先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

<ウポポイ オルシペ>53 言語や文化の資料 アイヌ民族自ら収集

2022-11-17 | アイヌ民族関連
北海道新聞11/17 05:00

アイヌ民族自らによる資料収集について紹介する展示コーナー
 国立アイヌ民族博物館で20日まで開催中の第5回特別展「イコロ ウエカリレ―アイヌ資料をコレクションする―」では、アイヌ資料とそれを収集してきたコレクターに焦点を当てて、「アイヌ・コレクション」がどのように形成されてきたのかについて民具資料を中心に展示しています。今回はその中から、「5 アイヌ・コレクションが多様化していく時代」について一部紹介します。
 20世紀初頭、同化政策が進められる中、アイヌ自ら言語や文化を記録し伝え残そうとする動きが各地に広がりました。
 そのうちの一人、吉田菊太郎(1896~1965年)は、現在の十勝管内幕別町生まれ。自ら執筆した「アイヌ文化史」の販売や講演活動等で資金を集めます。1959年には、収集したアイヌ関係資料を保管、展示する「蝦夷文化考古館」(現・幕別町蝦夷文化考古館)を設立し、地元のアイヌ資料が展示され、今日まで続いています。
 また、萱野茂(1926~2006年)は、現在の日高管内平取町二風谷生まれ。アイヌ民具だけではなく、アイヌ民話の収集や記録も行ってきました。72年には、収集した民具などを公開するため、「二風谷アイヌ文化資料館」(現・萱野茂二風谷アイヌ資料館)を設立しています。
 また、2002年には、1121点のアイヌ資料が「北海道二風谷及び周辺地域のアイヌ生活用具コレクション」として、国の重要有形民俗文化財に指定されました。
 このように、アイヌ自らが収集してきた資料についても展示しています。ぜひご覧ください。(国立アイヌ民族博物館資料情報室学芸員 竹内隼人)
※「イコロ」の「ロ」は小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/761621/

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空知管内、「ゴールデンカムイ」の「聖地」にファン続々 漫画に登場、月形樺戸博物館「地域の歴史知って」

2022-11-17 | アイヌ民族関連
北海道新聞11/17 05:00

ゴールデンカムイに登場する人物に関する展示がファンに人気の月形樺戸博物館
 明治期の北海道を舞台にした漫画「ゴールデンカムイ」の人気を受け、登場する空知管内の施設などをファンが訪れる“聖地巡礼”が活発だ。10月からテレビアニメの続編が始まったほか、実写映画化も決まっており、関係者は「地域を訪れ、歴史を知ってもらうきっかけになれば」と期待する。
 同作は、埋蔵金伝説を追う主人公の元陸軍兵士とアイヌ民族の少女の冒険を、北広島市出身の漫画家野田サトルさんが描いた。アイヌ文化の緻密な描写や時代背景を浮かび上がらせる壮大な世界観が人気で、今年の日本漫画家協会賞コミック部門大賞を受賞した。
 樺戸集治監の歴史を伝える月形樺戸博物館(月形町)は、野田さんも数年前に取材に訪れ、館内の典獄(刑務所長)の執務室などが漫画に登場。新撰組幹部を務めた後、同監の剣術指南役となった永倉新八や、同監に収容された画家の熊坂長庵など作中に登場する人物に関する展示もあり、町内には長庵の墓もある。
 同館の野本和宏学芸員は「これまで年配の来館者が中心だったが、一昨年ごろから若い世代を多くみかけるようになった」という。同作のファンで博物館を初めて訪れた小樽市の公務員渡部加奈子さん(46)は「展示を通して、囚人の暮らしや時代背景がよく分かった。漫画をきっかけに、北海道の歴史をもっと知りたくなった」と話す。
 北海道観光振興機構(札幌)は作品ゆかりの地を巡るスタンプラリーを来年3月末まで行っており、管内では同館と、漫画に夕張の炭鉱が登場することから夕張市石炭博物館(冬期休館中のため、現在はネクスト夕張ハルクス)が登録されている。各地点で専用アプリを起動すると、AR(拡張現実)の技術でキャラクターと並んで記念撮影できる仕組みだ。
 漫画では、物語の鍵をにぎる網走監獄の囚人を追って、主人公たちが歌志内市内を訪れる描写もある。同市の道の駅「うたしないチロルの湯」では、作中にも登場する郷土料理「なんこ鍋」を味わうことができ、ファンが度々、交流サイト(SNS)のツイッターなどに投稿している。
 道の駅を運営する歌志内振興公社の山崎紀雄支配人は「漫画のファンが訪れているとは知らなかった」と驚きつつ、「街に関心を持ってもらえるのはうれしい。地域の活性化につながれば」としている。(斉藤千絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/761602/

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大阪で3年ぶりカムイノミ 国立民族学博物館、アイヌ民族資料伝承願う

2022-11-17 | アイヌ民族関連
北海道新聞11/17 00:08

国立民族学博物館前庭で3年ぶりに行われたカムイノミ
 文化人類学・民族学の研究拠点としてアイヌ民族の資料などを保管・展示する国立民族学博物館(大阪府吹田市)で16日、資料の安全な保管と後世への確実な伝承を願い、カムイノミ(神々への祈り)が行われた。新型コロナウイルス禍で2020、21の両年は中止しており、3年ぶりに実施した。
 新型コロナ感染防止対策のために非公開で執り行い、道アイヌ協会のメンバーなど20人前後が参加した。胆振管内豊浦町の豊浦アイヌ協会の宇治義之会長(63)が祭司を務めた。
 同館前庭に設けたヌサ(祭壇)の前で、同館の吉田憲司館長らとともに利き酒の儀式や祭壇礼拝などを厳かに行った。宇治会長は「アイヌ民族の思いを大阪でも理解してほしい」と話した。
 同館では1979年から、故萱野茂さんが祭司を務めるカムイノミを非公開で毎年実施。萱野さんが亡くなった後の2007年からは、現在の道アイヌ協会などが一般公開して続けていた。(武田亮一、写真も)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/761689/

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舞踊、マレク漁…アイヌ文化紹介 千歳の協会、米国の先住民族と交流

