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「体験型観光の可能性大」 浦河でフォーラム 吉田類さん「地元料理で交流を」

2022-11-28 | アイヌ民族関連
北海道新聞11/28 05:00
 【浦河】日高山脈襟裳国定公園の国立公園化に向け、公園の活用のあり方などを有識者が話し合う「魅力発信フォーラム」(日高振興局、十勝総合振興局の共催)が27日、町総合文化会館で開かれた。「酒場詩人」として知られ、登山好きの吉田類さんもゲストとして登壇し、日高山脈の山歩きや地元の魅力について講演を行った。
 吉田さんは、えりも町に一時期滞在したことがある縁から、様似町内のアポイ岳に複数回登ったことがあることを紹介し、「日高山脈の中では登りやすく、美しい高山植物がたくさん生えていた」と語った。
 登山後には「地元の酒場でツブなどの料理を味わいながら、地域の人たちと交流を深めることが楽しみ。そうすることで、地域の魅力をより深く知ることができる」と話した。続いて、パネリスト3人と吉田さんが「日高山脈襟裳国定公園の観光資源の可能性」をテーマに討論を行った。
 環境省帯広自然保護官事務所の自然保護官、山北育実さんは同国定公園が国内最大の原生流域であることを示し、「国立公園化で登山道の整備が求められるが、手つかずの原生性を損なわないように、配慮することが大切だ」と述べた。
 日本航空(JAL)の「JALふるさとアンバサダー(大使)」を務める同社帯広支店の小林千秋さんは、国立化後の誘客には自然、アクティビティ、異文化体験、食、受け入れ体制の5要素の充実が重要と説明。「日高と十勝の両地域が連携し、地域間の周遊型観光を促すような取り組みを進めるべきだ」と話した。
 日高町を拠点に自然体験ツアーを企画・運営する「自然考房」代表の鈴木宏紀さんは、日高地域の魅力として「多様な自然環境で、馬産地や漁業、アイヌ文化など独自の生活文化が根付いている」と指摘。欧米を中心に体験型観光「アドベンチャートラベル」がはやっているとして、「日高地域は体験型観光として楽しめる可能性が大いにある」と期待を込めた。(和田樹)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/766294/

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アイヌ文化、身近に 横浜で3年ぶり「感謝祭」 /神奈川

2022-11-28 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2022/11/27 地方版 有料記事 432文字

感謝祭で披露されたアイヌ民族の踊り=横浜市港北区で2022年11月26日、高田奈実撮影
 アイヌ民族の歌や踊りといった文化を発信する「アイヌ感謝祭」が26日、横浜市港北区で3年ぶりに開催された。首都圏で暮らすアイヌがつくる「チャシ・アン・カラの会」が主催し、アイヌ民族の伝統や歴史を伝えた。
 北海道内と比べ認知度が低い関東地域の人々にアイヌを知ってもらおうと、2010年から始めた。今回で10回目。12年以降は毎年開催していたが、新…
この記事は有料記事です。 残り260文字(全文432文字)
https://mainichi.jp/articles/20221127/ddl/k14/040/069000c

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アイヌ文化振興 伝統の丸木舟が完成 地元の子どもたちも制作に参加 北海道標茶町

2022-11-28 | アイヌ民族関連
FNN2022年11月27日 日曜 午後9:10
 道東の標茶町で、アイヌ民族伝統の丸木舟が制作され、11月27日進水式が行われました。
 標茶町では、アイヌ文化振興の一環でアイヌ民族が漁に使っていた丸木舟の制作を進めていました。
 丸木舟は長さ5メートル程で、桂の木をくり抜いて作られていて、27日は、地元の子どもたちも参加し、丸木舟を完成させました。
 完成した丸木舟は塘路湖で、関係者や子どもたちが試乗しました。
https://www.fnn.jp/articles/-/450824

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サッカーW杯 次の対戦国 コスタリカってどんな国? 待ち受ける格上スペインには「支配の歴史」あり

2022-11-28 | 先住民族関連
アエラドット 2022年11月27日 16:00
ドイツ戦での歴史的勝利で世界の注目を集めるサッカー日本代表。27日の第2戦で戦うコスタリカは世界ランキング31位と、1次リーグの対戦国で唯一、日本(24位)にとって格下の相手だ。日本がコスタリカに勝って、スペインが対ドイツ戦に勝つか引き分ければ、決勝トーナメントへの進出と2大会連続での16強入りが決まる。

