北海道新聞11/21 19:34 更新

アイヌ工芸を生かした生活道具ブランドを立ち上げた萱野さん(中央)と流通販売担当の舩島さん(右)、デザイナーの鳥海さん(井上浩明撮影)
アイヌ民族初の国会議員、故萱野茂さんの孫で、日高管内平取町二風谷でゲストハウスを経営する萱野公裕さん(34)が、札幌のデザイナーらとアイヌ工芸を生かした生活道具のブランド「ramgu(ラムグ)」を立ち上げた。10月末には第1弾の商品として、アイヌ文様を彫った道産材のカッティングボード(まな板)と鍋敷きを発売した。萱野さんは「若手のアイヌ工芸職人の仕事を作り、技術を次世代につなぎたい」と意気込んでいる。
萱野さんは3月、アイヌ工芸品を普及させる構想を進めるため、知り合いの札幌の経営コンサルタント舩島修さん(59)らと生活道具の制作・販売会社「二風谷ワークス」(平取町)を設立した。収集家向けの高級品ではなく、普段使いできる商品を作るため、生活雑貨店を全国展開する中川政七商店(奈良)に勤務していた札幌出身の鳥海沙紀さん(29)をデザイナーに迎えた。
ブランド名「ラムグ」はアイヌ語で心を意味する「ラム」と日本語の「道具」を掛け合わせた。「アイヌが日用品に丁寧に文様を彫っていたように、使い捨てでなく長く愛用される道具になってほしい」(萱野さん)との願いも込めた。
開発した第1弾の商品は、まな板やお盆として使われた「メノコイタ」を基に考案したカッティングボードと、伝統的な糸巻き「ヌイトサイェプ」の形を転用した鍋敷き。それぞれMとLの2種類で、持ちやすさなどを意識して現代風にアレンジした。道産カツラの集成材を使用し、色合いの経年変化も楽しめる。
いずれの商品も二風谷の若手職人が、同地域で特徴的なうろこ状の文様「ラムラムノカ」を手作業で彫る。10月末から、支援金と引き換えに商品を送るクラウドファンディング(カッティングボードMは1万800円、Lは1万2100円など)を始めると、約2週間で100万円が集まった。28日まで支援を募り、職人の作業場の設置や一般発売向けのウェブサイトの立ち上げに活用する計画だ。
二風谷民芸組合によると、現在所属する職人は10人ほどで、木彫り熊がブームだった約50年前の3分の1に減ったという。萱野さんは「職人の稼ぎが増えれば、なり手も増えて技術が受け継がれる。若者が今の職を辞めてでも二風谷に来たいとなるくらいまでブランドの知名度を高めたい」と話す。
ブランドの説明やクラウドファンディングは⇒ラムグのホームページへ。(金子文太郎)
※ラムグの「ム」、ラムの「ム」、ヌイトサイェプの「プ」、ラムラムノカの「ム」は、それぞれ小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/763723/


アイヌ工芸を生かした生活道具ブランドを立ち上げた萱野さん(中央)と流通販売担当の舩島さん(右)、デザイナーの鳥海さん(井上浩明撮影)
アイヌ民族初の国会議員、故萱野茂さんの孫で、日高管内平取町二風谷でゲストハウスを経営する萱野公裕さん(34)が、札幌のデザイナーらとアイヌ工芸を生かした生活道具のブランド「ramgu(ラムグ)」を立ち上げた。10月末には第1弾の商品として、アイヌ文様を彫った道産材のカッティングボード(まな板)と鍋敷きを発売した。萱野さんは「若手のアイヌ工芸職人の仕事を作り、技術を次世代につなぎたい」と意気込んでいる。
萱野さんは3月、アイヌ工芸品を普及させる構想を進めるため、知り合いの札幌の経営コンサルタント舩島修さん(59)らと生活道具の制作・販売会社「二風谷ワークス」(平取町)を設立した。収集家向けの高級品ではなく、普段使いできる商品を作るため、生活雑貨店を全国展開する中川政七商店(奈良)に勤務していた札幌出身の鳥海沙紀さん(29)をデザイナーに迎えた。
ブランド名「ラムグ」はアイヌ語で心を意味する「ラム」と日本語の「道具」を掛け合わせた。「アイヌが日用品に丁寧に文様を彫っていたように、使い捨てでなく長く愛用される道具になってほしい」(萱野さん)との願いも込めた。
開発した第1弾の商品は、まな板やお盆として使われた「メノコイタ」を基に考案したカッティングボードと、伝統的な糸巻き「ヌイトサイェプ」の形を転用した鍋敷き。それぞれMとLの2種類で、持ちやすさなどを意識して現代風にアレンジした。道産カツラの集成材を使用し、色合いの経年変化も楽しめる。
いずれの商品も二風谷の若手職人が、同地域で特徴的なうろこ状の文様「ラムラムノカ」を手作業で彫る。10月末から、支援金と引き換えに商品を送るクラウドファンディング(カッティングボードMは1万800円、Lは1万2100円など)を始めると、約2週間で100万円が集まった。28日まで支援を募り、職人の作業場の設置や一般発売向けのウェブサイトの立ち上げに活用する計画だ。
二風谷民芸組合によると、現在所属する職人は10人ほどで、木彫り熊がブームだった約50年前の3分の1に減ったという。萱野さんは「職人の稼ぎが増えれば、なり手も増えて技術が受け継がれる。若者が今の職を辞めてでも二風谷に来たいとなるくらいまでブランドの知名度を高めたい」と話す。
ブランドの説明やクラウドファンディングは⇒ラムグのホームページへ。(金子文太郎)
※ラムグの「ム」、ラムの「ム」、ヌイトサイェプの「プ」、ラムラムノカの「ム」は、それぞれ小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/763723/