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先住民の絆結ぶ氷の道 激走、アイスロード

2017-12-28 | 先住民族関連
時事ドットコム12月28日(木)

雪がなく交通量が多ければガラスのようなアイスロードの表面が現れる。写真はイエローナイフからデタ村に向かうグレートスレーブ湖のもの【時事通信社】
 「陸の孤島」とは一体どうなっているのか。
 旅が後半にさしかかり、アクセスできる地図に道が載っていない集落を見たいとの思いが強く募る。
 それを確かめるため、厳冬期のおよそ3カ月間だけ通れるアイスロードでイエローナイフから北に一路、先住民の集落ワチを目指した。
 イエローナイフから105キロ離れた最初の村ベチョコまでは、グレートスレーブ湖に沿って舗装された道路が北西に伸びている。視界の左右に広がる森は雪に覆われているが、道路は除雪されている。建築資材などを運ぶ大型トレーラーと擦れ違うが、交通量は少ない。
 ベチョコを過ぎてマリアン湖上のアイスロードに入る。入り口につながる道路には「最大重量18500キロ」と標識が立てられている。
 この日のアイスロードは雪に覆われ、ガラスのように見えない。車をいったん停めてアクセルを強めに踏み込むと、四輪駆動のSUVが後部を左右に振りながら走り出す。
 しばらくするとアイスロードの端に設置された標識が見えてきた。
 「ROAD CLOSED(通行止め)」
 近寄ってよく見ると、黒っぽい湖の水が氷上にしみ出している。万が一、ここに気付かずに走行すれば氷が割れ、車が水没する恐れがあるため、アイスロードの一部を三角コーンで囲って注意を促しているのだ。
 ワチにつながるアイスロードは今年、2月5日に乗用車が通れるようになった。氷が厚さを増す2月に末以降はタンクローリーやトラックの通行ができるようになり、1年分の燃料、大量の生活必需品をはじめ、小型機に積めなかったり、高い運賃がかかったりするものを一気に輸送する。だが、今年は暖冬が影響し、氷のコンディションが良くないという。
 実際、ワチよりさらに北のアイスロードでは直前、タンクローリーが走行中に氷が割れ、一部が水中に沈む事故が発生。集落の人々にとってライフラインとなるアイスロードは全面的に通行止めとなり、住民の生活や移動に大きな影響が出た。
 アイスロードは想像以上にデリケートだ。よく注意して見てみると、一方の岸と対岸は最短距離の一直線で結ばれていない。車は岸の手前で大きくカーブして、陸地につながっている。
 「ポコポコポコ」
 イエローナイフとデタを結ぶアイスロードでは、車が通過するときに氷のしなる音が聞こえた。
 湖面が厚い氷で覆われても、重い車が通れば氷がしなって下の水がわずかに波打つ。その波が車の進行方向に向かって勢いを増し、岸辺の氷が割れてしまう事態が起きるのを防ぐため、アイスロードは岸の近くでカーブを描くのだ。
 全長約30キロに及ぶマリアン湖のアイスロードを抜け、白樺やカラマツの森に入る。夏には一面、湿地帯となるが、雪が地表を覆っている。お尻が時々シートから浮かんでしまうほどのでこぼこ道が続き、まるで悪路を走行するラリーカーに乗ったような気分になる。
 イエローナイフから約210キロ。およそ5時間をかけてワチに到着した。
 人口550人の小さな集落には、ブルーやオレンジといったカラフルな平屋が建ち並ぶ。村を挙げて開かれる先住民伝統の賭け遊び「ハンドゲーム」の大会を翌日に控え、住民は準備に追われていた。
 トリチョ族の人々はどことなく日本人に似ている。子宝に恵まれた世帯が多く、村の中心にある学校では、日が暮れた後も子供たちがスノーモービルで雪の積もった氷点下の校庭を走り回っている。
 「さあ、食べて、食べて」
 学校の体育館に設けられた食堂で、村の女性にカリブーのシチューなど、ワチの味で「おもてなし」を受けた。人々は気さくで次々と話しかけてくる。
 「どっから来たんだ。日本?ハンドゲームを見に来たのか?見ないで参加したらどうかね?」
 アイスロードができて陸の孤島でなくなるこの時期、遠くから多くの先住民が参加するハンドゲームには、どんな魅力があるのだろう。期待に胸が膨らむ。
https://www.jiji.com/jc/v4?id=201603canada-northwest0007

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先住民の絆結ぶ氷の道 氷上の漁

2017-12-28 | 先住民族関連
時事ドットコム12月28日(木)

