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先住民族関連ニュース

先住民族関連のニュース

<水曜討論>道内経済の「稼ぎ頭」 観光産業の展望どう描く

2022-11-03 | アイヌ民族関連
北海道新聞11/02 10:09

 新型コロナウイルス禍で打撃を受けた観光産業への追い風が本格的に吹き始めた。10月11日、政府の観光促進事業「全国旅行支援」が始まり、道内の観光地はにぎわいを取り戻しつつある。水際対策として続いていた入国者数の制限も同時撤廃となり、円安効果も相まって、今後はインバウンド(訪日客)の増加も見込まれる。コロナ禍前とは環境が異なる中、道内経済の「稼ぎ頭」だった観光をどのように立て直し、新たな価値を提供していくべきなのか、2人に聞いた。
■地域主体に戦略深めて 北大観光学高等研究センター教授・木村宏さん
 全国旅行支援と入国制限の撤廃に伴い、コロナの感染状況が下火のままなら、北海道に観光客が本格的に戻ってくるでしょう。今はまだ、受け入れ体制に比較的余裕がある時期です。これまで考えてきた戦略を練り直し、自分たちが根を下ろす観光地全体の将来像について突き詰めて考える時間にしてもらいたいです。
 転換期の今、新たなキーワードとして考慮すべきは「危機管理」です。感染症の拡大や災害、国際情勢の激変があった際、インバウンドなど一つのターゲットに軸足を置きすぎると、思った以上の打撃を受けることが明らかになりました。
 頻発する台風や地震を教訓に、沖縄県や富士五湖観光連盟(山梨県富士吉田市)は危機管理に関する計画を立てています。道内で、さまざまな事態を念頭に、深く議論している観光地は多くないでしょう。リスクに直面した時の備えをしておかないと客足回復は難しくなります。
 どんな客層に、どんなサービスを提供すると、満足度を高めてもらえるか。地域ごとに最適解は異なります。観光地によっては老朽化した施設が目立つなど、地域の人たち自身が必ずしも胸を張れない場合があります。過去の外国人の「爆買い」に限界を感じつつも、「お金を落としてくれるから」と受け入れていた人もいるはずです。国の一時的な需要喚起策を利用して初めて来てくれた客に再訪してもらうため、何ができたかを見極める作業も欠かせません。
 プロである外部のコンサルタント会社に頼みたいと考えるケースもあるかもしれません。ですが、地域の事情を理解する住民や観光業者、行政が主体となり意見調整に取り組むDMO(観光地域づくり法人)が旗振り役となって議論した方が、利害関係者の納得感は高くなると思います。例えば「ひがし北海道自然美への道DMO」(釧路市)は、マーケティング手法を用いてコロナ後の戦略を明確に打ち出しています。
 これまで道内観光と言えば、特に団体旅行で、数日かけて各地を巡る周遊型が好まれてきました。今後は滞在型観光をどう定着させていくのかも改めて焦点となるでしょう。
 今は個人が、旅行会社が取り上げてこなかった旅先の魅力をインスタグラムといった交流サイト(SNS)で見つけて訪れるなど、昔ながらの情報の受け手とは異なる動きをするのが当たり前です。コロナ禍で密を避けられる一人旅も注目されています。2030年度末には、北海道新幹線の札幌延伸も控えています。東京や東北と札幌の行き来がしやすくなるだけでなく、道南にも短時間で行けるようになり、旅行客はこれまでと違う動きをするでしょう。
 単純に名勝を巡るだけでは満足しない人が増えています。地域に備わる素材を生かすのはもちろん、おもてなし、飽きの来ない食事やアクティビティを磨き上げてもらいたいです。
 少子高齢化や人口減少が進む10、20年後に自分たちの観光地を残すため、今後も生まれる新しい旅のスタイルを敏感にとらえ、ターゲットをどう引き付けるか。今後、意欲的に深掘りする地域と、そうでない地域の差は如実に出てくると思います。(麻植文佳)
■価値の高い滞在・体験を 京王プラザホテル札幌社長・池田純久さん
 新型コロナウイルス流行以降の約2年半で、道内の観光業界は事業継続が危ぶまれるほどダメージを受けました。当社の場合、売り上げは一時コロナ前の4分の1まで落ち込みました。
 一方、6月に決まった経済財政運営の指針「骨太方針」で「観光立国の復活」がうたわれ、水際対策は徐々に緩和されてきました。今般の入国者数の上限撤廃や全国旅行支援のスタートも追い風になっています。10月11日以降、外国人による予約は上限撤廃前の5割増と勢いが出てきました。それでも事業を立て直すまで、あと2年はかかるとみています。国には息の長い支援を求めたいです。
 観光を軸とした交流人口の増加は、日本経済の活性化に寄与してきました。定住人口の国内消費は1人当たり年間127万円ですが、2050年代には日本の人口はピーク時から約2800万人減り、35兆円の消費減が見込まれます。19年の外国人観光客1人当たり消費額は15万9千円と8人で定住人口1人分に相当し、これまでも訪日客が内需の縮小を補ってきました。
 コロナ禍で突然、客足が途絶え、宿泊施設など各事業者はおのおのの足元を見つめ直しました。旅行者に選ばれるには、私たちが地域の価値を深く理解することが欠かせません。日本ホテル協会北海道支部でも、道内の知る人ぞ知るような観光地を訪れて魅力を探るといった取り組みに力を入れてきました。
 将来に向けて、設備の充実を続けたケースもあります。有珠山ロープウェイ(胆振管内壮瞥町)は、20年3月にゴンドラをスイス製の新型に置き換えた後、眺望を楽しめるテラスを毎年、拡張しています。現状に安住せず工夫を重ね、リピーターに「前よりさらに良くなった」と感じてもらえれば、ファンづくりにつながるでしょう。
 北海道は自然や食など古くからの観光資源は豊かです。文化面でも、アイヌ文化は民族共生象徴空間(ウポポイ)で分かりやすく学べるようになり、世界文化遺産に加わった「北海道・北東北の縄文遺跡群」も、エリア全体で楽しめる環境が整ってきています。
 今後は、不測の事態に対応できるレジリエンス(しなやかさ)が高い事業体質を目指すべきです。苦しい期間に皆が危機感を覚え、アイデアを出してさまざまな宿泊プランや利用方法を試し、計画、実施、点検、見直しを繰り返す「PDCAサイクル」に力を入れたことは財産になります。施設や団体の横のつながりを強めてDMO(観光地域づくり法人)を組織するなど、広域連携に発展させることも求められています。
 これから訪日客の増加は確実でしょう。円安のプラス効果にも注目しています。金銭面で日本を旅行しやすくなる分、以前にも来日した人は前回よりも長い滞在や価値ある体験にお金を使うことを考える。そういった需要に応える商品を考え、高付加価値化できるかどうかが問われています。
 観光業の復活には、業界で働く人を大切にすることも欠かせません。お客さまを呼び込むのと並行して、最前線で働く私たちが、地域の魅力や観光業のやりがいについて、将来の担い手に情熱を持って伝えていきます。(加藤祐輔)
<ことば>北海道の観光 自然や食への注目度が高く、民間シンクタンクの都道府県別魅力度ランキングでは、2022年まで北海道が14年連続の1位。国内の観光客数は19年度まで8年続けて5千万人を超えた。訪日客にも人気で、18年度は過去最多の約312万人だったが、コロナの感染拡大で急ブレーキがかかった。コロナ禍前、道内での観光消費額は年約1兆5千億円に上り、道内経済をけん引した。コロナとの共存が課題となる中、政府は観光の再活性化を目指し、30年に全国で6千万人の訪日客を受け入れる目標を掲げている。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/754565/