コスタリカ共和国の首都はサンホセ。人口は約509万人で通貨は「コロン」。公用語はスペイン語。国教はキリスト教。美しいビーチは、観光客にも人気だ(photo AP/アフロ)
© AERA dot. 提供
 否が応でも期待が高まる第2戦を前に、『地理×文化×雑学で今が見える 世界の国々』を参考に、コスタリカという国について知っておきたい。
 コスタリカ共和国は、南北アメリカを結ぶ地峡地帯に位置し、北はニカラグア、南はパナマと国境を接する小国。国名の「Costa Rica」は「裕福な海岸」という意味で、最初にそう呼んだのはコロンブスだといわれている。1502年にコロンブスがコスタリカにたどり着いたとき、先住民が美しい金の装飾品を身に着けていたことがその由来だ。とはいえ、他の国と違って金銀、鉱山などの資源は乏しかった。そのことが幸いし、乱開発が行われなかったため、コスタリカの自然はほぼ、植民地以前のまま。文字通り自然豊かな「裕福な海岸」が残されたというわけだ。
 コロンブス到達以降、乱開発はされなかったものの、ヨーロッパの植民地支配を受け、1800年以降に周辺国と同じく独立を果たした歴史を持つ。独立後は大統領選での不正、クーデター、内戦などで国が乱れるも、鉄道整備やバナナ、コーヒー豆などの輸出で国力を強化し政情を安定させていく。そして中米紛争まっただ中だった1983年に非武装中立を宣言。中米和平合意に尽力したオスカル・アリアス大統領(当時)は、1987年にノーベル平和賞を受賞した。「中米のスイス」とも呼ばれるゆえんだ。
 国土の24%が国立公園もしくは自然の保護区に指定されており、国内には森の宝石とも呼ばれているモルフォチョウなどがすむ。ほかにも多くの動植物が自生・生息し、この国に世界の動植物の5%が存在するといわれている。豊富な自然はもちろん、美しいビーチも観光客に人気。首都周辺も一年中穏やかな気候で、教育や社会保障といった国民政策に力を入れている。最新の世界幸福度ランキング(2022年)では23位と、日本の54位を大きく上回っている。
 そして、12月2日に控える第3戦の相手はスペイン。こちらは世界ランキング7位と相当な格上だ。民族舞踊フラメンコなどから、情熱的な国民性をイメージする人も多いだろう。実際、スペイン名物の一つが、ダイナミックなお祭りだ。「サン・フェルミン祭」は通称「牛追い祭り」ともいわれ、人々が牛とともに街を駆け抜けるエンシエロという行事が目玉。毎年、多くの負傷者を出し、参加は命がけだ。人々がトマトをぶつけ合う「ラ・トマティーナ」も有名。普段は静かなブニョールという田舎町が、この日ばかりはトマトと熱狂で真っ赤に染まる。
 『地理×文化×雑学で今が見える 世界の国々』を参考に、歴史を紐解いてみよう。古くから他国による奪い合いと支配が繰り返されてきたイベリア半島に位置し、ローマとカルタゴによるポエニ戦争の舞台となり、勝利したローマ帝国の支配下となる。しかしその後、支配権は次々に移行し、再征服活動「レコンキスタ」を経て、約800年をかけてスペイン王国が成立。カトリックの勢力がイスラームから半島を取り戻すに至った。以後、植民地を増やして「太陽の沈まない国」といわれるほど発展するが、19世紀前半のナポレオン戦争以降は苦難が続き、植民地の多くを失っていった。
 ただ、苦難の歴史の痕跡はいま、人気の観光名所となっている。イスラーム王国による支配の最中に建てられた「アルハンブラ宮殿」、イスラームのモスクとして造られ、レコンキスタ後にカトリックの礼拝堂となった「コルドバの聖マリア大聖堂」など、当時の情勢や事情が絡み合って生まれた見事な建造物は一見の価値がある。
 もう一つ、スペインといえば世界遺産「サグラダ・ファミリア」だ。建築が計画されたのは1882年。建築家アントニオ・ガウディが設計し、彼の死後も建設が続いていることはよく知られている。完成まで300年と言われていたが、近年の建築技術やITの発展により、工期は大幅に短縮される見通し。コロナ禍の影響で当初発表された2026年には間に合いそうにないが、永遠に続くと思われた工事は終了が見えてきている。
(構成 生活・文化編集部 上原千穂)
https://www.msn.com/ja-jp/news/opinion/サッカーw杯-次の対戦国-コスタリカってどんな国-待ち受ける格上スペインには-支配の歴史-あり/ar-AA14B8JI