2022-11-17 | アイヌ民族関連
北海道新聞11/16 05:00

アラスカ先住民連盟の大会の交流イベントで千歳アイヌ文化伝承保存会が披露した弓の舞=千歳市提供
 【千歳】千歳アイヌ協会のメンバーらが10月下旬、千歳市の姉妹都市・米アラスカ州アンカレジ市を訪れ、現地の先住民族と交流し、アイヌ文化を紹介した。国のアイヌ政策推進交付金を活用した初の国際交流事業で、先住民族の言語による授業を行う小学校なども視察。参加したメンバーは「独自の文化を伝承する体制が整っていた。参考になった」と話す。
 アンカレジ訪問は10月19~25日に実施。同協会から中村吉雄会長ら5人、千歳アイヌ文化伝承保存会の2人など計10人(通訳と添乗員を除く)が参加した。
 一行は、アラスカ先住民連盟の年次大会に出席。昼食会と交流イベントで同協会の中村会長がアイヌ民族や文化についてスピーチし、保存会のメンバーらがアイヌ古式舞踊を披露した。先住民族の言語で授業を行うカレッジ・ゲート小学校、アラスカ大学アンカレジ校、アラスカ民族文化センターなども視察。アンカレジ市のデーブ・ブロンソン市長と面会した。
 同協会の中村会長は250を超す先住民族がいるアラスカ州について「各部族は州からの助成金の分配が任され、州や国と交渉も行っている」と説明。母親が先住民族で父親が日本人という女性から首飾りを贈られたといい、「歓迎してもらい、先住民族としての思いが伝わった。アンカレジ市長はマレク漁(アイヌ民族伝統の漁)に関心を持ってくれたので千歳に来て見てもらいたい」と話した。
 保存会会員として弓の舞を披露した末広小の中原直彦教諭(62)は「先住民族独自の文化を伝承する体制が教育や施設の面で整っていた。民族が連盟を結成し、政策的に諸権利が認められていた」と振り返った。
 今後、同協会などは市民向けの報告会を開く予定。(上村衛)
☆「マレク漁」のクは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/761018/

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【2023福袋】無印良品「福缶」のネット予約がスタートするよ! 各地の縁起物&2023円分使えるギフトカードが入ってます

2022-11-17 | アイヌ民族関連
Pouch11/16
無印良品の福袋として愛されている「福缶」が今年も登場します。
お値段は例年にならって「税込み2023円」。気になる中身&販売方法を今のうちにチェックしておきましょう~!
【こんなものが入っています】
東日本大震災後、東北の復興を応援したいという想いを込めて、2012年の正月に登場した無印良品の福袋「福缶」。
「2023年福缶」には、全国各地を代表する手づくりの縁起物 1点と、2023円分使えるMUJI GIFT CARD 1枚が入っています。
北海道からは、木彫りの人形「ニポポ(※アイヌ語で小さな木の子ども)」と、キムンカムイ(※アイヌ語で山の神)と呼ばれ敬われてきた「木彫りの熊」が登場。
「ニポポ」は願いを叶えるお守り、「木彫りの熊」は子どもや人の成長を願う縁起物もしくは魔除けとして親しまれています。
ほかにも福島県の赤べこや宮城県の招き猫など、全国津々浦々から縁起物が集まっておりますよ〜!
さらに今回は2023年の干支・ウサギにちなんで、人形や鈴など愛嬌たっぷりのウサギをモチーフとしたアイテムも数多くラインナップ。
2023年の福を運んできてくれるのはいったいどのコなのか、公式サイトの写真を見ているだけでもワクワクしてしまいます。
【ネットストア上での抽選販売のみ】
販売方法についてですが、今年は昨年に引き続き「ネットストア上での抽選販売のみ」。店舗やネットストアでの一般販売は行いません。
応募期間は2022年11月17日10時から11月27日18時までとなり、1人につき応募は1回まで、数量は1点までとなります。手順は次のとおり。
1. 応募期間中に「ネットストアで応募する」リンクから応募する
2. 受け取り店舗を1店舗選択
3. 抽選結果発表日の12月12日以降に「注文履歴ページ」から抽選結果を確認(※当選者には12月16日までに順次メール)
4. 2023年1月1日から1月10日の受け取り期間に指定の店舗で購入
応募完了後のキャンセルおよび受け取り店舗の変更はできません。
また商品購入の際は、スタッフへ「当選メール」もしくは、注文履歴ページから表示できる「受け取り用バーコード」を提示してください。
今年も無印良品の「福缶」から福をたくさんもらいましょう~!
※年末年始の営業時間は店舗により異なります。各営業時間は「店舗情報」よりご確認ください。
参照元:無印良品、Twitter @muji_net
執筆:田端あんじ (c)Pouch
https://youpouch.com/2022/11/16/879763/

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ウポポイの魅力発信 誘客イベント「ルイカ2022」開幕 白老

2022-11-17 | アイヌ民族関連
苫小牧民報2022/11/16配信
 道や道内の経済団体らでつくるウポポイ官民応援ネットワーク(代表=石井純二北海道経済同友会顧問)は15日、白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)で初めての誘客イベント「ルイカ2022」を開始した。20日までの6日間、アイヌ民族とゆかりのある関係自治体や関連施設の魅力紹介、各地の特産品販売などを行う。初日はウポポイのエントランス棟でセレモニーが行われ、関係者によるテープカットなどで開幕を祝った。

テープカットでイベント開催を祝う関係者  
 同ネットワークは道や道内市町村、経済団体など223の企業・団体で組織。官民一体でウポポイの魅力を発信し、誘客効果を道内各地域に波及させ、アイヌ文化振興と道内経済の活性化を図る。「ルイカ」はアイヌ語で「橋」という意味。
 15日のセレモニーは、ウポポイ運営本部伝統芸能課職員、石川明(めい)さんによるアイヌ民族の伝統楽器ムックリ(口琴)演奏で幕開け。石井代表、道の小玉俊宏副知事が「(取り組みを通して)各地の魅力をつなげ発信していきたい」とあいさつしたほか、ウポポイPRキャラクターのトゥレッポんや民族衣装をまとった道観光PRキャラクターのキュンちゃんらマスコットも開催初日の祝賀ムードを盛り上げた。続いて石井代表ら11人によるテープカットが行われ、会場を大きな拍手が包んだ。
 エントランス棟の多目的ルームではアイヌ文様が彫刻された工芸品のほか、地域の特産品の展示販売なども行われ、多くの人でにぎわった。期間中、会場でSNS(インターネット交流サイト)を使ったウポポイ関連の投稿をスタッフに提示すると、先着50人にバッジやステッカーなどの記念品を進呈する。午前10時~午後5時。最終日は同3時まで。
https://hokkaido-nl.jp/article/27219

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華やかに唐人揃いパレード 川越で3年ぶり 日韓など300人参加