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アイヌ文化紹介や伝統の漁法実演も 12、13日 千歳でイベント

2022-11-03 | アイヌ民族関連
北海道新聞11/02 05:00
 【千歳】サケと関わりが深い千歳のアイヌ文化を紹介するイベント「鮭(さけ)の日・アイヌフェスタ」が12、13の両日、サケのふるさと千歳水族館(花園2)を主会場に開かれる。両日とも、アイヌ民族の伝統漁法「マレク漁」が丸木舟を使って実演されるほか、子ども向けの漁の体験も行われる。
 千歳アイヌ協会と千歳アイヌ文化伝承保存会の主催で昨年に続き2回目。両日とも、アイヌ模様の木彫体験や、アイヌ語かるたを楽しめる小学生向けのワークショップがある。12日午後1時からは、民族共生象徴空間「ウポポイ」(胆振管内白老町)の担当者が「白老の鮭迎えの伝承について」と題して講演する。
 企画に協力する市アイヌ政策推進担当の松原崇人主幹は「丸木舟を使ったマレク漁の伝承活動は道内でも珍しい」とPRしている。
 参加には入館料が必要。体験やワークショップは事前予約制。予約は12日午前8時までに同水族館のホームページから。問い合わせは同水族館、電話0123・42・3001へ。(工藤さえら)
◆「マレク漁」の「ク」は小さい文字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/754450/

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長万部養殖ホタテ「湾宝」、アイヌ文様で応援 チセの会が刺しゅうで表現

2022-11-03 | アイヌ民族関連
北海道新聞11/02 05:00

糸や布選びにも個性が表れた、アイヌ刺しゅうの「湾宝」
 【長万部】地元の養殖ホタテ「湾宝」を刺しゅうで応援―。町内のアイヌ刺しゅう愛好家でつくる「チセの会」(七尾歌代会長、9人)は、長万部漁協や町が地元産養殖ホタテの新ブランドとして売り出している「湾宝」のデザインを刺しゅうで表現したクッションやバッグなどの作品を完成させた。
 縫い上げたのは、湾宝のPRポスターなどに描かれているホタテの図柄。湾宝は、同漁協や町などでつくる「長万部ホタテ貝アイヌブランド化推進協議会」がブランド化を進めており、ホタテの図案はアイヌ文様をモチーフにしてデザインされている。
 チセの会は同協議会の一員で、「実際に刺しゅうにして、湾宝を盛り上げよう」と制作をスタート。タペストリーやクッションカバー、ミニトートバッグなどを作った。
 講師の桑原由恵さんは「伝統的な技法を守りながら、自由に作ってもらった」と話し、七尾会長も「みんな良い作品ができたと思う。みなさんに見てもらえたら」としている。
 作品は5、6の両日、町総合文化祭で展示される。町ファミリースポーツセンターで午前10時~午後4時(6日は午後3時半まで)。問い合わせは実行委、電話01377・2・2748へ。(水島久美)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/754256/

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アイヌ伝統サケ漁に興味津々 新ひだか児童150人見学

2022-11-03 | アイヌ民族関連
北海道新聞11/02 05:00

サケの解体を興味津々な様子で観察する児童
 【新ひだか】アイヌ民族の文化継承などを目指す町のイオル再生事業の一環で、町内の小学校5校の4年生約150人が伝統的なサケ漁やサケの解体を見学した。
 10月19、20日に行った。児童は静内目名の静内川で、新ひだかアイヌ協会の会員が長さ約3メートルの棒の先端にかぎ針のついた伝統漁具「マレク」でサケを捕る様子を見学。見事にサケが捕れると拍手を送った。静内真歌にある伝統家屋「チセ」で、サケの解体を間近で観察した。
 19日に参加した山手小の井旗哉壱(かい)君(10)は「昔のアイヌ民族の人たちのサケ漁は大変だと思った」、静内小の戸泉晴翔君(10)はサケの解体を見て「サケの心臓は小さかった。捨てるところはないのはすごいと思った」と話していた。(石井純太)
☆マレクのクは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/754242/

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伐採木を「馬搬」 環境に優しく 平取で植樹準備

2022-11-03 | アイヌ民族関連
北海道新聞11/02 05:00

切った木を馬搬で運び出す作業
 【平取】町の第三セクターの町アイヌ文化振興公社は、アベツ川流域の国有林で行う植樹の準備として、病気や倒れそうな木などを伐採し、馬で運び出す「馬搬(ばはん)」作業を行った。
 同公社はアイヌ民具の素材となる樹木の確保などを目指し、オヒョウやクルミ、カツラなどの苗を毎年度植樹し、シカなどの動物が植樹場所に入らないよう周りを柵で囲っている。
 木の伐採は、来年度の植樹に向け柵を設置する場所で10月12、13日に行った。厚真町で馬搬などに取り組む西埜将世(にしのまさとし)さん(41)と渡部(わたりべ)真子さん(35)がばん馬を使って切った木を運んだ。同公社の職員は西埜さんからチェーンソーでの木の切り方を教わった。
 重機を使わず自然環境への影響が少ない林業として注目される馬搬について西埜さんは「重機が入る道を作らなくてもいい。また馬がいると人の気持ちも和んで現場が明るくなる」と話した。(杉崎萌)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/754241/