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アマゾン先住民の村、若者の自殺相次ぐ コロンビア

2022-11-28 | 先住民族関連
AFPBB News / 2022年11月27日 14時0分

コロンビア・サンマルティンデアマカヤクで橋を渡る子ども(2022年10月18日撮影)。(c)Lionel ROSSINI / AFP
【AFP=時事】南米コロンビアのアマゾン(Amazon)熱帯雨林にある先住民ティクナ(Tikuna)の村アララ(Arara)で、10代の若者の自殺が相次いでいる。 
 9月に入り事態を重く見たシャーマンが、アルコールやサッカー、音楽なしで過ごす「隔離」の儀式を開始した。西洋から侵入した悪習が若者を先祖の価値観から遠ざけているとして、「悪霊」を村から追い払うためだ。 
 まずはたばこを吸い、花を浸した水を飲む夜通しの儀式から始まった。村人はその後20日間にわたり、「欧米」の雑念と見なされるものを排除して過ごす「隔離」下に置かれた。 
 人口1200人のアララに行くには、近郊の最大の町レティシア(Leticia)から車で25キロほど移動し、そこからさらに1時間ジャングルの中を歩かなければならない。 
 シャーマンの一人、イバン・アンガリタさん(40)は、18歳の一人息子を自殺で失った。儀式の1週間前には10代の少女とシャーマン1人が亡くなるなど村では自殺が相次いでいるが、公式な統計はない。 
 ティクナの別の村サンマルティンデアマカヤク(San Martin de Amacayacu)でも若者の自殺が相次いでいる。 
 教師のロイダ・アンヘル・ルイスさん(53)は「若者がわたしたちを残して行ってしまう」と話す。「首をつったり、銃や毒を使ったりして死ぬのは、この状況から抜け出せないからだ」 
 先住民のリーダーたちによると、コカイン生産国として知られるペルー国境に近いこの地域では、薬物・アルコール中毒が問題となっている。 
 コロンビアのアマゾン熱帯雨林の住民は、先住民が58%を占める。当局によると昨年、アマゾン地域の10万人当たりの自殺者数は9.87人で、全国平均の2倍近くに上った。 
 ブラジル、ペルー、仏領ギアナ(French Guiana)でも、先住民の自殺率は平均を上回っている。 
 その理由として、伝統的な習慣や価値観が失われつつあることや差別、より良い生活を求め都会へ行った若者の挫折、暴力的な環境、地元に仕事がないことなどを専門家は挙げている。 
 コロンビア国立大学(National University of Colombia)の教授で精神科医でもあるターニャ・マルティネス(Tania Martinez)氏は、「若者はどこにも属していないと感じており、いら立っている」と説明した。 
 このような状況は、子どもの頃から始まっているという。遠隔地出身の先住民の子どもは町の寄宿学校にいれられるが、そこでは差別がまん延している。 
 卒業後も仕事を見つけられず、漁や畑仕事を身につけないまま、地元に戻ることになる。伝統的な見合い結婚を勧める家族と対立することもある。 
 マルティネス氏は、先住民の自殺は「性的虐待やドメスティック・バイオレンス(DV)、差別を恐れ隠さざるを得ない同性愛」などが関係していることも多いと指摘する。 
 アララの住民アベル・サントスさん(50)はAFPに対し、10年ほど前まで自殺はめったになかったと語った。その後「時々」起こるようになり、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)以来、頻発するようになったという。 
【翻訳編集】AFPBB News
https://news.infoseek.co.jp/article/afpbb_3439968/

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『アバター:WoW』の公開を記念し、ジェームズ・キャメロン監督と豪華キャストの来日決定!