グレートスレーブ湖で獲れた体長1メートルのレイクホワイトフィッシュ【時事通信社】
 ボビー・ドライギース(44)、ポール・マッケンジー(58)。
 2人ともグレートスレーブ湖を挟んでイエローナイフの対岸にある先住民の村、デタの出身だ。都市の近くに住んでいるが、今でも湖で魚を捕り、罠で小動物を仕留めている。2人と行動を共にし、先住民の昔ながらの生活を体験した。
 ボビーのピックアップトラックに乗り込む。イエローナイフからデタには、グレートスレーブ湖にできたアイスロードを使うと近道だ。
 凍った湖と陸地の境目は雪が覆って分からないが、入り口に「重量制限3600キロ」と表示された看板がある。アイスロードは全長約5キロ、幅は約50メートル。制限速度は50キロで車線はない。湖面を覆う氷が露出するように雪が取り除かれ、黒々とした水の上にできたガラスの道のようだ。
 「アイスロード部分に冷たい空気を直接当てて氷を厚くするんだ」
 こうすることで、氷は厚さが5フィート(約1.5メートル)になる。ピックアップトラックは普通の道と同じように走っていく。
 グレートスレーブ湖は北米では最も深い湖で、最深部は614メートルに達する。大丈夫だとは思いながらも、もし氷が割れたらとびくびくしているうちに、6キロ先の対岸にあるデタに着いた。
 車を置き、待っていたポールのスノーモービルに乗り換えてボビーの小屋へ。室内の薪ストーブの上には湖で捕ったイワナの仲間、レイクトラウトの皮が干されている。柱には罠猟で捕ったネズミの一種マスクラットの皮が裏を表にしてぶら下がり、狩猟民族の暮らしぶりがうかがえる。
 ポールが運転するスノーモービルが引くそりに乗り込み、グレートスレーブ湖に仕掛けた網を引き上げに行く。強い風が当たり、体感気温はマイナス30度くらいだ。
 厚さ1メートルほどの氷に穴が2カ所、約50メートル離れて開いている。同じ長さの網が水中に仕掛けてある。
 「よし、この綱を引っ張るんだ」
 穴から引き上げられた長い網にはレイクトラウト、淡水タラのカワメンタイなどが掛かっている。どれも50センチほどあり、中には1メートル近いレイクホワイトフィッシュの大物も。
 網から外された魚は氷の上で跳ねていたが、みるみるうちに凍っていく。カワメンタイは体をくねらせたままの姿で固まっている。
 「きょうは少ないね。魚が湖の別の場所に移動してしまったんだろう」
 残念そうに話すポールたちと、今度は近くの森に仕掛けた罠を見に行った。
 獲物は、凍って水がなくなった川底のトンネルを動き回るマスクラット。マスクラットを探すオオカミやキツネを追って居場所を見つけ出し、湖の藻と煮て臭いを消した罠を氷の下に仕掛ける。7つ仕掛けた最初の罠を確かめようと穴に手を入れたポール。「うわ~」と叫び、腕が奥に潜む獲物に引っ張られるしぐさをしておどけてみせる。空振りだったが、ポールもボビーも陽気だ。
 5つ、6つと成果がなく、あきらめかけて最後の仕掛けを点検するポールの表情が急に真剣になった。
 「何かいるぞ!」
 ゆっくりと仕掛けを引き出す。すると罠に手を挟まれたマスクラットが一匹。ポールは手足をばたつかせているマスクラットを素早く雪の上に打ち付けて仕留めた。毛はふさふさで触ってみるとまだ体温が残っている。
 「俺たちはずっとこうして猟を続けてきた。子供にも猟を教えているが、みんな好きだと言っているよ」
 ボビーは満足そうだが、自然に左右される厳冬期の網漁や罠猟は想像を超える重労働だ。小屋に戻り、寒さで感覚がなくなった手で握ったマグで飲むコーヒーは格別のおいしさだった。
https://www.jiji.com/jc/v4?id=201603canada-northwest0006

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先住民の絆結ぶ氷の道 発展支えた功労者

2017-12-28 | 先住民族関連
時事ドットコム12月28日(木)