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奪われた恵み 取り戻す 北海道・アイヌの伝統サケ漁再現

2022-11-03 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2022/11/2 東京夕刊 有料記事 1948文字

サケの遡上を迎える儀式「アシリチェプノミ」で「輪踊り」をする「ラポロアイヌネイション」のメンバーたち=北海道浦幌町で
 朝霧が流れ、川面に陽光が差し込む。9月11日、北海道浦幌町の浦幌十勝川河口。丸木舟に乗った男たちが刺し網をたぐると、銀色にきらめく秋サケが次々と揚がった。
 アイヌ民族の団体「ラポロアイヌネイション」(旧・浦幌アイヌ協会)が、伝統文化の継承を目的として道の許可を取り、2年前から実施しているサケ漁。この日は33匹を捕獲した。
 漁の後、サケの遡上(そじょう)を迎える儀式「アシリチェプノミ」が営まれた。祭壇に獲物を供え、民族衣装を着たメンバーが、いろりを囲み神に祈った。
この記事は有料記事です。 残り1714文字(全文1948文字)
https://mainichi.jp/articles/20221102/dde/012/040/008000c

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【イベント】「第56回農業セミナー」を12月7日に開催いたします。

2022-11-03 | アイヌ民族関連
拓殖大学2022年11月02日
「第56回 農業セミナー」開催のご案内
 拓殖大学北海道短期大学「第56回農業セミナー」を令和4年12月7日(水)に、本学クリスタルホールで開催します。
テーマ:「農業・生活と野生動物」
[趣旨]
 近年、野生動物による農業被害および生活被害が北海道内各地で報告されています。一方で、北海道は自然豊かな地域であり、生物の多様性は貴重な財産です。野生動物による農業被害・生活被害の実情を紹介するとともに、自然豊かな北海道で野生動物とどのように今後付き合っていくとよいかを、動物の生態や過去の歴史から考える機会にしたいと思います。
 農業関係者はじめ農業に関心のある多くの皆様のご来場をお待ちしています。
内 容
【 日時 】 令和4年12月7日(水)13:00~16:00
【 場所 】 拓殖大学北海道短期大学 3階スノークリスタルホール
     (〒074-8585 深川市メム 4558)→〔地図〕
【テーマ】「農業・生活と野生動物」
【 講演 】
  講演〔1〕:「北海道の鳥獣害と対策」
  講師:北海道環境生活部 課長補佐 坂村 武 氏(札幌市)
  講演〔2〕:「農業と鳥獣害対策」
  講師:猟友会北空知支部納内更進部会 会長・農業 青木 照一 氏 (深川市)
  講演〔3〕:「変化する北海道のヒグマとヒトとの関係」
  講師:酪農学園大学 教授 佐藤 喜和 氏 (江別市)
  講演〔4〕:「アイヌのくらしの中の野生動物」
  講師:川村カ子トアイヌ記念館 副館長 川村 久恵 氏 (旭川市)
【 パネルディスカッション 】
 テーマ「人と自然が共生できる持続可能な社会の実現に向けて」
【 日程 】
 09:30 受け付け開始
 10:00 開会挨拶 
 10:10 講演〔1〕
 11:10 講演〔2〕
 12:00 <昼食>
 13:00 講演〔3〕
 14:00 講演〔4〕 
 14:50 <休憩>
 15:00 パネルディスカッション
 15:55 閉会挨拶
参加申込方法
下記の申込フォームより必要事項を入力してください。(申込期限:11月25日)
[別紙の申込用紙に記入いただききファックスでも申し込みできます。]
参加費は無料です。
 ○参加申込みフォーム
 ○FAX:0164-23-4411
 ○TEL:0164-23-4111
 ●第56回 農業セミナー申込用紙・ポスター→【PDF_730KB】
https://www.takushoku-hc.ac.jp/news/news-kankyo-arg/100332/

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北海道では秋に雪のような虫が大量発生?意外と知らない「雪虫の正体」を専門家に聞きました

2022-11-03 | アイヌ民族関連
北海道Likers2022年11月2日 20時30分
北海道では晩秋になると、綿毛のような虫が飛び交います。その虫は“雪虫”と呼ばれ、俳句では初冬の季語とされていますが、その正体を知る人は少ないでしょう。
雪虫の生態や地域性を取材しました。
「雪虫」の正体とは?
今回は、北海道博物館学芸員の池田貴夫さんに雪虫についてお話をうかがいました。
池田さんは埼玉県熊谷市出身。名古屋大学大学院を経て、1997(平成9)年に札幌に移住しました。いわゆる”道産子”ではないため、北海道民にとっては当たり前なことでも不思議に感じることがたくさんあったそう。
なかでも“雪虫”という呼び名に関心を持ち、研究を行っているそうです。
北海道の雪虫については、昆虫学、考古学、人類学、北方文化論などに功績を遺した北海道学芸大学(現北海道教育大学)教授・河野広道氏が、雪虫の正体や生態を克明に観察・記録。1941(昭和16)年に発行された『北方文芸』3・4号に『雪虫』の題で科学映画用シナリオを連載しています。

