがね」「かいじ」「かわぐち」「みのぶ」などの数多くの急行列車が運転されていましたが、多少の遅れはあるものの、のっけから2時間以上の遅れが発生するという遅延特約での発売はそう多くはなかったと記憶しています。
そのためか、「大月から100km以内」という比較的需要のある区間であるにも拘らず、料金改定から8ヶ月弱経っているものの、券番は0018と比較的若い番号でした。
もともと大量に発行されるものでもないですし、発行されるかどうかも疑わしい「特別な時用」の急行券であり、駅によっては「遅延特約」もゴム印を捺印して発売することもあったため、常備券で残されているものはあまり多くはなかったものと思われます。
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