2022-11-17 | アイヌ民族関連
東京新聞2022年11月16日 07時41分

路上で韓国風の舞踊を演じる「はなこりあ」の皆さん=川越市で
 十七~十九世紀の朝鮮王朝が徳川幕府に派遣した朝鮮通信使を再現する行事「川越唐人揃(ぞろ)いパレード」が十三日、埼玉県川越市の蔵造り通りなどで三年ぶりに開かれた。パレードには日韓の他、タイやアイヌ民族の団体など計約三百人が参加。それぞれ路上や蓮馨(れんけい)寺境内で舞踊も披露し、観光客を楽しませた。
 日本人や韓国人の有志でつくる舞踊チーム「はなこりあ」は男女十四人の踊り手が参加し、よさこいとアリランの要素をミックスしたオリジナルダンスを披露した。
 同団の安岡義矩さん(38)=東京都杉並区=は「この行事でパレードできるのは今回が最後。みんなで恩返しの思いも込めて精いっぱい踊った」と充実感をにじませた。
 同行事は「多文化共生」をサブテーマに掲げており、実行委員会によると、来年以降は異なる形式で存続を目指すという。(武藤康弘)
https://www.tokyo-np.co.jp/article/214167

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<ゴールデンカムイ>「北の大地のオールスター花札」爆誕 白石が“月”に 野田サトル描き下ろし札も

2022-11-17 | アイヌ民族関連
マンタンナビ11/17(木) 0:00配信

「ゴールデンカムイ」の花札「北の大地のオールスター花札」(C)野田サトル/集英社
 野田サトルさんの人気マンガ「ゴールデンカムイ」のキャラクターが描かれた花札「北の大地のオールスター花札」が、11月17日発売のマンガ誌「週刊ヤングジャンプ」(集英社)51号の付録として付く。
 テレビアニメ第4期の放送を記念して「ゴールデンカムイ」が花札になった。本来、月が描かれている札に白石由竹の顔面がデザインされたり、鶴と鶴見中尉が並んだりと、コミカルなデザインになっている。野田さんの描き下ろしイラストを使用した札も付く。
 「ゴールデンカムイ」は、2014年に「週刊ヤングジャンプ」で連載をスタートし、今年4月に約8年にわたる連載に幕を下ろした。かつて日露戦争で活躍した“不死身の杉元”が、北海道で死刑囚が隠した埋蔵金の手掛かりをつかみ、アイヌの少女らと共に冒険を繰り広げる姿を描く。
 テレビアニメ第1期が2018年4~6月、第2期が同年10~12月、第3期が2020年10~12月に放送された。第4期は、TOKYO MXほかで放送中。
https://news.yahoo.co.jp/articles/8ae9a833d844aa94bf38708bfa2ecc750710dd29

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原住民族委、身分証に「平埔族」の記載検討/台湾

2022-11-17 | 先住民族関連
中央社フォーカス台湾2022年11月16日 19時47分

(台北中央社)行政院(内閣)の原住民族委員会は14日、原住民(先住民)のうち政府から「台湾原住民」として承認されていない「平埔族」について、今後は登録制とし、身分証にもエスニックグループとして記載する方向で検討していると明らかにした。
同委のイチャン・パルー主任委員(閣僚)は、現在は台湾原住民16族が使用する言語を基に戸籍謄本などに「平地原住民」や「山地原住民」といったエスニックグループ名が記載されると説明。今後は平埔族を登録制とし、本人の希望を確認した上で身分証に記載する可能性があるとした。

平埔族を巡っては先月、遅くとも3年以内に一部の条件を満たせば国から台湾原住民として承認されることが決まった。ただそれにより台湾原住民は現在の約58万人から約156万人に増加すると見込まれることから、受けられる保障に影響が及ぶことを懸念する声が上がる。
これに対しイチャン・パルー氏は現在の台湾原住民の権利は影響を受けないと説明し、理解を求めた。
(張雄風/編集:齊藤啓介)
https://news.livedoor.com/article/detail/23211661/