出典: 写遊 / PIXTA(ピクスタ)
北海道の雪虫の正体は、害虫・アブラムシの仲間です。
河野氏は、トドノネオオワタムシ、コオノオオワタムシ、ニレノタマフシ、ニレノエゾフシ、ナシワタムシなど、雪虫と呼ばれる十数種類を観察。一般的に雪虫として見られるトドノネオオワタムシは、シベリア、サハリン、北海道、本州、朝鮮半島など環日本海域に生息し、特に北海道に多いと記しています。
雪虫こと「トドノネオオワタムシ」の生態
トドノネオオワタムシの生態についても教えていただきました。
トドノネオオワタムシは、晩秋から初冬にかけてヤチダモという木に卵を産み付けます。翌春に孵化して第1世代が育つと、春のうちにまた卵を産みます。そこで生まれた第2世代は、夏にトドマツの根に移動し、第3世代を産みます。第3世代はさらにトドマツの根で第4世代を産み、それが育ったころ晩秋を迎えます。
実は、第1世代から第4世代までは、白色蝋質物(白い綿のようなもの)は身に着けていないそう。トドマツの根で産まれた第4世代が晩秋にヤチダモへ移動する際に、いわゆる“雪虫”の姿になるといいます。
アイヌ民族にも「雪虫」は身近な存在だった
アイヌ語にも「雪・虫」を意味する「ウパシ・キキリ」という言葉があります。トドノネオオワタムシなど、白色蝋質物を身に着けた虫を指しているそう。
「雪虫が現れると、雪の降る日が近い」、「雪虫が多い年は豊作である」、「雪虫が多く舞う年は降雪が多い」といった俗信も確認されているなど、アイヌ民族においても雪虫は冬の訪れを伝える使者であり、豊凶や積雪の多さを教えてくれる存在だったようです。
地域における雪虫の違い
北海道において、“雪虫”の呼称が記されたもっとも古い文献は、1848(嘉永元)年に淡斎如水(たんさいじょすい)が著した『松前方言考』といわれています。その一節がこちらです。
「ゆきむし 雪の初て降らんとする頃、又春に至りて雪の消へんとする頃には、蜉蝣(カゲロウ)の如き虫むれて飛ぶことなり。又樵夫(しょうふ)などものは山中にて雪中に虫を見ることあるとぞ。此を雪虫と云ふ」
※一部ふりがなを追加しています
池田さんは、「雪が初めて降ろうとする頃にカゲロウのように群れて飛ぶ」を、トドノネオオワタムシなどの北海道でおなじみの雪虫のことだと推測。そのあとの「春の雪解けに群れて飛ぶ」と「山中の雪中に見られる」は、何を指しているのかを調べました。
すると、新潟県の積雪地帯では、昔から雪解け頃に発生するカワゲラやユスリカ、トビムシなどを「雪虫」と呼び、この虫の出現によって農作業の準備を進める合図などとされていることが判明。また、アイヌの人々の間でもトビムシのことを「ウバシ・ニンカップ(雪を減らすもの)」と呼んでいたとされているそう。そして、東北地方には、春先に飛ぶ黒い虫を「雪虫」と呼ぶ地域がありました。
この調査から、小さな虫の呼び方一つとっても、昔の人の季節に対する敏感さ、地域や民族による考え方の多様性を感じ取ることができたそうです。
雪虫の生態や、地域によっては春の訪れを知らせる虫であることが分かりました。北海道では「雪の妖精」「初雪の使者」などともいわれていますが、ときとして大量発生し、人々の生活に影響を与えることもあります。一方で、雪虫は熱に弱く、人間の体温でも弱ってしまうそうなので、迷惑はお互いさまといったところでしょうか。
雪虫が出ると、2週間後くらいには初雪が降るそうです。雪虫を見かけたら本格的な冬支度を開始してください。
【監修・取材協力】北海道博物館 池田貴夫さん
【画像】池田貴夫さん、写遊 / PIXTA(ピクスタ)
https://news.livedoor.com/article/detail/23132733/

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発掘!古代いしのまき 考古学で読み解く牡鹿地方>五松山洞窟遺跡

2022-11-03 | アイヌ民族関連
河北新報2022年11月2日 12:00
【東北学院大博物館学芸員 佐藤敏幸氏】
<埋葬の謎 王権の政策か>
 推古天皇と聖徳太子が活躍した6世紀末~7世紀初め、石巻地方では再び集落がつくられ始めます。その頃のお墓の遺跡に五松山洞窟(ごしょうざんどうくつ)遺跡があります。この遺跡は一般的な後期~終末期古墳と違って海蝕(かいしょく)洞窟を利用したお墓の遺跡なのですが、その内容は驚くべきものでした。
■19体以上が出土
 五松山洞窟遺跡は石巻市湊字町裏山にあり、旧北上川河口東岸の牧山の粘板岩(ねんばんがん)丘陵裾(すそ)に位置します。海岸と河口の接点に当たる洞窟遺跡です。古代牡鹿地方では東寄りに位置します。遺跡の周囲には箱崎山(はこざきやま)洞窟や伊原津(いばらづ)洞窟など同様の洞窟遺構が数カ所分布しています。
 1982年、落石防止の工事中に遺跡が発見され、10月から発掘調査が行われました。調査の結果、洞窟内から弥生時代と古墳時代後期の遺構が見つかったのです。そのうち古墳時代後期の6世紀後半から7世紀初めには墓として利用されていたことが分かりました。洞窟には埋葬後集骨された19体以上の人骨とともに金銅荘圭頭大刀(こんどうそうけいとうたち)、金銅製耳環(じかん)、鉄製衝角付冑(しょうかくつきかぶと)、鉄鏃(てつぞく)、鹿角製弓弭(ろっかくせいゆはず)・弣(ゆづか)・刀子柄(とうすつか)・装身具、貝製腕釧(うでくしろ)、須恵器提瓶(さげべ)などの豊富な遺物が出土しました。
 まず注目されるのは古墳時代の人骨がまとまって出土したことです。出土した19体以上の人骨の分析から各年齢層の被葬者が男女の区別なく埋葬されていることが分かりました。中でも頭骨の形質の特徴からは関東地方の古墳時代人の特徴を持つ人骨と縄文時代人かアイヌに似た在地系の人の特徴を持つ人骨があり、関東地方の人と在地あるいは北方の人が一緒に埋葬されていることが明らかになりました。関東地方からの移住者がいたのです。
■副葬品、輝き今も
 注目すべき二つ目は古墳から出土するような副葬品です。金銅荘圭頭大刀、金銅製耳環、鉄製衝角付冑、鉄鏃の武器・武具・装飾品です。金銅荘圭頭大刀、金銅製耳環は金メッキの施されたもので、1400年前の金が今もさん然と輝いています。圭頭大刀とは柄頭(つかがしら)の形が鳥の頭のような形をしていて、6世紀後半から7世紀初頭ごろに生産されたものです。
 6世紀末以降は東日本の中・小規模古墳や横穴墓(よこあなぼ)からの出土例が多くあります。ヤマト王権の配下にあった中・小豪族に下賜(かし)されたものと考えられています。鉄製の冑は、横剥板鋲留式衝角付冑(よこはいたびょうどめしきしょうかくつきかぶと)と呼ばれる鉄板を鋲で留めて作られたもので、これも古墳からの出土例が多いものです。このことから五松山洞窟遺跡に葬られた人物はヤマト王権とつながりのある地方豪族と考えられます。ヤマト王権の範囲外の蝦夷の地に、王権の配下の人物が葬られていたのです。
 三つ目の驚きは骨角器や貝製品です。鹿の角や骨で作った弓弭、弣、刀子柄、装身具は古墳時代後期では出土例が少なく、太平洋岸の宮城県、福島県、神奈川県、和歌山県で数例あるだけです。貝製品には南方のオオツタノハ貝製品があります。オオツタノハ貝も縄文時代には日本列島太平洋岸の遺跡から多数発見されていますが、古墳時代のものは少なく、太平洋岸の千葉県房総半島や神奈川県三浦半島の遺跡に限られています。
■移住者、共に葬る
 四つ目の驚きは類似する洞窟遺跡の分布です。そもそも古墳時代後期に海蝕洞窟を墓に利用する遺跡は和歌山県紀伊半島、神奈川県三浦半島、千葉県房総半島に分布しています。同じような海蝕洞窟遺跡が茨城県や福島県を飛び越えて石巻で発見されたのです。
 房総半島や三浦半島に分布する海蝕洞窟遺跡と同じものが、なぜ遠く北に離れた蝦夷の地である石巻に存在するのでしょうか。また関東地方以西の中・小規模古墳の地方豪族に副葬される大刀や冑がなぜ石巻から出土したのでしょうか。関東からの移住者はなぜ石巻に移住し、在地の人あるいは北方の人と一緒に葬られたのでしょうか。たくさんの謎が残ります。大陸の隋帝国や朝鮮半島諸国の東アジアの緊張と関連してヤマト王権が執った政策の一つかもしれません。
 出土品は石巻市博物館常設展示室に展示してあります。実物を見て一緒に謎に挑んでみませんか。
https://kahoku.news/articles/20221102khn000017.html