道路や鉄道が通じていない先住民の村や鉱山へ、飛行機で人や荷物を運ぶのがブッシュパイロットの仕事。彼らが使用する機体の中でも有名なのがデ・ハビラント・カナダDHC-6「ツインオッター」機だ【時事通信社】
 グレートスレーブ湖をはじめとした大小無数の湖や川に囲まれたイエローナイフは、1960年にハイウエーでつながるまで主要な町と隔絶した陸の孤島だった。そんなイエローナイフの発展を支えたのが草原や凍った湖面、水上といった滑走路のないさまざまな場所に季節を問わず離着陸できる操縦技術を持った「ブッシュパイロット」と小型プロペラ機「ブッシュプレーン」だ。
 「ブッシュパイロットはしばしば極寒と危険な離着陸環境に遭遇しながら、乗客や郵便物、物資を人里離れた地に運び、カナダ北部の経済発展と公共サービスの提供に重要な役割を担った」
 イエローナイフの旧市街にある、町を一望できる小高い丘の上に立つ展望台の碑には、ブッシュパイロットの功績を称える文字が刻まれている。誘導灯がなかった当時、この丘がイエローナイフを目指して飛んだブッシュパイロットの目印だった。
 イエローナイフと北部にある先住民の村、ワチ、ガメティ、ウェクウェッティを結ぶ定期便を運航しているエア・ティンディ社をイエローナイフ空港に訪ねた。
 エア・ティンディは、遠隔地に急病人が出た場合に出動する5機の小型機を含め20機を保有している。駐機場では職員が3人がかりで単発プロペラ機の乗降口から冷蔵庫を横倒しにして機内に押し込んでいる。こんな大きなものが入るのかと思うようなサイズだ。
 「冷蔵庫のメーカーは横倒しの運搬を推奨していないけど、使う前にしばらく真っ直ぐに立てていれば大丈夫さ」
 かつて自らも操縦桿を握っていたマネジャーのボブ・シュヌアが笑う。
 冬は凍った湖や川にアイスロードができ、先住民の村と都市を車で移動する人が増える。だが、氷が解けてアイスロードが消滅すれば、食料品など生活必需品を運ぶブッシュプレーンの存在感は大きくなる。
 「自分がすべきことをしているだけ。でも道のない村を結ぶブッシュプレーンの運航会社として責任の重さを感じる」
 ボブはちょっと照れくさそうな顔をしながら、得意げに話した。
 駐機場で翼を休めている年季の入った一機が目に入った。ブッシュパイロットの信頼が厚い名機「ツインオッター」だ。デ・ハビランド・カナダ社が開発した双発のプロペラ機で1965年に初飛行。滑走路がない場所でも短距離で離着陸できる。目の前の機体には、タイヤとそりが一体化した着陸装置が付いている。
 「近くまで乗っていくかい?」
 ツインオッターをじっくり観察していると、一人の男性に誘われた。
 マイク・マーフィー。ブッシュパイロット歴25年のベテランだ。
 無賃搭乗でいいのか尋ねてみた。
 「乗りなよ。旧市街までのちょっとだけどな」
 後部から乗り込む。ジュラルミンむき出しの機内に燃料の臭いが充満している。シートは簡素な折りたたみ式。19人乗りだ。客室から機長のマイクと若い副操縦士が慣れた手つきで年代を感じさせる計器盤を操作しているのが見える。手動操作が多く、クラシック飛行機といった趣だ。
 2基のエンジンが煙を吐いて始動する。マイクが右手で操縦席の天井にある2つのスロットルレバーを同時に前方へ押し出すと、ツインオッターはゆっくりと動き出した。
 滑走路まで来た。マイクの右手に副操縦士が左手を重ね、レバーをさらに前へ倒す。離陸だ。
 「ブオーン」とプロペラがごう音を立てる。エンジンの振動が大きくなって走り出したと思った次の瞬間、ツインオッターはふわっと浮かび上がった。離陸時に強い加速で体が座席に押し付けられるジェット機とは異なる感覚だ。飛び上がった機体はすぐに右旋回。イエローナイフのこじんまりした街並みがすぐ下に広がる。
 5分ほどの短いフライトの後、ツインオッターはブッシュパイロットの碑に程近い凍ったグレートスレーブ湖に滑るように着陸した。氷上の駐機場となったここで次のフライトに備えるのだ。
 雪原や雪がかぶった氷上の着陸は、機体がどこまで雪に沈むかが分からず、緊張すると話すマイク。
 「飛ぶ場所が決まっている定期便パイロットの技能は幼稚園生。チャーター便をツインオッターで飛ぶ俺はマスター(修士号)取得者だね」
 屈託のない笑顔に、飛ぶことが大好きなブッシュパイロットのプロ根性が浮かんでいた。
https://www.jiji.com/jc/v4?id=201603canada-northwest0005