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差別、格差、貧困の問題と、環境の問題は繋がっている

2022-11-17 | 先住民族関連
Meiji.net11/16(水) 14:01配信

差別、格差、貧困の問題と、環境の問題は繋がっている
寺田 良一(明治大学 文学部 教授)
皆さんは「環境正義」という概念をご存じでしょうか。日本ではまだまだ広まっていない考え方ですが、アメリカやヨーロッパでは環境問題を解決していく上で基本となる考え方になっています。もちろん、それは、日本でもしっかり認識しなければいけない考え方なのです。
◇プラスチックゴミで考える環境正義
「環境正義」とは、アメリカで生まれた「Environmental Justice」をそのまま訳した言葉なので、日本人がこの言葉からその概念を理解するのはちょっと難しいかもしれません。
簡単に説明すると、人による環境汚染や破壊によって生じた負荷が、社会の中で不均等に配分されていること。
そして、不公正な負荷を受けている人たちが、それに対してなかなか声を上げられないこと。
また、社会の多くの人が、そうした状況に対して認識不足、理解不足であること。主に、このような3点で定義できます。
具体例をひとつ挙げると、日本がプラスチックゴミを中国や東南アジアに「輸出」していたことがあります。
ご存じの通り、プラスチックゴミは、海洋をはじめ自然破壊に繋がるものとして、いま、世界中で非常に問題視されています。ところが、日本では分別回収が進んでいて、街はきれいだし、環境汚染も破壊もないと思いがちです。
しかし、その回収したプラスチックゴミがどうなっているか、知っている人は少ないのではないでしょうか。
リサイクルされたりしているものもありますが、実は、資源という名目で中国や東南アジアの国々に輸出されていたのです。要は、それらの国にプラスチックゴミを押しつけていたわけです。
しかし、2018年に中国がプラスチックごみの輸入禁止を打ち出します。途端に、日本国内でリサイクルしきれないプラスチックゴミが溢れる状況になっています。
つまり、プラスチックを作ったことにより生じる負荷を、日本は輸出することで不均等に配分し、日本人の多くは、プラスチックによる環境問題など、自分たちにはないかのように思っていたわけです。
しかも、その押しつけ先は経済的発展途上国でした。彼らは日本のやっていることに大きな声を上げられず、不公正な負荷を受けてきたわけです。経済力をつけた中国が日本にNOと言ったことは、この問題を象徴していると言えます。
◇アメリカで生まれた環境正義という考え方
先に述べたように、環境正義はアメリカで生まれた考え方です。その背景には、環境問題に対するアプローチが、日本とアメリカでは真逆だったことがあります。
古くは足尾銅山の鉱毒事件をはじめ、戦後は、水俣病や四日市喘息、富山のイタイイタイ病など、公害が環境問題として取り上げられることが多かったのが日本です。
一方、アメリカでは、開拓時代から、日本では想像もつかないような大規模な原生林の伐採や破壊、野生生物を絶滅に追い込む乱開発などを行ってきたため、自然保護に目が向けられるようになります。しかも、その主体は、休日に登山などを楽しむ、ゆとりのある白人男性が中心でした。
その頃、私がアメリカに行って環境問題について調査すると、白人男性が出てきて、シマフクロウの絶滅問題のような話ばかりをします。
当時、日本で問題になっていた公害がアメリカではないのかと質問したところ、公害を訴える活動は、有色人種の人たちが住む工業地帯でやっているようだ、と言います。
そこへ行ってみると、確かに白人はまったくいない町で、工場からはモクモクと排煙が上がり、多くの子どもたちが喘息になっているようなところでした。
こうした状況を訴える黒人の人たちがいましたが、マスコミなどが取り上げることはなく、環境運動を行っている白人男性たちも、あまり知ることも関心を持つこともなかったのです。
1980年代に入って、有害物質を含んだ産業廃棄物をアフリカ系黒人の居住地区に埋め立てる計画が持ち上がります。その反対運動を行う黒人の国会議員が、過去の廃棄物の埋立地を調査したところ、それが、黒人や有色人種が多く住む地域ばかりにあることがわかったのです。
アメリカでは、1960年代から公民権運動が盛り上がり、人種差別や様々な格差を受けていた人々が平等や権利を求める社会運動が広がります。
しかし、そうした運動と環境問題は別個に捉えられていたのですが、この産業廃棄物問題をきっかけとして、環境人種差別という概念が生まれ、それは、環境正義を訴える活動へと広がっていくのです。
こうした概念が生まれ、言葉になると、人種差別によって大きな環境汚染や破壊が放置されている実態がどんどん明らかになっていきます。
例えば、第二次世界大戦後、世界中で核の開発、利用が進められますが、原発などの稼働にあたっては、放射能による被曝や汚染が起こらないように細心の注意が図られます。ところが、その原発を稼働させるウランを採掘する鉱山の管理は、非常にずさんでした。
例えば、核分裂に利用できるウランは0.7%ほどで、採掘したものの使えない99.3%のウランはそのまま放置されたりしたのです。しかし、そうしたウランも放射性物質であり、鉱山の労働者や周辺住民にとっては非常に危険なのです。
なぜ、このようなことが行われていたのか。精錬しなければただの石と思っていた科学知識のなさもあったのでしょうが、実は、ウランが出る山のほとんどは、先住民、いわゆるインディアンの居住区にあるからだと思います。
例えば、居住区に大きなウラン鉱山があったナバホ族のがんの罹患率は、いま、全米平均の17倍です。ところが、このことが全米に大きく報道されることはありません。
つまり、ニューヨークやワシントンで、豊かで快適な生活を享受している人々のほとんどはこうした実態を知りません。アメリカに、放射能による環境汚染があることも、被曝者がいることも知らないのです。
こうした環境的不公正が起こる背景には人種や少数民族に対する差別問題があり、それを正していくのが環境正義という考え方なのです。
◇日本人も考えなくてはならない環境正義の問題
もちろん、環境正義はアメリカだけの問題ではありません。実際、日本で起きた公害問題も、その背景には、大企業と、そこに雇用を頼る地域住民との力関係、格差があります。それが環境汚染の発覚を遅らせたのです。
ただ、アメリカと違っていたのは、日本には皆保険制度があるため、住民の健康被害について、医療関係者や保健所が気づいたことでした。また、問題を起こした企業や国も補償や支援を、アメリカなどに比べれば、前向きに実施します。
しかし、逆に言えば、迷惑料的な地域自治体への補償金が、環境的不公正の実態をわかりにくくしている面もあります。
例えば、原発を建てると、その地域に補助金が出ます。その補助金の支給期限が切れるとまた新たな原子炉を増設する自治体もあるほどです。
しかし、それによって、原発が抱えるリスクのことや、そのリスクを抱える地方と、そこで発電された電気によってリスクなく快適な生活を送る都会、という不公正の構造が曖昧にされている面があるのです。
しかし、街はきれいで、日頃、環境問題など意識することがない多くの都会生活者も、それは、言わば弱者にリスクを押しつけて実現しているのであり、日本という全体像で見れば、環境汚染や破壊、リスクが高まっていることを認識しなくてはならないと思います。
その意味では、差別や格差問題と、環境問題を別個に捉えるのではなく、やはり、環境正義という捉え方で考えることが必要です。
また、この問題は、日本国内だけでなく、世界的観点で捉える必要もあります。先に述べたプラスチックゴミの問題もそうですし、近年では、廃電子機器や水銀も大きな問題になっています。
私たちは、パソコンやスマホによって便利な生活を享受していますが、数年で買い替えるそれら機器が、その後、どうなっているか知っているでしょうか。
アフリカのガーナの首都アクラには、世界中から廃電子機器が持ち込まれています。それを河川敷などで焼いて処分するのですが、その際に、臭素系ダイオキシンが大量に発生します。それがどのような健康被害をもたらすのか、日本人はよく知っているでしょう。
ところが、ガーナで、実際にそれを行っているのは子どもなのです。焼け残りの中から有価物の銅線などを見つけて売るためです。それが、彼ら家族の生活費になるのです。
水銀もそうです。日本では水銀が使用された体温計や血圧計などの機器などは大幅に減りましたが、水銀が使用された廃機器などがあると、水銀だけ慎重に分別しています。いまでも、年間100~200トンほどの廃水銀が出ます。
実は、その廃水銀を求める国があります。水銀は金を吸着する性質があるため、川の土などから金を取り出すのに利用するのです。
家族単位などで行うため小規模金採掘と言われており、ブラジルのアマゾン川流域など世界各地で行われています。その結果、いまでは、その地域住民に水俣病のような症状が多発しているのです。
廃水銀を慎重に分別して処分する日本には、水銀による環境汚染はもう起こらないかもしれません。しかし、地球規模で見れば、先進国などからの「輸出」によって、水銀汚染は、むしろ、進行しているのです。
その背景にあるのが、健康被害を被っても、わずかな金を採ることでしか生計を立てられない貧困問題があるのです。
日本や都会がきれいになることで、逆に見えにくくなっている、そうした格差の問題、不公正の問題、そして、地球全体の環境の問題。それらを環境正義の問題として捉え、対策を考え、実行していくことで、初めて、ひとつひとつの問題が解決に向かっていくのだと考えています。
寺田 良一(明治大学 文学部 教授)
https://news.yahoo.co.jp/articles/417ddd1ed282406d9195a835d7edd75c6e303a22