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斎藤幸平、待望の新刊『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』を刊行。発売記念イベントも開催!

2022-11-03 | アイヌ民族関連
新書大賞受賞作『人新世の「資本論」』の著者、2年ぶりの単著
株式会社KADOKAWA2022年11月2日 09時00分
株式会社KADOKAWA(代表取締役社長:夏野剛、本社:東京都千代田区、以下KADOKAWA)は、2022年11月2日(水)に、斎藤幸平さん(東京大学大学院准教授)の新刊単行本『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』を発売いたしました。
人気の新聞連載を書籍化!
『人新世の「資本論」』(集英社新書)で新書大賞2021を受賞した斎藤幸平さんが、ベストセラーの次に挑んだ単著が『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』(通称「ウバシカ」)です。
地域や雇用などによる格差、なくならない差別、いまも進行形の公害問題、民族や国籍などによる悩みや生きづらさ、切り捨てられる人々、沈黙を強いる社会……日本中にはたくさんの問題があり、それを解決するために現場で闘っている人たちがいます。
経済思想家の斎藤幸平さんはこの2年間、日本各地に足を運び、現場の人たちの声を聞き、学び、そして未来の萌芽を探してきました。
理論を胸に、研究室を飛び出して現場の実践を学んだ取材記録。著者はじめてのエッセイです。
刊行記念イベントを続々開催!
新刊の刊行を記念して書店でのトークイベントを開催します。この機会にご参加ください。
11月8日(火) 18時30分~20時30分 @大阪 清風堂書店
 ゲスト:清水有香さん(毎日新聞大阪学芸部)
 会場/オンライン
 詳細:https://peatix.com/event/3398169/view
11月14日(月) 19時30分~21時30分 @東京 ジュンク堂書店池袋本店
 ゲスト:斎藤哲也さん(ライター・編集者)
 会場/オンライン
 詳細:https://online.maruzenjunkudo.co.jp/products/j70019-221114
11月20日(日) 15時00分~16時30分 @沖縄 ジュンク堂書店那覇店
 ゲスト:玉城デニーさん(現 沖縄県知事)
 会場のみ
 詳細:https://honto.jp/store/news/detail_041000072673.html?shgcd=HB300
目次
第一章 社会の変化や違和感に向き合う
 ウーバーイーツで配達してみた
 どうなのテレワーク
 京大タテカン文化考
 メガヒット、あつ森をやってみた
 5人で林業 ワーカーズコープに学ぶ
 五輪の陰
 男性メイクを考える
 何をどう伝える? 子どもの性教育
第二章 気候変動の地球で
 電力を考える
 世界を救う? 昆虫食
 未来の「切り札」? 培養肉
 若者が起業 ジビエ業の現場
 エコファッションを考える
 レッツ! 脱プラ生活
 「気候不正義」に異議 若者のスト
第三章 偏見を見直し公正な社会へ
 差別にあえぐ外国人労働者たち
 ミャンマーのためにできること
 釡ケ崎で考える野宿者への差別
 今も進行形、水俣病問題
 水平社創立100年
 石巻で考える持続可能な復興
 福島・いわきで自分を見つめる
特別回 アイヌの今 感情に言葉を
学び、変わる 未来のために あとがきに代えて
『ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた』書籍概要
 タイトル:ぼくはウーバーで捻挫し、山でシカと闘い、水俣で泣いた
 著者:斎藤幸平
 発行:株式会社KADOKAWA
 定価:1,650円(1,500円+税)
 発売日:2022年11月2日
 判型:四六版・並製・224頁
 ISBN: 9784044007157
 https://www.kadokawa.co.jp/product/322203002325/
 https://www.amazon.co.jp/dp/4044007152
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000011497.000007006.html