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先住民の絆結ぶ氷の道

2017-12-28 | 先住民族関連
時事ドットコム12月28日(木) 極寒のエメラルド

イエローナイフ上空に現れた巨大なオーロラ。気温は-27度。【時事通信社】
 雪が舞う早朝、フォートスミス空港に向かう。乗り心地が予想外に快適だったピックアップトラックとはここでお別れだ。手荷物チェックもなく、そのままイエローナイフ行きの小型プロペラ機に乗り込む。高度2万フィート(約6100メートル)。機内に朝日が差し込む。
 カナダに来てから3日間、晴れたことがない。45分間のフライトで到着したイエローナイフの空は鉛色をしている。ここにやって来たからには、生まれて初めてオーロラを見てみたい。例年より気温が高いためか、曇りがちな天気が続き、だんだんと不安になってきた。
 だが、心配は無用だった。午後になると、雪交じりの曇天がうそのように晴れ渡った。雲一つなく、サングラスがなければ雪の照り返しが強く、目を開けていられない。冷え込んだ快晴の夜によく見えるというオーロラに期待が高まる。
 午後11時。分厚いフード付きのジャケット、防寒ズボン、目出し帽に身を固め、イエローナイフ市内から車で約30分離れた「オーロラ観測スポット」へ。真っ暗の雪原だ。オーロラ目当てで来た数台の車が車内灯を消し、エンジンをかけたまま止まっている。
 車外に出る。気温マイナス27度。今まで経験したことのない極低温の乾いた空気が、肺の奥まで入り込む。宇宙服のように着膨れし、歩く姿はペンギンのように見えるに違いない。
 寒さで積もった雪は粉のようにさらさらだ。手袋は二重にしているが、カメラを設置するために三脚を準備しているだけで指先がかじかむ。カメラに触れた自分の息がたちまち凍りつく。レンズの表面に息が掛からないように注意しながら、澄み切った漆黒の夜空を見上げる。
 「空にはこんなにたくさんの星があるのか」
 思わず独り言が出た。地平線に少しだけ隠れたオリオン座。星もオレンジっぽいものや青白いものなど色々ある。本物の星が輝く「プラネタリウム」はため息が出るほど美しく、しばし寒さを忘れるほどだ。
 時折、ダイヤモンド鉱山に燃料などを運ぶトレーラーがエンジン音をとどろかせながら走り過ぎる。その向こうにある森から半透明のエメラルド色をした光の筋が現れ、やがてカーテンのようになって空いっぱいに伸びる。
 「オーロラだ!」
 音もなく突然現れては消え、そしてまた別の方角から出現するオーロラは、墨汁に色絵の具を流したようで幻想的。だが、強く光ったり、弱く光ったりする様はどことなくこの世のものではないような不気味さもあり、不思議な感覚に襲われた。
 オーロラは、太陽から放出された電気を帯びた粒子が大気圏に入る際に光る現象だ。上空100~500キロで輝き、粒子の原子や輝く高度によってエメラルドや紫、青といった色に見える。イエローナイフでは、光の強さを10段階で分けて予報を出している。この日は「レベル3.5」。若干エメラルド色が薄かった。
 極低温の夜空を見上げ続けて2時間余り。目出し帽の口元が息で白く凍りついている。全身がこのまま凍結してしまうのではないかと感じ始めた頃、イエローナイフに戻ることにした。
 帰路、突如、車が急ストップした。車外に飛び出た同乗のカメラマンが叫ぶ。
 「これはすごい!見て!」
 ドアを開けて空を見上げると、巨大なオーロラが真上で輝いている。先ほどまで見ていたものより近くで光っている。風になびいたカーテンのひだのような部分は、白、エメラルド、紫色と虹のグラデーションに彩られ、瞬時に色を変える。
 激しく動きながら妖艶な光を放つオーロラは、まるでSF映画に出てくる生き物のようだ。写真を撮ろうと思った瞬間、勢いよく輝いていたオーロラは夜空に溶け込んでしまった。
 ホテルに戻ったのは午前3時前。しかし、初めて目にしたものに興奮し、なかなか寝られなかった。
https://www.jiji.com/jc/v4?id=201603canada-northwest0004


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先住民の絆結ぶ氷の道 かんじき作りの名人

2017-12-28 | 先住民族関連
時事ドットコム12月28日(木)