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今大きな注目を集める「環境平和構築(EP)」とは、国連の基金は80億円超を拠出

2022-11-17 | 先住民族関連
ナショナルジオグラフィック11/16(水) 11:51配信
「われわれの取り組みは、大きく勢いづいています」と活動家

40年以上にわたり、コロンビアの奥地にあるこの森は、少数の武装ゲリラによって外部からのアクセスができない状態に置かれていた。和平協定の締結後、2017年に森は再び開かれた。(PHOTOGRAPH BY FEDERICO RIOS)
 アフリカ、セネガル北部の牧畜民たちは、長年にわたり激しく対立してきた。特に、長く雨が降らずに砂漠の植物が枯れてしまったときには、いちばんいい牧草地をめぐって争いが勃発した。水場周辺の場所取りも争いの種となる。
 2017年、一人の牧夫が殺され、その報復として家畜の殺害が増えてきたところで、地域の農業NGO「AVSF」が対策に乗り出した。AVSFは一帯の村々から一人ずつ代表を募り、「牧畜家ユニット」を結成した。こうしたユニットは、今では全国で25を数えるようになっている。ユニットを通すことで、地域の指導者たちは、家畜の数の上限と配置、農地に被害が出た場合の農民への補償などについて合意を形成できるようになった。
 これがいわゆる「環境平和構築(EP)」の一例だ。今では世界中で多くのNGO、政府、紛争解決団体が、急増する環境問題や不安定な状況に対処するために、こうした手法を採用している。
 対策に乗り出してから数年後、先述のセネガル北部の牧畜民たちは、気候変動による影響が悪化しているにもかかわらず、長年続いてきた争いや意図的な過剰放牧は減少したと述べている。「生活は依然として厳しいままですが、もっと協力すれば、大半の人に必要なものをまかない、土地も守ることができることがわかりました」と、地元の年長者デンボイ・ソウさんは言う。「こうした調停がなければ、わたしたちは互いに殺し合っていたでしょう」
環境平和構築(EP)とは何か
 環境平和構築(EP)とは、環境問題を活用して、紛争の予防、縮小、解決、また紛争からの回復を図るあらゆる活動を指す。たとえば、暴力行為に戻る可能性のある元戦闘員に農地を確保したり、環境関連の事例に適切な判決を下せる判事を育成して紛争後の法の支配を再構築したりするなど、さまざまなものが含まれる。
 EPの核には、紛争の当事者たちが環境と資源に対する懸念を共有しているのなら、信頼を築き、より協力的な関係を目指せるだろうという考え方がある。気候と環境の悪化は、暴力の原因にもなれば結果にもなるという認識が高まっているように、EPを支持する人々は、自然には人々を分断させる力もある一方で、ひとつにまとめる力もあると主張する。
「コミュニティー同士が互いに怒りを抱いていれば、話し合いにはなりません。そうした環境での協力は難しいでしょう」と、AVSFのコミュニティー代表であるサンバ・サンバ・ディア氏は言う。「しかし、自分たちの仕事が健全な環境に依存している場合には、人々は自らの利益のために対処法を見つけることができるのです」
 EPの概念はまったく新しいわけではない。たとえば、冷戦が特に厳しさを増し、協力できる課題がほとんどなかった時期でさえ、環境に関しては敵対勢力と連携できることを政府関係者は理解していた。環境問題は独特の「ソフトな」テーマとして認識されていたからだ。
 1990年代末以降、アフリカ南部や南米の環境保護団体は、国境をまたいだ「平和公園」を10カ所以上設立し、かつての紛争地域を自然保護区に生まれ変わらせることに貢献した。米国は、数十年にわたって敵対国との科学外交を推進しており、特にイランとの間では、2015年の核合意に向けた前段階において、水と再生可能エネルギーをめぐる重要なやりとりが行われた。関係者は、この対話がより広い議論の土台を築く一助となったと評価している。
規模も目標も拡大の一途
 ただし、近年登場している取り組みはこれらとは大きく異なり、より対象が広く、野心的で、力強いものとなっている。
 気候変動により安全保障リスクも高まる中、近年は軍においてもEPへの関心が高まっており、紛争後の作戦に環境にまつわる課題が多く含まれるようになった。また、オーストラリア、マードック大学で政策と政治を教える上級講師のトビアス・イデ氏によると、2021年には、EPに関する査読付き論文の数が2016年の3倍になったという。
 資金の提供者も、現場でEPを実施できる立場にある組織の多くも、EPという取り組みを好意的に受け止めている。たとえば、国連平和構築基金は近年、EPに少なくとも6000万ドル(約84億円)を拠出している。その他の国連機関も、ソマリアなどの環境的に脆弱な紛争地域に気候安全保障の専門家を配置するようになっている。同種のプログラムとしてはめずらしいことに、EPの場合はこれを実施する側も支援を受ける側も、その可能性に心から期待を寄せているように見える。
「これはすごいことです。環境平和構築というアイデアから出発したわれわれの取り組みは大きく勢いづいています」と語るのは、70カ国以上に会員を有する主要EPネットワーク「環境平和構築協会」会長のカール・ブルック氏だ。「しかし、アイデアが優れているだけではなく、何が効果的で、何がそうでないのかについての知識が増えたことや、EPを教える大学の数が増えていることも有利に働いています。われわれは今、EPに取り組む数多くの人材を育成しているところです」
ほんとうに平和は築かれるのか
 いくら勢いがあって有力な支持者がいるとしても、環境平和構築はこれまでのところ、ある重大な疑問への答えを出せていない。その疑問とは「EPにはほんとうに効果があるのか」、より正確に言えば「大仰な宣伝文句に見合うだけの効果があるのか」ということだ。なぜなら、これだけの期待が寄せられているにもかかわらず、成果の方はやけに少ないように思われるからだ。
 効果が疑わしいだけでなく、中途半端な事例もある。たとえばリベリアでは、森林保護、土地をめぐる争いの沈静化、伐採による新たな紛争勃発の回避のために、平和構築団体が介入して林業部門の改革を進めた。しかしその後、新政権によって進展の一部が覆されてしまった。「政府の介入があるまではうまくいっていたのです」と、カール・ブルック氏は言う。
 一方で、明確な成功を収めた事例もいくつかある。先のセネガルやネパール西部では、国連環境計画(UNEP)と地元パートナーの貢献により、自然資源をめぐる地域間の緊張が緩和した。また、イスラエルとパレスチナとヨルダンで活動する環境保護NGO「エコピース・ミドルイースト」は、過去30年間にわたり、三国における環境協力を先導して強化し、特に危機にさらされている共有河川の回復に力を注いできた。
「ここは世界の中のごく小さな地域であり、資源のほぼすべてが国境を越えて存在します。ですから、そうした資源を守る唯一の方法は協力することであるという理解があります」と、同団体の共同責任者のひとり、ギボン・ブロンバーグ氏は言う。
 エコピースによる取り組みは最近、イスラエル・ヨルダン間における水と再生可能エネルギーの交換プロジェクト「グリーン・ブルー・ディール」として大きく結実した。「われわれが発見したのは、こうしたプロジェクトを通して信頼を構築できること、そしてその信頼は環境だけにとどまらないということです」
平和構築へのいくつものハードル
 現場でEPに取り組む人々は、証拠の不足については十分に認識しており、これを埋め合わせようと努力していると述べている。それはしかし、容易なことではない。
 気候変動対策と同様、環境平和構築には、さらなる被害を出さないようにする場合があり、成功が目に見える形で現れないこともある。たとえば、アフリカのサハラ砂漠と熱帯雨林を隔てる半乾燥性のサヘル地域で見られる農民と牧畜民との衝突は、EPによる沈静化の取り組みがなければさらに悪化していた可能性がある。だが、それを証明することは難しい。現場の人々には、世間が思うよりも多くのことを成し遂げているという実感はあっても、証拠が不足しているせいで、人目を引く事例研究の数は限られている。
 EPは、その他の平和構築活動と同じく、その真価がわかるまでには数十年を要することもある。しかし、そうした事情を資金提供者や大規模開発組織に飲み込んでもらうのは難しい場合もある。彼らはありえないほど短いスケジュールで明確な結果を求める傾向にあり、紛争地帯でのプロジェクトには、すぐに破綻するのではないかとの懸念からゴーサインを出すことに慎重になることが少なくない。
「実際の調停プロジェクトには非常に長い年月がかかります。そして、EPにおいて数年間でいくつかの成功事例を出せたというのは、われわれの尺度から言えばかなりの快挙です」と、スイスに拠点を置く非営利団体「人道対話センター」のセバスチャン・クラッツァー氏は言う。「しかし、われわれに対して示された関心とわれわれが受け取る金額の間には、まだ開きがあります」
 弱者を置き去りにしないことは何より重要だ。女性や先住民グループなど社会から阻害された人々の協力なしに適用された場合、環境平和構築は非常に難しくなり、危険を伴う可能性すらある。何をもってEPとするかは現場の人々の間でも議論があるが、過去の環境関連の介入例の中には、古い課題を解決する一方で新たな課題を生み出しただけのように思えるものもある。たとえば、一部の平和公園に対しては、元の住民たちの福祉よりも環境保護を優先しているとの批判が寄せられている。
地域レベルでの細かい配慮は必須
 EPが好意的な評価を多く受けているとはいえ、地域の微妙な差異を考慮に入れなければ、環境や平和において成果を挙げることはできないと、気候変動と安全保障をめぐるEUとUNEP間のパートナーシッププログラムの責任者シルジャ・ハレ氏は言う。「地域レベルにおける環境平和構築の成功を示す証拠には説得力があります。わたしたちの課題は、そうした微妙な差異への理解を失うことなく、規模を拡大することです。型にはまったやり方ではうまくいきません」
 とはいえ、環境平和構築団体の多くは、今後数年間で見込める成果について強気な見方をしているようだ。気候変動を真剣に受け止めるようになった世界において、EPの取り組みは必須とされるかもしれない。
 カール・ブルック氏は言う。「最近われわれのところには、『もしカーボンニュートラルな経済に移行できたら何が起こるだろうか』といった質問が多く寄せられるようになりました。『それをきっかけに紛争が起こるだろうか』『石油産出者のキャッシュフローを断ち切ったらどうなるだろう』など、多くの可能性が考慮されています」
文=PETER SCHWARTZSTEIN/訳=北村京子
https://news.yahoo.co.jp/articles/b17678a92dfe31a8657568da17b5ba7a456756f4