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北の鉄路切り捨て鈴木知事「夕張市長時の問題点」

2022-11-03 | アイヌ民族関連
東洋経済オンライン2022年11月2日 6時20分
旧夕張駅に続く廃線路。駅前のホテルは巨大な廃墟となった(筆者撮影)
北海道夕張市の衰退が止まらない。現在北海道知事を務める鈴木直道氏が夕張市長に就任した2011年からこの10年あまりで、市の人口は1万人台から6000人台に減少。約9億円あった税収も約8億円へと10%以上も減少した。一方で、2007年に財政破綻した市の借金の返済額は年間約35億円にのぼり、地方交付税など国からの交付金が今も支払いに充てられる。
鈴木氏は2008年に東京都庁から夕張市に出向し、その後30歳の若さで市長に就任。一時は「自治体再建のヒーロー」ともてはやされ、2019年「稼ぐ道政」を公約に掲げ北海道知事に初当選した。しかし、夕張市長時代にはJR石勝線夕張支線の攻めの廃線を実施したばかりか、市が所有していた観光4施設を格安で中国系資本の企業に売却したが、その後、4施設の運営会社は倒産。観光を基幹産業とする夕張市の経済は崩壊し「稼げない市政」を行っていたことは明らかだ。
攻めの廃線とは何だったのか
2016年8月、夕張市長だった鈴木氏はJR北海道の島田修社長(当時)と会談し、石勝線夕張支線、新夕張―夕張間16.1kmの廃線を自ら提案。いわゆる「攻めの廃線」として注目を集めた。
当時、JR北海道の経営問題が表面化する中で、JR路線の沿線自治体首長が鉄道存続に向けての危機感を強める中での廃線提案だった。その理由は、輸送密度が2015年は119人に減少し年間1億6000万円に上る営業赤字を計上していること。老朽化した鉄道施設の改修に億単位の費用がかかるということだった。鉄道の廃止と引き換えにJR北海道は夕張市に対して持続可能な交通体系を再構築するための費用として7億5000万円を拠出することなどを条件とした。
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財政破綻した夕張市を応援しようと2007年秋に「SL夕張応援号」が運行された際には、全国から大勢の観光客が押し寄せ、夕張の街は大きく賑わった。こうしたことから「炭鉱と鉄道で大きく発展した夕張の観光の目玉にできないか」という市民の声もあったが、鉄道の活用による地域経済活性化の側面には目が向けられることはなく2019年3月31日限りで夕張支線は廃止され、翌2020年約10億6000万円の費用が投じられ南清水沢地区に公共交通結節点となる「りすた」が開業した。
夕張支線の廃止・バス転換については、バスの便数が増便され鉄道時代よりも便利になったことがことさらに主張されたが、夕張市内の路線バスの利用者数は減少傾向が続き、市内のバス路線を一手に担っている「夕張鉄道(夕鉄バス)」のドライバーの高齢化問題が重くのしかかる。同社担当者によると「夕鉄バスのドライバーは過半数が50代以上。便数の維持についてはいずれ協議をしなければならない時期が来る」と将来的なバス路線の持続可能性については不透明な状況だ。
さらに、鉄道があることによって夕張を訪問していた観光客も消滅した。ソーシャルゲームアプリ「駅メモ!」を運営するモバイルファクトリーによると、夕張支線各駅への訪問者については、廃線となる2カ月前から現地で位置登録する人が増え始め、1カ月前に2~3倍に増加。廃線の翌月以降は従来の半分からそれ以下になるという推移を示したという。沼ノ沢駅の駅舎内で営業していた「レストランおーやま」も夕張支線の廃線後ほどなくして廃業した。
結果、この「攻めの廃線」がその後の北海道の鉄道網縮小の流れを作ってしまい、留萌本線をはじめ道内各地の鉄道路線の廃止が加速する。トラックドライバー不足も深刻化し鉄道貨物が見直されようとしている中、北海道の豊富な農水産物の輸送が今後、困難になるという問題も表面化しつつあるばかりか、東急の豪華クルーズ列車の運行にも影響が出るおそれがある。
観光施設を中国系企業に売却後、倒産
鈴木氏は、攻めの廃線を提案した翌年の2017年4月、夕張市が所有する「ホテルマウントレースイ」「マウントレースイスキー場」「ホテルシューパロ」「合宿の宿ひまわり」の観光4施設を破格の2億4000万円で中国資本の「元大リアルエステート」に売却する。また、これらの施設の運営会社だった「夕張リゾート」と国の登録有形文化財であった「夕張鹿鳴館」も同社へ売却された。
市所有の施設が安値で売却された背景には、元大が従業員の継続雇用に加え、長年にわたって施設の運営と地域活性化を行うという同社呉社長と鈴木氏との口約束があったことが市議会議事録における鈴木氏の発言で明らかになっている。また、物件の売却時に通常は契約書に盛り込まれる転売禁止事項も設定されることはなかった。さらに、呉社長と鈴木氏による記者会見も開かれ「元大が夕張市に対し100億円規模の投資を行い、中国人をはじめとした大勢のインバウンド観光客を夕張に呼び込む構想」があると報道された。
結局、この約束は果たされることはなく、攻めの廃線が実施された2019年4月、元大は夕張市から格安で買い取った4施設と運営会社を約15億円で香港系ファンドに転売した。
元従業員は「オーナーが変わったとたんに問答無用のリストラが始まった。2020年秋に最後に残った従業員は30名あまり。この時点で各施設を運営できる体制は崩壊しており、計画倒産だったとしか思えない。取引先に支払いの踏み倒しで迷惑をかけた」と話す。債権者は393人で負債総額は8億3000万円。一般債権者への返済はゼロだった。
現在は、この香港系ファンドが新たに設立した「夕張リゾートオペレーション」という会社がホテルなどの営業再開を目指すとしているが、会社の営業実態については不明な部分が多く本当に実現できるかは不透明なままだ。
相次ぐ国内大手企業の縮小撤退
中国系企業が夕張市を荒らしている一方で、市内に工場を置く国内大手企業の事業縮小や撤退が相次いでいる。
シチズン時計は、2020年、南清水沢地区でアナログ腕時計の歯車部品を生産する子会社夕張工場で希望退職者を募り事業を縮小する。2016年以降、「アップルウォッチ」に代表されるスマートウォッチが普及し始めたことで、特に1~3万円台の普及価格帯のアナログ腕時計の需要が大きく減少したことが理由だった。
しかし、マルハニチロは冷凍食品部門の業績が好調であるにもかかわらず、2021年3月末に沼ノ沢地区でフライやグラタンなどの冷凍食品を生産する夕張工場の閉鎖に踏み切った。同社広報によると「夕張は消費エリアから遠く交通の利便性の問題からも生産性が高いとは言えず、利益率の改善を目指し総合的な見地から生産拠点の集約を行った」という。同工場の閉鎖については昨今のトラックドライバー不足も関係しているといい、生産については直営の群馬工場のほか、グループ会社の札幌や熊本の工場に集約された。
中国系企業の夕張市での不動産の取得について、この問題を追及する元北海道議会議員の小野寺まさる氏は「日本の安全保障上大きな脅威になる」との見方を示している。
中国で2010年に施行された国防動員法は、中国政府が「有事だ」と判断した際に中国に関係する企業から民間人まであらゆる組織のヒト・モノ・カネを徴用できるというもので、こうして取得された夕張の不動産が中国人民解放軍の活動拠点となる懸念も指摘されている。2022年7月には中国籍の元留学生が中国人民解放軍による日本へのサイバー攻撃に関与した疑いで逮捕状が取られ国際手配された。
さらに、中国系企業の北海道での不動産取得については「夕張だけにとどまらず、留萌と釧路を結んだラインの南側エリアの爆買いが進んでいる」(小野寺氏)という。
小野寺氏は、北海道での鉄道網の縮小についても「日本政府が北海道の領有を放棄しているという誤ったメッセージをロシア側に与えているおそれがある」と警鐘を鳴らす。
2022年2月のロシア軍のウクライナ侵攻以降、鉄道が軍事物資の補給路やウクライナ国民の避難路として重要な役割を果たしていることが明らかになり、防衛省も国土交通省に対し特に安全保障に対する鉄道貨物の重要性について直訴をする事態となった。また、ロシア軍は北海道近海での軍事演習を活発化させており、4月にはロシア連邦議会議員で政党「公正なロシア」党首のセルゲイ・ミロノフ氏が「ロシアは北海道にすべての権利を有している」と発言し物議を醸した。
留萌ー釧路ラインから北側が危ない
ロシアの北海道領土化の野望は、日本が江戸時代だった1700年代後半、不凍港を求め南下政策を進めていたロシア帝国時代に遡り、スターリン政権下の旧ソビエト連邦時代には、1945年の終戦直後、北海道占領も計画された。旧ソ連軍は8月15日の終戦日以降も戦闘を続け、日本の領土だった南樺太と北方領土4島を含む千島列島が占領するが、旧日本軍による自衛戦闘がなければ8月24日に留萌に上陸し留萌―釧路ラインから北側のエリアを占領する計画だった。
2018年、ロシアのプーチン大統領はアイヌ民族をロシアの先住民族に認定する方針を示す。これに呼応するかのように翌2019年、北海道紋別市のアイヌ民族団体「モシリコルカムイの会」はプーチン大統領宛に、「千島列島をアイヌ民族の自治州とし、特に北方領土と知床半島(北海道島)のロシア政府による一体的な保全管理を求める」要望書を提出。ロシアが「自国民の保護」を口実に北海道に侵攻をしてくる危険性が指摘されている。さらに紋別市と接するオホーツク海には核兵器を搭載したロシア軍の原子力潜水艦も常時潜航しているという。
すでに北海道は、中国、ロシア両国のハイブリッド戦争に巻き込まれていると言っても過言ではない。日本の農地面積の26%を占め、カロリーベースで全国に20%の食料を供給する北海道が他国から侵略を受けた場合、日本の食料事情を揺るがしかねない危機が訪れる。そのためにも、北海道の鉄路の維持は欠かせないのだ。
さらに小野寺氏は、日本の安全保障を取り巻く環境が大きく変わる中で「鈴木知事は夕張の一連の件も含めて説明責任を果たさず逃げ回っている」と憤る。鈴木知事は、夕張市の産業破壊と北海道内の鉄道路線の攻めの廃線を確固たる政治信念のもとに行っているのであるならば、自らの口から説明責任を果たしてほしい。
(櫛田 泉 : 経済ライター)
https://news.livedoor.com/article/detail/23127537/