2022-11-28 | 先住民族関連
ムービーコレクション2022.11.27

日本で初のお披露目!水族館貸し切ってのウォーターフロント来日会見も
スペシャル映像:https://www.youtube.com/watch?v=PY7yZf9uIn4
ジェームズ・キャメロン監督最新作『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』のプロモーションとして、キャメロン監督、主演を務めるサム・ワ―シントンとゾーイ・サルダナ、シガーニー・ウィーバー、スティーヴン・ラングらの来日が決定。これに併せてスペシャル映像が解禁された。
本作は、神秘の星パンドラの侵略を目論む人類と、先住民ナヴィとの激しい戦いと心を揺さぶる感動のドラマ。パンドラの一員となった元海兵隊員のジェイクは、ナヴィの女性ネイティリと家族を築き、子どもたちと平和に暮らしていた。再び人類がパンドラに現れるまでは…。森を追われた一家は、“海の部族”のもとへ身を寄せるが、この美しい海辺の楽園にも侵略の手が迫る。
本作のワールドツアーの全容が解禁となり、12月10日の来日プロモーションが発表された。ジェームズ・キャメロン監督、主演を務めるサム・ワ―シントン(ジェイク・サリー役)とゾーイ・サルダナ(ネイティリ役)、シガーニー・ウィーバー(キリ役)、スティーヴン・ラング(クオリッチ大佐役)ら前作『アバター』(09年)でも活躍したキャストと、『タイタニック』(97年)以来25年間ずっとキャメロン監督の右腕を務めるプロデューサー、ジョン・ランドーの来日が決定した。
今回の来日では、本作のテーマである“海・水”にちなみ、都内の水族館「マクセル アクアパーク品川」を貸し切り(招待者以外来場NG)にて、「ウォーターフロント来日記者会見」を実施。同日夜にはTOHOシネマズ日比谷にて“アバター・ブルー”に染まった「アバター・ブルーカーペット・イベント」、日本で本編が初お披露目となるジャパン・プレミアを開催する。
併せて解禁されたスペシャル映像は、パンドラの森を追われたジェイクとネイティリ、その子どもたちが、海の部族のもとへと身を寄せるシーンから始まる。青く美しい海を舞台に、ジェイクと子どもたちが海の部族のリーダーであるトノワリに受け入れられ、海での暮らし、文化になじんでいく様子が、息をのむほど美しい映像で描かれる。
パンドラの海に暮らす愛らしい生物と触れあい、心を通わせていく子どもたち、ジェイク一家の家族仲睦まじい姿や、ジェイク家とトノワリ家の子ども達同志の関係性も明らかになる。だが、そんな彼らのもとに、再びパンドラの侵略を狙う人類が現れる。
『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』は12月16日より全国公開。
インタビュー:https://www.youtube.com/watch?v=V5AzoZ2gHTA
https://www.moviecollection.jp/movie/173478/

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連載:途上国・新興国の2020年人口センサス 第11回 ペルー――2017年人口センサス(下): 先住民族コミュニティ・センサスからみる先住民族の姿

2022-11-28 | 先住民族関連
ジェトロ2022年11月村井 友子
「ペルー――2017年人口センサス」の最後となる本稿では、人口・住居センサスと並行して、2017年10月23日~11月6日に実施された第3回先住民族コミュニティ・センサスの取り組みと調査結果からみた先住民族の姿をお伝えする。
先住民族コミュニティ・センサスとは?
先住民族コミュニティ・センサスは、ペルー国内でコミュニティ(共同体)を形成し集住する先住民族に焦点を絞り、コミュニティ単位で実施する統計調査で、主な目的は、先住民族コミュニティの現状を把握し、支援政策に活かすことにある。このセンサスは、1993年に第1回、2007年に第2回が実施されているが、過去2回の調査は、アマゾン地域のコミュニティに限定して実施され、アンデス山岳地域や海岸地域のコミュニティは対象外になっていた。これに対し、2017年の第3回先住民族コミュニティ・センサス(Censos Nacionales 2017 de III de Comunidades Indígenas)では、従来のアマゾン地域に加えて、山岳地域と海岸地域のコミュニティも対象となり、ペルーの先住民族コミュニティ全体を包括するコミュニティ・センサスが初めて実現した。調査の名称は、アマゾン地域が第3回コムニダ・ナティーバ・センサス(III Censo de Comunidades Nativas)、山岳地域と海岸地域が第1回コムニダ・カンペシーナ・センサス(I Censo de Comunidades Campesinas)である。ちなみに、コムニダはスペイン語でコミュニティを意味する。
ペルーの先住民族コミュニティ――「カンペシーナ」と「ナティーバ」
ペルーでは先住民族をその居住区によって呼び分けており、アマゾンの熱帯低地地域(Selva)とアンデス山脈の東側のアマゾン地域に繋がる傾斜地(Ceja de Selva)に住んでいる先住民族集団を“Comunidad Nativa”(コムニダ・ナティーバ)と呼び、アンデスの山岳地域(Sierra)と海岸地域(Costa)に住む先住民族集団を“Comunidad Campesina”(コムニダ・カンペシーナ) と呼んでいる。
このカンペシーナという先住民族の呼称はペルー独特のものであり、1960年代末に始まったベラスコ軍事政権(1968-1975)が先住民文化の再評価を積極的に行い、差別的な語感のあるインディオ(indio)やインディヘナ(indígena)を、農民を意味するカンペシーナに置き換えたことにはじまる。一方、ナティーバは「原住民・先住民」を意味し、インディヘナ(「先住民」)とほぼ同義であるが、同じくべラスコ政権よりアマゾン地域に住む先住民族コミュニティ集団の名称に位置付けられた(Pajuelo 2007; 清水2009)。
表1は、第1回から第3回までの先住民族コミュニティ・センサスの実績をまとめたものである。第3回先住民族コミュニティ・センサスの対象になった全コミュニティ数は9385で、対象人口は343万8866人であった。ペルーの先住民族コミュニティの規模は、コムニダ・カンペシーナの方が、コムニダ・ナティーバより圧倒的に大きく、2017年の実績では、コミュニティ数ベースで2.5倍、人口ベースで7.2倍であった。
表1 先住民族コミュティ・センサスの実施状況
(第1回1993年、第2回2007年、第3回2017年)

