北海道新聞11/26 05:00

柴田さん(左)が織ったアットゥシをネクタイに仕上げた佐藤さん
【平取】昨年4月に町荷菜にオープンした洋服のお直し屋「木(こ)の芽」を営む佐藤弘美さん(49)が生み出すユニークな品々が好評だ。アイヌ民族の伝統工芸品「アットゥシ」(樹皮の反物)でネクタイを作ったり、形見の着物をポーチにリメークしたり。佐藤さんは「地域の人の力になれれば」と客の思いを丁寧にくみ取っている。
町二風谷のアットゥシ織りの工芸家、柴田幸宏さん(33)は、自身が織ったアットゥシでネクタイを5本作ってもらった。首の部分はゴムでできていて首に掛けるタイプ。残りの部分は佐藤さんが型紙や結び方をインターネットなどで調べながら仕上げた。すでに2本は売れたといい、柴田さんは「反物も形にならないと売れないので、相談しやすいお店が地域にあるのはありがたい」と感謝する。
アットゥシを初めて扱った佐藤さんは「生地が硬いのでネクタイの形に結ぶのは難しかった」と苦労したが「貴重な素材で作られた生地を無駄にせず、頑張っている人を応援できたら」とやりがいを感じている。
思い出の品を「お直し」することも。町内の管理栄養士の津川陵子さん(59)は、30年前に亡くなった母一恵(かずえ)さんが、お正月や入学式で着ていた着物2着を、四つの小物入れにリメークしてもらった。長年、タンスに収納していたが「捨てるに捨てられなかった」という大切な着物で「身近に使える物にしたい」と1年ほど前に木の芽を訪れた。
大きさを相談しながら眼鏡ケースやA4サイズのポーチを3週間ほどかけて作ってもらった。津川さんは「新しいものを買うのは簡単だけど、時間をかけて作り直してくれたことで着物がよみがえった。着物を着る母の姿が思い浮かびます」と懐かしそうに笑う。
このほか、結婚式のお色直しのドレスを子供用のワンピースや化粧ポーチにしたり、母から受け継いだスカートをバッグにしたりと思い出の詰まった品に新たな命を吹き込みよみがえらせている。佐藤さんは「お客さんが仕事を持ってきてくれるので、できるだけその声に応えたい」と語る。(杉崎萌) ☆アットゥシのシは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/765739/

柴田さん(左)が織ったアットゥシをネクタイに仕上げた佐藤さん
【平取】昨年4月に町荷菜にオープンした洋服のお直し屋「木(こ)の芽」を営む佐藤弘美さん(49)が生み出すユニークな品々が好評だ。アイヌ民族の伝統工芸品「アットゥシ」(樹皮の反物)でネクタイを作ったり、形見の着物をポーチにリメークしたり。佐藤さんは「地域の人の力になれれば」と客の思いを丁寧にくみ取っている。
町二風谷のアットゥシ織りの工芸家、柴田幸宏さん(33)は、自身が織ったアットゥシでネクタイを5本作ってもらった。首の部分はゴムでできていて首に掛けるタイプ。残りの部分は佐藤さんが型紙や結び方をインターネットなどで調べながら仕上げた。すでに2本は売れたといい、柴田さんは「反物も形にならないと売れないので、相談しやすいお店が地域にあるのはありがたい」と感謝する。
アットゥシを初めて扱った佐藤さんは「生地が硬いのでネクタイの形に結ぶのは難しかった」と苦労したが「貴重な素材で作られた生地を無駄にせず、頑張っている人を応援できたら」とやりがいを感じている。
思い出の品を「お直し」することも。町内の管理栄養士の津川陵子さん(59)は、30年前に亡くなった母一恵(かずえ)さんが、お正月や入学式で着ていた着物2着を、四つの小物入れにリメークしてもらった。長年、タンスに収納していたが「捨てるに捨てられなかった」という大切な着物で「身近に使える物にしたい」と1年ほど前に木の芽を訪れた。
大きさを相談しながら眼鏡ケースやA4サイズのポーチを3週間ほどかけて作ってもらった。津川さんは「新しいものを買うのは簡単だけど、時間をかけて作り直してくれたことで着物がよみがえった。着物を着る母の姿が思い浮かびます」と懐かしそうに笑う。
このほか、結婚式のお色直しのドレスを子供用のワンピースや化粧ポーチにしたり、母から受け継いだスカートをバッグにしたりと思い出の詰まった品に新たな命を吹き込みよみがえらせている。佐藤さんは「お客さんが仕事を持ってきてくれるので、できるだけその声に応えたい」と語る。(杉崎萌) ☆アットゥシのシは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/765739/