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【クイズ】この駅名、なんて読む?「南弟子屈駅」 -北海道の広大な牧場地帯にある廃駅

2022-11-03 | アイヌ民族関連
マイナビニュース2022年11月2日(水)17時0分 
電車の乗り換え検索をしていて「読み方が分からない!」、毎日通勤で通り過ぎているけど「読み方が怪しい……」――あなたにはそんな駅名がありませんか? 難読駅名のクイズにチャレンジしましょう。
この駅名の読み方は?
北海道・川上郡にあru
JR北海道釧路本線「南弟子屈駅」の読み方は? 「み」から始まる駅名です。
正解は次のページで――
正解は……
「南弟子屈駅」の読み方は「みなみてしかが」
「南弟子屈駅」は「みなみてしかが」と読みます。
南弟子屈駅はJR北海道の駅で、2020年3月に廃駅となっています。開業時点で所在地名の「クマウシ(熊牛)」が同じ道内の別の場所ですでに用いられていたため、弟子屈駅(現・摩周駅)の南方に位置することから「南弟子屈」と名付けられたそう。ちなみに、熊牛という名前はアイヌ語で「物干し棚・多くある・所」を意味する言葉に由来しており、魚が捕れ、多くの魚乾しの棚がならんでいた場所だと言われています。
次回の難読駅名クイズもお楽しみに!
https://news.biglobe.ne.jp/trend/1102/mnn_221102_1557303718.html

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日本で学んだ陳進、生誕115周年 台湾人女性画家草分け グーグル画面に