かんじきを制作する工房で、作り方を説明するローレンス・チージーさん【時事通信社】
 フォートスミスの博物館には、先住民の暮らしぶりを紹介するカヌーや毛皮、当時の写真などが並ぶ。町の若者が通う「オーロラ・カレッジ」の校内ではいろんな場所で先住民の言語を学ぶクラスの案内紙が貼られている。先住民文化の継承に町が積極的に取り組んでいる印象だ。
 カレッジで待ち合わせたのは、学生に木造建築を教えるローレンス・チージー(69)。先住民族に伝わるかんじきが作れる文化の伝承者だ。どことなくアジア人のような顔立ちのローレンスの帽子には、「先住民の誇り」と書かれている。
 白樺の森と雪に囲まれた自宅の作業場。細長い涙形をしたいくつかのかんじきの中には、孫のために作ったという作品があった。大人用の長さ1.5メートルほどのものよりも小ぶり。紫と白の毛糸でできたレースがあしわられ、伝統工芸品のようだ。
 「かんじき作りには長い経験が必要なんだ。わしが作るのは軽くて評判だよ」
 かんじきの枠には、水分を十分に含んだ白樺の枝を使う。かんなを使って角が丁寧に取られた棒状の木材は、雪に接する面に固い表皮側がくるように、水蒸気を当てながらゆっくりと曲げていく。急いで成形すると折れてしまうからだ。
 「伝統的にはひもで固定して成形するが、自分で工具を作ったよ。面倒くさいからね」
 笑いながら見せてくれたのは、かんじきのつま先部分を上方に反らすために『発明』した当て木だ。
 父親から学び、長年かんじきを作り続けてきたローレンスが一番難しいと話すのは、細いひも状にしたカリブーの革を、木枠の内側に網目状に編み上げる工程。革ひもは、大人2人がかりで左右に引っ張った大きな革を、小さなナイフを使って幅5ミリ程度に裂いて作る。そうしてできた革ひもを、雪原を歩いても沈み込まないように目を細かく慎重に編んでいく。木材と革。素材はシンプルだが、作る作業は緻密で手間がかかり、説明を聞いているだけで気が遠くなりそうだ。
 「かかりっきりで作れば4日間ほどで出来上がる。でも白樺の枝といった材料集めから考えると、とても時間がかかるんだ」
 かんじきは体重を分散させるため、雪原で足が深く沈み込まない。サイズが一回り大きなものは猟犬が歩きやすいように雪を踏み固めるために使われる。森の狩りでは獲物に人間の臭いを悟られないよう、動物の毛皮を付けることもあったという。
 1757~58年に現在の米ニューヨーク州で領土をめぐり先住民と英国軍が衝突した戦いでは、かんじきを履いた兵士が雪原の戦闘に参加。冬の作戦でかんじきの威力が認識されるきっかけになったと言われている。
 ローレンスに、かんじきの威力を見せてもらった。向かったのは50センチほど雪が積もった丘。
 歩いた時にかかとが浮くように靴とかんじきをひもで縛り付けたローレンスは、雪原をのっしのっしと歩いて行く。大柄なローレンスが歩いても、深く沈むことはない。
 普通の靴を履いてローレンスの後に続く。だが、足が雪にはまり込んで動けない。おまけに靴の中に雪が入り込み、足はびしょ濡れ。氷点下で足の指が一気に凍った感じだ。
 「今ではアルミフレームのかんじきが手に入る。でも先住民に伝わる文化と伝統を守りたい」
 ローレンスが小さかった頃は、村のあちこちでかんじきが作られていた。しかし、自分で作れる人はいなくなったと寂しがる。先住民文化が廃れていくことに危機感を持ち、3年前からオーロラ・カレッジで一般を対象に作り方を教え始めた。最近は若い世代からも作り方を尋ねられるようになり、伝承に手応えを感じていると目を細めた。
 「文化は、決して失ってはいけない先祖からのギフト(贈り物)。独自の言語と文化を保っている日本がうらやましいよ」
 ローレンスの言葉が重く響いた。
https://www.jiji.com/jc/v4?id=201603canada-northwest0003

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先住民の絆結ぶ氷の道 伝説の罠猟師

2017-12-28 | 先住民族関連
時事ドットコム12月28日(木)

フォートスミスに住む伝説の罠猟師フィリップ・ケネディー(通称パイさん)。写真は現役当時、犬ゾリで猟に向かうパイさん【Northern Life Museumu提供】
 イエローナイフから20人乗りの小型プロペラ機でグレートスレーブ湖を南へ縦断し40分。1967年にイエローナイフがノースウエスト準州の州都になるまで行政の中心地だった小さな町、フォートスミスにその「伝説の罠(わな)猟師」は暮らしている。
 フィリップ・ケネディー。先住民と入植してきたフランス人の血を引くメティス族の老人は26年生まれ。今年末に90歳になる。人々は親しみと尊敬を込めて「パイ」と呼んでいる。8歳の時から毎年、冬の森にこもり、先住民に伝わる犬ぞりを使った罠猟で生涯生計を立ててきた貴重な人物だ。
 空港からフォード・モーターの巨大な四輪駆動ピックアップトラックで雪道を走り、町外れにあるパイの小さな家を訪ねた。犬ぞりで厳冬の森を駆け巡ったたくましい、大柄の人物を想像していたが、出迎えてくれたのはボストンレッドソックスの野球帽をかぶった驚くほど小柄な老人。
 「心臓発作に見舞われてからはつえを突いているが、歩いてリハビリをしないとね」
 そう言いながら、動物の臭いが染みついた裏の小屋に大事にしまってある犬ぞりを最初に見せてくれた。長さ約3メートルの木製そりは、職人の手作り。前部は一枚板を上方に丸く反らせ、雪上で滑りやすくしてある。心臓発作で罠猟を引退した2010年まで70年近く、犬が引くそりの後ろに立ち、15万ヘクタールに及ぶ広大な森で猟を続けてきた。顔のしわには先住民族が昔から続けてきた伝統が深く刻まれているようだ。
 「犬と暮らすことが大好きだったから罠猟師になった。森の中で独りぼっちという気になったことはないし、罠猟師を辞めようと思ったこともないね」
 10頭の犬が引くそりに乗った雄姿を写した写真や絵が飾られた自宅の室内。パイは父親から受け継いでミンクやリンクス(オオヤマネコ)、クズリ、キツネなどを捕まえて毛皮を作っていた生活を教えてくれた。
 「今はスノーモービルがあるから犬ぞりで猟をする人はいない。犬を一人前に育て上げるには少なくとも2年はかかる。それでも犬ぞりがいいんだ」
 犬にはかつて「ジョージ・ブッシュ」「トニー・ブレア」と名付け、どちらにリーダーシップがあるのか楽しんだことがある。意地悪な2頭の名は「カダフィ」「ホメイニ」だ。
 ユーモアあふれるおしゃべり好きのパイからは、猟の相棒である犬たちへの愛情が話のあちこちから伝わった。
 罠猟生活は自然が相手だけに、苦労も多かったようだ。森にこもるのは10月から翌年の3月のおよそ半年。40年代以降は乱獲のため獲物が激減し、5日間でミンクなど5匹しか得られない時もあり惨めな思いをしたと振り返った。
 「罠猟も農業と同じ。来シーズンのことを考えて捕獲しなかったから、キツネや野ウサギはいなくなってしまった」
 さらに、環境保護団体や動物愛護団体の批判が高まったことで毛皮の需要が減少。近年は取引価格が大きく下がったと悔しがる。
 引退してからは相棒の犬が一頭、そしてまた一頭と死んでしまい、最後の一頭が最近、いなくなった。雪が積もった裏庭には空になった犬小屋がそのまま残っている。
 犬ぞりで罠猟ができなくて寂しくないか、と聞いてみた。
 「まったくないね」
 パイの即答は意外だった。
 「自分ができることがどこまでなのか分かっているし、やりたいことはやった。罠猟を後世に伝える活動もあるしね」
 眼鏡の奥の瞳は、先住民の生き方を自然体で貫いた達成感に満たされているように見えた。
https://www.jiji.com/jc/v4?id=201603canada-northwest0002