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トランプが次期大統領になったら「本当に常軌を逸したことが始まる」 人事、軍掌握、対ロシア

2022-11-17 | 先住民族関連
ニューズウィーク11/16(水) 10:47
中間選挙でダメージを負っても、2024年大統領選でのトランプ復活の可能性は排除できない。総力取材で「2期目」を展望する(前編)
ドナルド・トランプは大統領への返り咲きを諦めるのではないか――そんな見方は、最近の動向を見る限り打ち砕かれたと言えそうだ。
2020年11月の大統領選で敗れて2年。前大統領は、今も以前と変わらず派手な政治集会を重ねている。
11月8日の中間選挙前には、共和党の候補者を応援するためというのを建前に、実質的には自分が主役のように振る舞い、大統領時代の成果を誇ったり、さまざまな不満をぶちまけたりしていた。
メディアで取り上げられる機会にも事欠かない。この10月には、昨年1月の連邦議会襲撃事件を調査している下院特別委員会がトランプに証言と書類提出を求める召喚状を発した。8月には、機密書類の持ち出し疑惑に関連して、FBIがフロリダ州にあるトランプの別荘マールアラーゴを家宅捜索している。
ほかにも、毎日のようにトランプの法的トラブルが報じられている。
中間選挙で共和党は予想外の苦戦を強いられたが、それでもトランプは11月15日に、2024年の大統領選への再出馬を表明するとみられる。法的トラブルなどどこ吹く風、共和党支持者のトランプ人気は根強く、刑事告発されたとしても、支持はほとんど揺らがないだろう。
FBIによる家宅捜索後の支持者の反応を見ると、むしろ支持がいっそう強まる可能性すらある。中間選挙前のある世論調査は、大統領選が共和党のトランプと民主党のジョー・バイデン大統領の対決になった場合、トランプが勝つ見通しを示していた。
2期目のトランプ政権が発足した場合、大統領に復帰したトランプはどのような行動を取るのか。民主党支持者と無党派層を中心に、有権者の61%がトランプの再出馬を望んでいないことを考えると、多くの人が戦々恐々としながら彼の動向を注視している。
トランプは最近の演説でも、2017年の大統領就任演説さながらに、おどろおどろしい話を繰り返していた。進歩派の民主党員と背後で糸を引く勢力により、アメリカが破滅させられようとしている、というのだ。
「外部の脅威も極めて大きいが、最大の脅威は今もやはり国内の邪悪な連中だ」などと述べている。
トランプが2期目にどのような政策を推進するかは、まだ推測の域を出ない(そもそもトランプが政策に関心を持っているかも疑わしい)。それでも、本誌が過去と現在の側近たちに話を聞いたところ、おおよその方向性が見えてきた。
まず、1期目ではトランプのブレーキ役になり得る人物も一部の要職に起用したが、今度は自分に忠実な人物で人事を固めそうだ。
また、権力掌握を目的に、軍に対するコントロールを強化するだろう。そして、行政サービスを大幅に縮小し、自身の支持層が抱く価値観に沿った政策を打ち出す可能性が高い。
黒人、性的少数者、アメリカ先住民などの投票権をますます制約しようとすることも予想できる。政治的な敵対勢力に嫌がらせをしたり、ひどい場合は投獄したりするために、FBIや軍、内国歳入庁(IRS)などを利用することもあり得る。
対外政策も根本から変わりそうだ。ヨーロッパの同盟国に敵対的な態度を取り、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領との友好関係を復活させるだろう。
一方、大統領を3期以上務めることを禁止する合衆国憲法のルールなど、アメリカの民主政治の骨格を成す規範も崩壊しかねない。
ひとことで言えば、1期目でおなじみのトランプが帰ってくる。ただし、前回より行動がエスカレートし、しかも好き勝手に振る舞うことを妨げる要素は少なくなる。
「1期目が常軌を逸していたと思っているかもしれないが、本当に常軌を逸したことが始まるのはこれからだ」と、反トランプ派の共和党員らが結成した政治団体「リンカーン・プロジェクト」の共同設立者であるリード・ゲーレンは言う。
トランプ派で固める人事
大統領に返り咲いたトランプが最初に行うことは、自分と家族、重要な友人や支持者のあらゆる犯罪について、恩赦を与えることかもしれない。
既に、昨年の連邦議会襲撃事件に加わった人たちに恩赦を与える意向を示している。破壊的な行動や、暴力的な抗議活動、反乱行為を免責することにより、自身の支持層を喜ばせようとする可能性もある。
大統領による恩赦の対象になるのは、連邦法上の刑事事件だけ。州法上の事件は対象外だ。しかし、連邦最高裁判所は、大統領在任中、トランプに対する州法関連の事件と民事事件の裁判を停止しそうだ。「大統領であり続ける限り、法律上の問題からはほぼ完全に守られる」と、サザンアイダホ短期大学のラス・トレメイン名誉准教授(歴史学)は言う。
差し当たり法的脅威を払いのけることができれば、トランプは政府のさまざまなポストを自分のシンパで埋め尽くそうとするだろう。
トランプが1期目で学んだ教訓の1つは、政治的な考え方や経験や能力よりも、自分に対する忠誠心を重視して人事を行うべきだという点だったと、ジョージ・ワシントン大学政治経営大学院のトッド・ベルト教授は指摘する。
1期目の政権では、トランプのとりわけ問題のある行動に歯止めをかけようと努めた人たちもいたが、「そうした高官は少なくなるだろう」と言う。