2022-11-03 | 先住民族関連
中央フォーカス台湾11/2(水) 18:12配信

日本で学んだ陳進、生誕115周年 台湾人女性画家草分け グーグル画面に=google.comから
(台北中央社)台湾人女性画家の草分けとして知られる陳進の生誕115周年を迎えた2日、グーグル検索のトップ画面に記念のイラストが掲載された。イラストをクリックすると、経歴などが紹介される仕組み。
陳進は日本統治時代の1907年、北部・新竹の裕福な家に生まれた。台湾で活躍した日本人画家、郷原古統に学び、郷原の勧めで日本へ渡り、東京の女子美術学校(現・女子美術大)で日本画の指導を受けた。
34年、チャイナドレスを着て楽器を演奏する女性たちを描いた「合奏」で帝展(現・日展)に初入選。45年に帰国してからも、台湾の画壇で活躍を続けた。98年没。享年91歳。
台湾原住民(先住民)族パイワン族の母子を題材にした36年の文展鑑査展入選作「サンティモン社の女」は、福岡アジア美術館に所蔵されている。
(趙静瑜/編集:楊千慧)
https://news.yahoo.co.jp/articles/ee599535f2f1a2b79fa0fd43df4715c5388f1e93

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『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』本予告編公開 ジェームズ・キャメロンの没入型映像体験再び

2022-11-03 | 先住民族関連
シネマトゥデイ2022年11月3日 0時00分

【動画】『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』本予告編
映画『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』本予告編【異次元の”没入型”映像体験】12月16日(金)劇場公開
 ジェームズ・キャメロン監督作『アバター』(2009)の続編『アバター:ウェイ・オブ・ウォーター』(12月16日公開)の本予告編が2日、公開された。主人公ジェイクたちの新たなドラマや印象的な海の生物たち、そして、再びパンドラに侵攻する人類の兵器が登場している。
 前作『アバター』は、貴重な鉱物が眠る衛星パンドラにやって来た元海兵隊員ジェイクが、パンドラと共に生きる先住民族ナヴィとの交流を経て、人類の侵略行為に対抗する姿を描いたアドベンチャー超大作。13年を経た続編『ウェイ・オブ・ウォーター』では、森から海に舞台を移し、最新の3D映像で、観客を再び神秘の星パンドラへと誘う。
 公開された本予告編に映し出されるパンドラの海は、青く美しく透き通り、本物の海のような広さを感じさせる仕上がり。クジラのような巨大な生き物や、背中に乗って海を駆けることができる生き物など、新たなクリーチャーが続々と登場し、3Dで鑑賞した時の新たな没入体験への期待が高まる。
 前作で恋に落ちた主人公ジェイクとナヴィ族のネイティリの間には子供たちが誕生。彼らと、今作から登場する海の部族のトノワリ家との交流も描かれており、新世代へと受け継がれる壮大なストーリーを予感させる。
 そして、再びパンドラへと侵攻してくる人類の脅威。パワードスーツのようなものを着用した兵士や、海を進む巨大な船、水中用とみられるロボットなど、新たな兵器の数々にも注目だ。森と海に生きる2つの家族は、激しさを増した人類の攻撃からパンドラを守ることができるのか。
 監督・製作・脚本を再びキャメロンが務め、ジェイク役のサム・ワーシントン、ネイティリ役のゾーイ・サルダナ、そしてシガーニー・ウィーヴァーらが出演している。(編集部・入倉功一)
https://www.cinematoday.jp/news/N0133373

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米オピオイド訴訟、CVSなど和解案合意 1.5兆円支払

2022-11-03 | 先住民族関連
日本経済新聞2022年11月3日 5:22
【ニューヨーク=西邨紘子】医療用麻薬「オピオイド」乱用問題をめぐり、米薬局大手のCVSヘルスとウォルグリーン・ブーツ・アライアンスは2日、複数の州や自治体を原告とする集団訴訟で和解案に基本合意したと発表した。薬物中毒まん延を引き起こしたオピオイド系鎮痛剤の大量流通を巡り、処方薬の管理責任が問われていた。
両社を合わせた和解金の支払額は約100億ドル(約1兆5000億円)。合意が成立すれば、薬局各社が多数抱えるオピオイド関連の集団訴訟で、解決に向け大きな進展となる。
具体的には、CVSは10年間、ウォルグリーンは15年間かけて原告の州や自治体や先住民族にそれぞれ合計で約50億ドルを支払う。両社とも過失は認めない。和解が最終的に成立するには、原告側の合意が必要となる。和解金は、各受け取り自治体を通して中毒者や遺族の支援活動などに使われる見通し。
ロイター通信は同日、関係者の話として、薬局事業で業界大手の米ウォルマートも31億ドルの和解金支払いに合意したと報じた。ウォルマート広報担当者は問い合わせに対し「ノーコメント」と返答した。
オピオイド系鎮痛剤は従来薬に比べ依存症の危険が少ないとして1990年代に売り出され、使用が急速に拡大した。だがその後、乱用による中毒がまん延し、深刻な社会問題となった。薬物過剰摂取による米国の死者は2021年に年間10万人に達し、その大多数をオピオイド系が占める。
米メディアによると、オピオイドまん延の責任を巡り、鎮痛剤メーカーや医薬品の流通会社、処方に関わった薬局大手に対して起こされた集団訴訟は3000件を超える。オピオイド鎮痛剤の発売当初、中毒の危険性を偽って積極的な販促拡大を進めた米パーデュー・ファーマは2019年に破綻。創業一族のサックラー家は60億ドルの和解金支払いに合意した。21年には米ジョンソン・エンド・ジョンソンを含む処方薬流通大手各社が250億ドルの和解金支払いに合意するなど、訴訟を巡り巨額の支払いが相次ぐ。
CVSは2日発表した7~9月期の決算でオピオイド訴訟の和解金を特別費用として計上。事業売却の影響も加わり、最終損益が前年同期の15億8700万ドルの黒字から34億900万ドルの赤字に転じた。CVSのカレン・リンチ最高経営責任者(CEO)は投資家向け説明会で、オピオイド訴訟の和解案が「すべての関係者にとって最も益になるものだ」と説明。CVSが「10年来(抱えてきた)問題を過去のものにできる」と理解を求めた。
本業では商品の値上げなどが奏功し、売上高が前年同期比1割増の811億5900万ドルと増収だった。特殊要因を除いたベースの1株利益は2.09ドルで、前年同期の1.97ドルと市場の予想(2ドル程度)をともに上回った。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN02E7K0S2A101C2000000/

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