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先住民の絆結ぶ氷の道 イエローナイフ

2017-12-28 | 先住民族関連
時事ドットコム12月28日(木)

ノースウエスト準州の州都イエローナイフが面するグレートスレーブ湖上にできたアイスロードを走る車。【時事通信社】
 凍りついた広大な湖面に伸びるガラスの道。カナダ北西部ノースウエスト準州に点在する先住民の集落を結ぶ「氷の道(アイスロード)」だ。湿地に浮かぶ「陸の孤島」のような集落につながる道は地図にない。だが、1年のうち湖や川が凍る厳冬期の約3カ月間だけ、車が氷上を通れるアイスロードが出現する。遠路はるばる集落の親戚や友人を訪ね、絆を確かめ合う先住民にとってかけがえのない氷の道。3月上旬、ノースウエスト準州で先祖から脈々と受け継いだ文化を守る先住民の暮らしに触れる貴重な機会に恵まれた。(文:近藤真幸、写真:石原彰)
 滞在拠点の州都イエローナイフへは、飛行機で1988年に冬期オリンピックが開催されたカナダ西部アルバータ州のカルガリーを経由し約14時間。人口は約2万人で、観光や行政関連の仕事に就いている人が多い。オーロラが間近に見られる町として知られ、カルガリーからは多くの日本人観光客と乗り合わせた。
 イエローナイフが面するグレートスレーブ湖は面積2万8568平方キロ。琵琶湖のおよそ43倍にもなる巨大な湖の水面は、飛行機の窓から見渡す限り真っ白く凍りついている。そのスケールの大きさは圧巻だ。
 「マイナス17度」
 夕方、ローカル空港然としたイエローナイフ空港に到着し、機外に出る。表示板が示す気温は、イエローナイフが北極圏から南にわずか400キロしか離れていない極寒の地だと自覚するには十分すぎるインパクトがある。湿度が低く「骨まで染みる」といった寒さではないが、それでも外気に直接さらされた顔には氷点下の空気が突き刺さる。ひりひりとした痛みを感じ、小走りで暖かい空港建物の中に急いだ。
 イエローナイフの地名は、かつてこの土地に暮らしていた先住民族デネの人々が、狩猟で用いる銅製のナイフを身に着けていたことにちなんでいる。入植してきたヨーロッパ人が19世紀末に金鉱を発見し、ゴールドラッシュとなった。当時の地元作家はその様子を「黄金で通りが舗装された町」と書き残している。
 金鉱山は2004年に閉山されたが、現在はダイヤモンドが採掘され、鉱山に燃料などの物資を運ぶ大型トレーラーがイエローナイフ郊外のハイウエーを24時間中ひっきりなしに走っている。
 翌日から本格化する取材に備え、夕食に向かう。通りを歩いている人はいない。寒さで雪は解けずに残り、走っている車のほとんどが四輪駆動のピックアップトラックだ。
 ジビエ料理で有名なレストラン「トレーダーズ・グリル」で、バイソン(バッファロー)とヘラジカのステーキに挑戦してみた。バイソンは脂の少ないビーフステーキに似た味と食感だ。ヘルシーな肉として人気があるという。ミディアムレアのヘラジカ肉は、真っ赤な色をしている。柔らかい肉をかみしめると、何とも言えない独特の「獣臭い味」がする。美味しいかと言われれば、「…」。
 「今年はエルニーニョ現象のせいよ」
 ウエートレスの若い女性によると、最近までは夜間の気温が例年並みのマイナス30度程度まで下がっていたという。ところがこの数日は冷え込みが緩んでいるらしく、「マイナス17度しか下がらないのは異常だ」と当惑気味だ。
 氷点下になることも珍しい東京とは余りにも異なる感覚に驚きながら、口の中のヘラジカ肉をビールで一気に胃袋に流し込んだ。
動画 https://www.jiji.com/jc/movie?p=mov655-movie03
https://www.jiji.com/jc/v4?id=201603canada-northwest0001