ひたすらトランプに忠実であり続けた人たちは、国務省、司法省、CIA、環境保護局などの重要官庁で役職を与えられることになりそうだ。
「政権最後の1年間は、2期目の政策課題を検討することにほぼ費やしていた」と、トランプ政権のホワイトハウスで内政を統括する「国内政策会議」を取り仕切ったブルック・ロリンズは言う。
現在、ロリンズは、トランプと密接な関係を持つアメリカ・ファースト政策研究所の理事長を務めている。
「2期目の政権が発足した初日から、私たちは、より生産的で、より説得力ある方法で国民に奉仕できていると思う」
ロリンズが新政権で復活しそうな幹部候補として挙げる人物の1人が、1期目の政権で内務長官を務めた元石油業界ロビイストのデービッド・バーンハートだ。
バーンハートは内務長官時代、アラスカ州の北極野生生物国家保護区など、公有地での石油・天然ガス掘削を積極的に許可し、エネルギー産業の規制を緩和し、野生生物の保護を弱体化させた。
そのほかの有力候補としては、1期目のホワイトハウスでトランプのスピーチライターと政策担当の上級顧問を務めたスティーブン・ミラーも挙げることができる。ミラーは、トランプ政権の反移民政策を立案した中心人物として知られている。
国家安全保障担当大統領補佐官を務めたマイケル・フリンも候補者の1人だ。極右系陰謀論勢力「QAnon(Qアノン)」の支持者であり、FBIに偽証したことを認める司法取引を行い、有罪を認めていたが、のちにトランプによって恩赦された。
司法省で次官補を務めたジェフリー・クラークは、トランプが敗れた2020年大統領選の選挙結果を覆す計画に加担した。
国防長官代行の首席補佐官などを歴任したカッシュ・パテルは、政権を離れた後もトランプのために奔走してきた。トランプに批判的なジャーナリストなどへの訴訟を起こすための基金を設立したり、2020年大統領選へのロシア政府介入疑惑に関してトランプの主張を盛り込んだ子供向けの絵本を作ったりしている。
合衆国憲法によれば、閣僚は上院の承認を得なければ就任できない。しかし、共和党が承認プロセスを円滑に進めるのに必要な議席を確保することは難しいとみられている。
そこで、トランプは前回と同様、多くの閣僚職を「代行」のままにしておくだろうと語るのは、ジョン・ボルトンだ。ボルトンは1期目の政権で国家安全保障担当大統領補佐官を務めたが、約1年半で辞任した。
「到底承認されない『追従者』で政権を埋めるだろう」と、ボルトンは言う。
「国家安全保障の専門家で、第2次トランプ政権の一員になろうと考える者は3人もいないはずだ」
仮に何人かが上院で承認されたとしても、1期目の政権の入れ替わりの激しさを考えれば長くは続かないだろうと、ボルトンは付け加えた。
トランプが任命した人物は長官代行として、政府内の大粛清を実行できる立場になる。
長官代行は省庁の幹部クラスに忠実なトランプ派を置き、さらにその人物が忠実なトランプ派を部下にするという形で、連邦政府全体で4000人もの政治任用者を自派で固めることになる。
既にトランプは「ディープステート(国家内国家)」、つまり官僚機構を通じて政府内に浸透し、保守的な価値観をことごとく覆そうと画策している(と陰謀論者が主張する)リベラル軍団の解体計画について、自分の手の内を明かしている。
大統領退任間際の2020年10月下旬、トランプは連邦政府職員に「スケジュールF」という新たな職種区分を設ける大統領令を発令した。この新分類の下では、数万人分の政府ポストが連邦政府の政策形成に関与可能な職と見なされる。
一見昇進のようだが、とんでもない。スケジュールFに分類されたポストはあらゆる解雇保護規制から外れ、政治任用ポストと同様に上司の政治的気まぐれに対して脆弱な立場になる。
バイデンは大統領就任後すぐにスケジュールFを廃止したが、トランプは容易に復活させることが可能だ。その結果、一部の分野で連邦政府の権限と組織が縮小し、「全面的な規制緩和への回帰が起こるだろう」と、ロリンズは言う。
この区分変更は広範囲の連邦職員に破滅的な影響を及ぼすと、最大の連邦政府職員組合である米政府職員連盟のエベレット・ケリー会長は主張する。
「非政治任用職員のシステムは破壊され、政府内部は政権の手先だらけになる」
政府職員への攻撃はより広範な制度解体の前触れであり、メディケア(高齢者医療保険制度)や社会保障制度などの民営化を視野に入れた動きだと、ケリーは付け加える。
だが、ロリンズの見方は違う。
「官僚機構は、米国民への奉仕から、自分たち自身の保身へと目的を変質させてしまった。スケジュールFは、連邦政府のCEO(大統領)が200万人強の自分のチームを動かし、使命の実現に本気で取り組ませるための小さな一歩だ」
別の元政府高官は、スケジュールFへの不満はエリート意識の表れだと批判した。
「役人たちは多くの点で正常な判断力を失っている。専用駐車場を使えなくしただけで、ペットの首が取れたかのように騒ぐ」
※中編:「トランプは同盟に興味を示したことも理解したこともない」2期目トランプの外交・権力強化予測 に続く。
【デービッド・H・フリードマン(ジャーナリスト)】
■2022年11月22日号(11月15日発売)は「アメリカの針路」特集。米中間選挙でバイデン民主党が上院死守の理由。アメリカの政治・外交はこう変わる――
https://news.yahoo.co.jp/articles/b1f3b2bff026dbfaa2e3d7d7f9aa678e9ca17a48