(出所)INEI(2018a)より筆者作成
2017年先住民族コミュニティ・センサスの調査票/span>
2017年センサスは、人口・住居センサス調査票と先住民族コミュニティ・センサス調査票の2種類が用いられた。
人口・住居センサスが、ペルー国内の全住居への調査員による戸別訪問調査により実施されたのに対し、先住民族コミュニティ・センサスは、コミュニティへの調査員の訪問調査により実施された。センサスの質問には、アプ(Apu)1、プレジデント、または首長と呼ばれるコミュニティの代表が回答した。
2017年先住民族コミュニティ・センサスの調査票は、コムニダ・ナティーバとコムニダ・カンペシーナ共通で、調査票の冒頭でどちらに属するか選択する形式になっている。調査票は以下の12のセクションに分かれ、108の質問で構成されている(表2)。
表2 2017年先住民族コミュニティ・センサスの調査票
拙稿(中)で2017年人口センサスの調査票にペルー人の民族的帰属意識と幼少期に母語として学んだ言語に関する質問が設けられたことを報告したが、先住民族コミュニティ・センサスの調査票では、セクションIIIでコミュニティの民族への帰属意識と使用言語を問う以下の質問が設けられた。
□「あなたのコミュニティはどの先住民族に属していますか?(具体的に記載)」
□「あなたのコミュニティで最も頻繁に話されている言語、または先住民言語は何ですか?(具体的に記載)」
先住民族コミュニティの民族と言語
表3はコムニダ・カンペシーナが帰属すると回答した民族の内訳である。コムニダ・カンペシーナの民族集団の地理的分布については図1をご覧いただきたい。民族の種類は20種類で、ケチュアのコミュニティが全体の54.56%を占め、これにアイマラのコミュニティ8.62%が続く。なお、この20種類の民族のうち、アンデス系の先住民族はケチュア、アイマラ、ハカル、ウロの4種類のみで、残りの16種類は、アマゾン系の先住民族である。これは地理的にはコムニダ・カンペシーナに区分される地域に、アマゾン系の先住民族コミュニティが存在することを意味している。
一方、「帰属する民族なし」と回答したコミュニティが36.01%も存在する点が注目される。INEIは、先住民族コミュニティの民族の帰属について、各コミュニティの自己認識を尊重していること、および、本センサスが、コミュニティの民族を確定することを目的とせず、また、この集計結果に基づいて、ILO第169号2(ペルー批准1994年)が定める先住民族の権利の対象となるコミュニティの線引きが行われることはないと述べている(INEI 2018c)。
表4のとおり、コムニダ・カンペシーナのコミュニティで日常的に使われている先住民言語(スペイン語を除く)は19種類であった。コムニダ・カンペシーナのコミュニティにおける使用言語のトップはケチュア語で全体の68.86%、次いでスペイン語の21.04%、3番目がアイマラ語の9.35%であった。
表3 コムニダ・カンペシーナが帰属すると回答した民族
表4 コムニダ・カンペシーナで主に話されている言語
表5のとおり、第3回コムニダ・ナティーバ・センサスでは44種類の民族が集計された。コミュニティ数が多いのは、アシャニンカ(19.24%)、アワフン(15.50%)、キチュワ(11.65%)であった。コムニダ・ナティーバの民族集団の地理的分布については図2を参照されたい。
また、表6のとおり、コムニダ・ナティーバにおける使用言語は40言語におよぶ。ここから、アマゾン地域には、使用言語が異なる小規模コミュニティが多数混在していることが読み取れる。
表5 コムニダ・ナティーバが帰属すると回答した民族
表6 コムニダ・ナティーバの言語
集計結果からみた先住民族コミュニティの土地問題
2017年先住民族コミュニティ・センサスの各種集計結果は、INEIのウェブサイトで詳しく報告されているので、ご覧いただきたい。
本稿では、集計結果のなかで特に問題視された、先住民族コミュニティの土地問題について言及したい。ペルーの先住民族コミュニティでは、各コミュニティが共有地を持ち、そのなかで構成員の世帯が生活を営んでいる。ILO第169号は、先住民族が生存を続けるためには、土地への権利が根本にあり、土地と資源は、先住民族の暮らし、社会文化的なまとまり、精神的な健全さの淵源である(トメイ・スウェプストン 2002)と定めている。ペルーの先住民族コミュニティの土地所有権の認証は、主として農業灌漑省、土地所有権特別プロジェクト(PETT)、州政府(Gobierno Regional)、インフォーマル財産正式化庁(COFOPRI)の4機関が行い、土地所有の証書を発行している。今回の調査で、コムニダ・カンペシーナの19.8%(1277)、コムニダ・ナティーバの22.8%(552)がコミュニティの土地所有権を証明する証書を取得しておらず、コムニダ・カンペシーナの36.7%(2449)、コムニダ・ナティーバの29.9%(808)がなんらかの土地紛争を抱えていることが明らかになった。