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大地のへそ・ウルルを彩る光の芸術 豪州の旅

2017-12-28 | 先住民族関連
時事ドットコム12月28日(木)

世界最大級の一枚岩、ウルルを彩る光のイルミネーション「フィールド・オブ・ライト2016」=2016年3月、豪州・ノーザンテリトリー・ウルル【時事通信社】
 世界で2番目に大きい一枚岩としてだけではなく、そこで暮らす先住民の文化も魅力的な豪州ノーザンテリトリーの世界遺産「エアーズロック」。近年では中央オーストラリアに住む先住民、アボリジニのアナング族が古くから使っていた「ウルル」という名で呼ばれている。
 そのウルルの麓が、2016年4月から1年間限定で幻想的な姿を見せる。国際的に有名な芸術家、ブルース・マンロー氏によるインスタレーション「フィールド・オブ・ライト」が公開されるのだ。日没後、約5万個の色とりどりの電球に命が吹き込まれ、影が落ちたウルルと共演する光景は、今回が初お目見えとなる。
 南半球ではまだ厳しい暑さが残る3月、初秋の中央オーストラリアに飛び、その美しさと雄大さに迫った。
(時事通信社写真部・本間裕貴)
 夜10時、羽田空港からカンタス航空のシドニー行きの便に乗り込んで約9時間半。翌朝に国内便に乗り換えてさらに3時間半のフライトを経ると、シドニーから約2100キロ北西に位置する中央オーストラリアの都市、アリススプリングズに到着した。
 ガイドを務めてくれるツアー会社「ウェイアウトバック・オーストラリアン・サファリズ」のアダムさんと落ち合い、空港のエントランスを出ると、肌を刺すような熱気に襲われた。3月の中央オーストラリアは本格的な夏は過ぎたものの、まだ日中は40度近くになる日もある。湿度が低いのが唯一の救いだが、それでも数分で玉のような汗が額から流れ落ちる。
 小型バスに乗り込むとアダムさんが「水は絶対に手放すな。こまめに飲むように!」と1リットルの水が入ったペットボトルを手渡してくれた。命の水だ、大切にせねば。
 アリススプリングズは、「アウトバック」と呼ばれる砂漠を中心としたオーストラリア内陸部のうち、赤茶色の荒野が広がる「レッド・センター」に位置する。人口は約2万5000人と少なく感じるが、これでもアウトバック最大の都市である。かつて、砂漠地帯の南北の交通拠点として建設されたそうだ。
 最初の目的地は、交通事故などで母親を亡くした野生の赤ちゃんカンガルーを飼育している保護施設「カンガルー・サンクチュアリ」。舗装された道路を外れて茂みの中を少し進むと、カンガルーのシルエットが描かれた標識と赤茶色の小屋が見えてきた。
https://www.jiji.com/jc/v4?id=201605ulr0001

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「JAPAN-NEW ZEALAND GEOTHERMAL WORKSHOP」開催報告

