北海道新聞12/18 01:18 更新
シェークスピアの名作を幕末の道東に舞台を移して翻案した演劇「アイヌ オセロ」を仙台の劇団が来年1月、仙台市内で上演する。共同演出としてアイヌ民族で、ユカラ劇の演出家秋辺デボさん(57)=本名・日出男、釧路市阿寒町=が参加、道内のアイヌ民族も出演する。アイヌ民族の男と和人の女の恋を通して差別問題を問い掛ける。7月には札幌で、8月には本場の英ロンドンでも上演する。(文化部 大原智也)
シェークスピア劇を専門に上演する「シェイクスピア・カンパニー」は、1992年の旗揚げ以来、主宰の下館和巳東北学院大教授(62)=英文学=が原作を直接翻訳し、舞台を東北に変え東北弁で上演してきた。
「オセロ」はシェークスピアの四大悲劇の一つ。黒い肌を持つ軍人オセロが愛する白人の妻デズデモーナの不貞を疑い、嫉妬によって身を滅ぼす物語だ。下館教授は「人種差別を描いた作品なので、正面からぶつかりたかった」と話す。
全文:930文字
今作の基にしたのは2010、11年に上演した「アトゥイ オセロ」。幕末に仙台藩が蝦夷(えぞ)地の警備を担った史実をヒントに、オセロをアイヌ民族、デズデモーナを仙台藩士の娘に置き換えた作品だ。11年3月20日に札幌公演を予定していたが、東日本大震災により中止せざるを得なかった。
今年3月、札幌などでの上演を計画していた下館教授は道アイヌ協会関係者の紹介で秋辺さんに会った。「アイヌにも悪いやつはいる。(オセロを陥れる)悪役もアイヌにするべきだ」と助言を受け「当事者からの率直な提案に驚いた」と話す。相談を重ねるうちに心が通い、全面的な協力を依頼。台本も大幅に直し、題も「アイヌ オセロ」に変えた。道内の踊り手5人が出演することになった。
秋辺さんは「アイヌは古式舞踊やユカラをやっていればいいと思ってしまう節があるが、今後はいろんな経験を積むべきだと思う」と参加理由を語る。アイヌ民族と芝居を作ったことについて下館教授は「作品に深みや説得力が出た。カムイ(神)が今だよと言ってくれた気がする」と話す。
仙台では1月12~14日に5回上演し、東北や東京を経て7月14日に札幌公演を行う。問い合わせは同劇団(電)090・5840・1103へ。
※ユカラの「ラ」は小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/151798
シェークスピアの名作を幕末の道東に舞台を移して翻案した演劇「アイヌ オセロ」を仙台の劇団が来年1月、仙台市内で上演する。共同演出としてアイヌ民族で、ユカラ劇の演出家秋辺デボさん(57)=本名・日出男、釧路市阿寒町=が参加、道内のアイヌ民族も出演する。アイヌ民族の男と和人の女の恋を通して差別問題を問い掛ける。7月には札幌で、8月には本場の英ロンドンでも上演する。(文化部 大原智也)
シェークスピア劇を専門に上演する「シェイクスピア・カンパニー」は、1992年の旗揚げ以来、主宰の下館和巳東北学院大教授(62)=英文学=が原作を直接翻訳し、舞台を東北に変え東北弁で上演してきた。
「オセロ」はシェークスピアの四大悲劇の一つ。黒い肌を持つ軍人オセロが愛する白人の妻デズデモーナの不貞を疑い、嫉妬によって身を滅ぼす物語だ。下館教授は「人種差別を描いた作品なので、正面からぶつかりたかった」と話す。
全文:930文字
今作の基にしたのは2010、11年に上演した「アトゥイ オセロ」。幕末に仙台藩が蝦夷(えぞ)地の警備を担った史実をヒントに、オセロをアイヌ民族、デズデモーナを仙台藩士の娘に置き換えた作品だ。11年3月20日に札幌公演を予定していたが、東日本大震災により中止せざるを得なかった。
今年3月、札幌などでの上演を計画していた下館教授は道アイヌ協会関係者の紹介で秋辺さんに会った。「アイヌにも悪いやつはいる。(オセロを陥れる)悪役もアイヌにするべきだ」と助言を受け「当事者からの率直な提案に驚いた」と話す。相談を重ねるうちに心が通い、全面的な協力を依頼。台本も大幅に直し、題も「アイヌ オセロ」に変えた。道内の踊り手5人が出演することになった。
秋辺さんは「アイヌは古式舞踊やユカラをやっていればいいと思ってしまう節があるが、今後はいろんな経験を積むべきだと思う」と参加理由を語る。アイヌ民族と芝居を作ったことについて下館教授は「作品に深みや説得力が出た。カムイ(神)が今だよと言ってくれた気がする」と話す。
仙台では1月12~14日に5回上演し、東北や東京を経て7月14日に札幌公演を行う。問い合わせは同劇団(電)090・5840・1103へ。
※ユカラの「ラ」は小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/151798