「暑さ寒さも彼岸まで」と申しますが、厳しかった寒さも少しずつ和らぎ、過ごしやすい時候になりました。
3月はお彼岸の時期でもあります。春分の日に太陽が真東から上がり、
真西に沈むことからこの時期に先祖供養する事で、西方浄土すなわち極楽浄土へ行けると考えられたようです。
この時期にご先祖を供養しお墓参りをする習慣は今も広く根付いています。
こういう機会に静かにご先祖を偲び
「代々のご先祖様のお蔭で今の自分があります。これからも私たちを見守って下さい。」
という感謝の気持ちをこめて供養したいものです。
いかに時代が変わろうと私たちには変える事の出来ない自然の摂理というものがあります
一つ目「人間は必ず死ぬ」という事です。
この世に生まれて死なない人は一人もいません。
二つ目「自分の人生は自分しか生きられない」という事です。
子供が重い病にかかり、苦しんでいる時、親は代わってやりたいと思いますが、
その子の人生はその子にしか生きる事は出来ません。人生に代役はないのです。
三つ目「人生は一回限りである」という事です。
過ぎ去った過去を変える事は出来ません。人生にリハーサルはないのです。
四つ目「この悠久の宇宙の中で、自分という人間は過去にも未来にも一人しかいない」という事です。
人類が誕生してからどれだけの人間が生まれてきたか、計り知れませんが、
自分と同じ人間は一人もいなかったし、これからも生まれてこない。
私たちは実に奇跡の様な生命を授かっています。
神道では「今の自分があるのは、天地自然の神の恵みとご先祖のお蔭である」と考えます。
過去にも未来にもたった一つしかない、この尊い命をどう生きるか。
お彼岸のこの時期にもう一度自分とご先祖様の尊いご縁、先祖あっての自分の存在というものを考えたいものです。
父母、その父母と連綿と命が続いてきたからこそ、今の自分がある。
自分の命は自分だけのものではなく、この体の中には神様やご先祖様の尊い命、魂が息づいている。
それを思えば、自分自身を愛し、敬い、悔いのない人生を生きて行く事が、
神様ご先祖様の御恩に報いる事につながります。
神道ではこれを「惟神の道(かんながらのみち)」と申します。
「かけがえのない命を授かったことを感謝致します。」
「今日も悔いのない一日が送れます様、努力精進致します。どうかお守り下さい。」
いつも神の恵みと祖先の恩を忘れずに清らかな気持ちでご神前に手を合わせましょう。
心の幸福は感謝の気持ちから始まり、ひたすら祈る事によってより大きくなるのです。