太平洋戦争における硫黄島の戦い。その硫黄島の摺鉢山頂上にアメリカ兵たちが掲げた星条旗、その写真にまつわる実話の映画化。
凄惨な硫黄島での戦いを生き延びた3人が、自らの意思とは関係なく、勝利の象徴として、国の都合で英雄に祭り上げられていくのだが、その苦悩や戸惑いが、イーストウッドらしい淡々とした映像と演出で描き出されていく。その途中にフラッシュバックのように何度も織り込まれる戦場のシーンは、目を覆いたくなるほどの惨さだ。ラストの海水浴のシーンで少し救われた気持ちにはなるが、非常に重く、正義の意味や、戦争の意義について考えさせられる。次の日本側から描かれたという「硫黄島からの手紙」も、どのような作品になっているのだろうか。
エンドロールが流れる際に映し出される本物の戦場の写真を見ると、いかにこの映画の戦場でのシーンが事実に忠実に基づいて作られているかがわかり、今見たシーンが実際に自分達の歴史の中であったのだということを思い知らされ、身震いが生じるほどだった。
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