昨日の大雨とはうって変わり、本日は気持ちの良い晴れ空が広がっております。
サクラはというと
昨日の雨に耐え、まだ散っていない花もあり、サクラ吹雪が楽しめます。
桜の木の下には、花の絨毯が広がっております。
それにしてもパっと綺麗に咲いたと思えば、すぐに美しく散る。潔い木ですねそして日本人に愛されている木です。
芥川龍之介の「或阿呆の一生」(芥川自殺後に見つかった文章で、自分の人生を書き残したと思われている小説)の中でも命と取り換えてもつかまえたいものとして、架空線の火花が登場しますが、日本人の一つの美学なのでしょうか。
「或阿呆の一生」 芥川龍之介 (一部抜粋)
彼は雨に濡れたまま、アスファルトの上を踏んで行った。雨はかなり烈しかった。彼は水沫の満ちた中にゴム引の外套の匂を感じた。すると目の前の架空線が一本、紫いろの火花を発していた。彼は妙に感動した。彼の上着のポケットは彼らの同人雑誌へ発表する彼の原稿を隠していた。彼は雨の中を歩きながら、もう一度後ろの架空線を見上げた。架空線は相変らず鋭い火花を放っていた。彼は人生を見渡しても、何も特に欲しいものはなかった。が、この紫色の火花だけは、----凄まじい空中の火花だけは命と取り換えてもつかまえたかった。