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「バハマってどんな国?」2分で学ぶ国際社会

2022-11-17 | 先住民族関連
ダイヤモンドオンライン11/15(火) 6:02配信

Photo: Adobe Stock
 ニュースで見聞きした国、オリンピックやW杯の出場国、ガイドブックで目にとまった国――名前だけは知っていても「どんな国なのか?」とイメージすることは意外と難しい。『読むだけで世界地図が頭に入る本』(井田仁康・編著)は、世界地図を約30の地域に分け、地図を眺めながら世界212の国と地域を俯瞰する。各地域の特徴や国どうしの関係をコンパクトに学べて、大人なら知っておきたい世界の重要問題をスッキリ理解することができる画期的な1冊だ。この連載では、本書から一部を抜粋しながら、毎日1ヵ国ずつ世界の国を紹介する。
● バハマってどんな国?
 フロリダ半島から800km、バハマはカリブ海に浮かぶ島国です。約700の島とサンゴ礁から成り立っていますが、そのほとんどが無人島で、人が住んでいる島は30ほどしかありません。白い砂浜とヤシの木の生える海岸、海洋性のおだやかな気候。今日、世界屈指のリゾート地となっています。
 観光客にとってこの国の魅力は、ビーチだけではありません。タックスヘイブンとして知られる国ですから、ショッピングはもちろんタックスフリーです。カジノも認められています。治安もよく、欧米人にとってバカンスを過ごすには最適な場所なのです。
 観光客は、クルーズ船でも多くやってきます。というのも、クルーズ船の多くがバハマ船籍なのです。日本最大のクルーズ船飛鳥Ⅱも以前は、バハマ船籍の「クリスタル・ハーモニー」でした。バハマは世界のクルーズ船の母港なのです。
 この島の住民は黒人が80%を超えています。コロンブスが最初に到達したのはこの国のサンサルバドル島といわれています。先住民がいましたが、強制労働や疾病により死に絶えてしまいました。その後アフリカから奴隷として連れてこられた人の子孫がこの国の主流になっています。
 バハマ国
 面積:1.4万km2 首都:ナッソー
人口:35.3万 通貨:バハマ・ドル
言語:英語(公用語)、クレオール語(ハイチ系移民)
宗教:プロテスタント69.9・%、カトリック12%、そのほかのキリスト教13%
 (注)『2022 データブックオブ・ザ・ワールド』(二宮書店)、CIA The World Factbook(2022年2月時点)を参照
 (本稿は、『読むだけで世界地図が頭に入る本』から抜粋・編集したものです。)
井田仁康
https://news.yahoo.co.jp/articles/e0099570fd166e59d3c436d6b5ef6bf57c34df5d

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ブランチ佐賀さかえ会 「佐賀の偉人」の業績、考え解説 佐賀城本丸歴史館の古川英文副館長が講演

2022-11-17 | 先住民族関連
佐賀新聞2022/11/16 19:00
 大手企業の県内支社長や支店長らでつくる「ブランチ佐賀さかえ会」(座長・中尾清一郎佐賀新聞社社長)の例会が16日、佐賀市のホテルニューオータニ佐賀で開かれた。幕末維新期に関する書籍の発刊に携わる佐賀城本丸歴史館の古川英文副館長が、書籍や同時期に活躍した「佐賀の偉人」の業績などを紹介した。
 同館は、幕末維新期の古文書を活字化する新シリーズ「佐賀城本丸クラシックス」を昨春から発刊している。古川氏は「偉人の記録を本にすることは時代に左右されることがない。100年後に図書館で読む人を想像し、作っている」と述べた。
 「北海道開拓の父」と呼ばれる島義勇(1822~74年)の「入北記(にゅうほくき)」も取り上げた。佐賀藩主、鍋島直正の命を受けて樺太(現サハリン)を含めた蝦夷地外周を探索した記録で、ロシアが支配する中で先住民は「国境確定後は日本に帰属したい」と意思表示していることや、早く日本の領有にするのを主張したことなど島の記述を解説した。
 また、「何かを成し遂げた偉人たちの考えは時代を経ても通じるものがあるのではないか。偉人の言葉を点検していきたい」と記録をひもとく意義を語った。(福本真理)
https://www.saga-s.co.jp/articles/-/948599

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