この土地問題をはじめ、ペルーの先住民族コミュニティは様々な問題に直面している。集計結果の分析が、問題解決に向けた支援政策へと結びついていくことを期待したい。
ペルーの人口センサスの今後に向けて
ペルーの2017年人口センサスでは、民族への帰属に関する自己認識に関する質問が取り入れられ、先住民族コミュニティ全体を対象とした先住民族コミュニティ・センサスが初めて実施された。民族への帰属の自己認識だけで個人や先住民族コミュニティの民族を特定する手法には限界があり、改善の必要性が指摘されている。しかし、これらの取り組みがペルーの民族統計の整備に向けた大きな一歩であったことは疑う余地がない。
多様な自然環境と複雑な民族構成を持つ国ペルーでの人口センサスの実施には、今後も大きな課題が残されている。筆者は、今回の執筆にあたり、ペルーの人口センサスに関する一連の報告書を紐解きながら、国家統計は、地道な統計調査の実施、集計、分析、試行錯誤の繰り返しにより発展していくことを実感した。今後のペルーの統計制度の発展と統計データの充実化を願いつつ、筆を置きたい。
参考文献
* 清水達也(2009)「第II部 高地農村部先住民を対象とする政策/プログラム/プロジェクトの評価:第5章 ペルー」(柳原透・清水達也・藤田護編『アンデス高地先住民への協力』独立行政法人国際協力機構JICA研究所所収)106-135。(2022年11月4日最終閲覧)
* トメイ、マヌエラ、リー・スウェプストン(2002)『先住民族の権利:ILO 第169号条約の手引き』苑原俊明・青西靖夫・狐崎知己訳、論創社。
* Instituto Nacional de Estadística e Informática (INEI)  (2018a) Directorio de Comunidades Nativas y Campesinas : Censos Nacionales 2017 : XII de Población, VII de Vivienda y III de Comunidades Indígenas, III Censo de Comunidades Nativas y I Censo de Comunidades Campesinas,  INEI.(2022年11月4日最終閲覧)
* ―――(2018b) Perú, Resultados definitivos de los Censos Nacionales de 2017 : XII de Población, VII de Vivienda y III de Communidades Indígenas , INEI. (2022年11月4日最終閲覧)
* ―――(2018c) Resultados definitivos del I Censo de Comunidades Campesinas :  Censos Nacionales 2017 : XII de Población, VII de Vivienda y III de Comunidades Indígenas - III Censo de Comunidades Nativas y I Censo de Comunidades Campesinas, INEI. (2022年11月4日最終閲覧) 
* ―――(2018d)  Resultados Definitivos del III Censo de Comunidades Nativas :  Censos Nacionales 2017 : XII de Población, VII de Vivienda y III de Comunidades Indígenas - III Censo de Comunidades Nativas y I Censo de Comunidades Campesinas, INEI. (2022年11月4日最終閲覧)
* Pajuelo Teves, Ramóm (2007) Capítulo 3 : Perú : política, etnicidad y organizaciones indígenas, Reinventando comunidades imaginadas : movimientos indígenas, nación y procesos sociopolíticos en los países centroandinos, p.95-125, IIFEA, IEP.
著者プロフィール
村井友子(むらいともこ) アジア経済研究所学術情報センター図書館情報課。担当はラテンアメリカ。1998~2000年海外派遣員(メキシコ・グァダラハラ)。主な著作に 「ラテンアメリカの学術情報プラットフォームの活動」(『ラテンアメリカ・レポート』38(2): 2022)。

1. 「アプ(Apu)」は、ケチュア語で「神・領主」を意味し、アンデス高地の山岳信仰では、地域の人々や家畜、作物を見守る山の神・守護神とみなされている。先住民族コミュニティ・センサスの質問票では、コミュニティの構成員からリーダーと認められている人物であるアプ(Apu)、プレジデント、または首長を、コミュニティの代表として調査票に記録し、この人物がコミュニティを代表して聞き取り調査に回答した。
2. ILO第169号の正式な条約名は、独立国における原住民及び種族民に関する条約(第76回総会で1989年6月27日採択。条約発効日1991年9月5日。)である。詳しくはILO駐日事務所ウェブサイトを参照。
https://www.ide.go.jp/Japanese/Library/Column/2022/1125.html

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ソル・ルウィット「親和性と共鳴」展/ボランティアガイド便り

2022-11-28 | 先住民族関連
日豪プレス2022.11.27
NSW州立美術館 ボランティアガイド便り
ソル・ルウィット「親和性と共鳴」展
(2023年2月12日まで開催中)
執筆者=チョーカー和子/日本語ガイド

Installation view of Sol LeWitt Wall drawing #955, Loopy Doopy (red and purple) 2000 in the John Kaldor Family Hall at the Art Gallery of New South Wales, first drawn by Paolo Arao, Nicole Awai, Hidemi
Nomura, Jean Shin, Frankie Woodruf f at the Whitney Museum of American Art, New York, November 2000; current installation drawn by Kit Bylett, Andrew Colbert, Troy Donaghy, Szymon Dorabialski,
Gabriel Hurier, Rachel Levine, Owen Lewis, Nadia Odlum, Tim Silver, Alexis Wildman at the Art Gallery of New South Wales, August 2022
© Estate of Sol LeWitt, photo © A rt Gallery of New South Wales
 ソル・ルウィット(Sol LeWit t)とオーストラリア中央砂漠の絵画との親和性を探り、彼の作品の音楽的共鳴をも明らかにする展覧会「ソル・ルウィット:親和性と共鳴(Af finities andResonances)」が、NSW州立美術館で開催されています。
 ソル・ルウィット(1928~2007年)は、「概念アート」という言葉を生み出した、20世紀アメリカ美術の中心的人物です。「アイデア」こそが作品であり、作ることは二の次である、という彼のコンセプトは画期的で、その思想は多くのアーティストに影響を与え続けています。
 美術館に入ってすぐ右側、高さ3メートル、幅10メートルを超える壁全体に、鮮やかな赤と紫の帯が絡み合うように描かれた巨大な壁画「Wall drawing #955, Loopy Doopy (red and purple) 2000」は、1997年のベニス・ビエンナーレでルウィットが初めて出合ったオーストラリア中央砂漠の絵画が彼に与えた影響を示すものです。
 本展は、ルウィットの作品をエミリー・カメ・ウングワレーとグロリア・タマーレ・ペティアレの絵画と対置して紹介し、異質な2つの芸術作品の視覚的対話を強調しています。
 また、壁画「Loopy Doopy ( red and purple)」に呼応して、アメリカとオーストラリア先住民ミュージシャンが共同開発した新しいジャンルの3つの音楽作品もお楽しみ頂けます。
 本展覧会は入場無料、2023年2月12日まで開催しています。
https://nichigopress.jp/topics-item/49767/

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