2017-12-28 | 先住民族関連
PR TIMES (プレスリリース)2017年12月27日 17時33分
 JOGMEC(本部:東京都港区、理事長:黒木啓介)、GNS Science International Limited(本部:ニュージーランド・ウェリントン地方自治区)およびニュージーランド貿易経済促進庁(本部:ニュージーランド・ウェリントン地方自治区)は、2017年11月20日(月)および21日(火)の2日間にわたり、ニュージーランド(以下、NZ)のロトルア市、タウポ市にて「JAPAN-NEW ZEALAND GEOTHERMAL WORKSHOP」を開催しました。
 今回で2回目となるJOGMECとGNS Science International Limitedとのワークショップでは、持続的な地熱資源開発を念頭にして、両国における地熱事業と温泉・間欠泉、観光、環境等に関係する分野において、双方の地熱資源開発事業者、地方自治体、研究機関、およびマオリ族関係者等、合計14名の講演者が成果や現状等を講演したほか、フィールドトリップを開催して、NZの地熱発電所、地熱直接・二次利用施設および間欠泉を訪問し、のべ100名を超える方々に参加いただきました。
 本ワークショップは、JOGMECとGNS Science International Limitedが2015年7月16日に締結した地熱分野における環境影響評価、資源調査手法の開発、探査技術の向上、貯留層維持・管理、開発地域の地元の理解促進等を含む協力分野において、双方向的技術協力を促進することを目的とした「地熱エネルギー分野での協力に係る覚書」(Memorandum of Understanding:MOU)の下、開催されました。
 NZは、地熱資源に恵まれ1950年代から地熱発電が行われており、約60年の地熱発電の歴史を有しています。我が国においても約50年におよぶ地熱発電の歴史があるものの、NZの発電設備容量は我が国の約2倍となっています。NZにおける地熱発電は先住民であるマオリ族が培ってきた温泉文化との共生を経て成り立っており、地熱発電の一次エネルギー供給割合は22%に達しています。また、地熱発電後は地域に熱供給が行われ、観光や農業など地域の産業に活用されています。
 地元住民や温泉事業者等との共生は、我が国においても地熱資源開発を促進していく上で不可欠な要素であり、本ワークショップではNZ、我が国の地熱資源開発における地熱資源開発事業者、地方自治体の持続的な地熱資源開発への取り組みに焦点をあてました。
 JOGMECでは、地熱資源開発事業者、地元住民、温泉事業者や地方自治体等と協力して、今後も地熱資源開発を一層促進するべく、活動を続けて参ります。
詳細につきましては、プログラムをご参照ください。 
日程 2017年11月20日(月)、21日(火)
場所 NZ ロトルア市(フィールドトリップ(同ロトルア市、タウポ市))
共催 GNS Science International Limited、NZTE(NZ貿易経済促進庁)
講演者・登壇者 地熱資源開発事業者、地方自治体、研究機関等
参加者 のべ100名以上
1.Day 1
 ワークショップでは、GNS Science International Limitedのイアン・シンプソン理事長やGeothermal New Zealandのマイク・アレン代表の出席の下、グレッグ・ビグナル地熱担当本部長よりNZにおけるマオリ族等の地元住民との共生に関する基調講演がなされ、地熱資源開発事業者より地熱資源開発時の地元住民への対応や直面した課題、地方自治体より政策や資源管理制度、研究機関よりモニタリング手法や環境アセス、マオリ族関係者より地熱資源開発における取組等が講演されました。
2.Day 2
 フィールドトリップでは、地熱資源開発事業者向けと地方自治体向けの2コースを設けて、ロトルア市、タウポ市の地熱発電所(Mokai Geothermal、Ngatamariki、Te Mihi)、GNS Science International Limited研究センター、Plenty Flora(ガーベラ栽培所)、Huka Prawn Park(エビ養殖場)、Arataki Honey(養蜂施設)や間欠泉を訪問しました。NZの地熱資源開発におけるマオリ族や地元住民との共生を学ぶことができ、地熱資源開発の歴史を知ることのみならず、我が国においても地熱資源開発の理解醸成を図る上で参考となる事例となりました。

マオリ族のシンボル
→全文を読む http://www.jogmec.go.jp/news/release/news_06_000350.html?mid=pr_1712227
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000345.000012624.html

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日本とロシアが共同でアイヌとニヴフの文化を調査

2017-12-27 | アイヌ民族関連
ロシア・ビヨンド 12月 26, 2017歴史
 日本とロシアの学者らが共同で、サハリンのアイヌとニヴフの文化を調査する。サハリン州立郷土博物館と函館工業高等専門学校との間で、日露学術協力発展に関する合意が12月22日に署名された。サハリン郷土博物館の広報部が伝えた。
 両国の学者らは、中世から19世紀までの考古学的・民族誌的な素材について、サハリンで共同研究を行う。ガラス製、金属製、粘土製の物品や、サハリン州の基幹民族の生活のさまざまな側面を写す写真が対象だ。
 「今後こうした研究の成果は、ガラス製品や金属製品の起源やこうした物品の島への伝播経路に関する資料、極東の諸民族の商業的・文化的な交流、民族間の相互作用や相互的影響などを徹底的に調査するさいの手助けとなるだろう。」博物館側はこう考えている。
 アイヌの文化や風習についてもっと知りたい方は、ロシア・ビヨンドの記事https://jp.rbth.com/multimedia/pictures/2014/04/23/48061をどうぞ。
https://jp.rbth.com/history/79488-ainu-kyodo-chosa

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外国人宿泊客が倍増 本年度上半期の白老・虎杖浜温泉 コンビニ出店計画も

2017-12-27 | アイヌ民族関連
北海道新聞12/26 05:00
 【白老】町内の虎杖浜温泉地区で、海外からの宿泊客が増加している。町がまとめた2017年度上半期(4~9月)の同地区の外国人宿泊客は、前年同期の約2倍。客室を増やすために改築するホテルや新規出店を予定するコンビニエンスストアもあり、地域が活気づいている。
 町がまとめた同年度上半期の町内の宿泊客は、前年同期比13・8%増の4万8674人で、うち外国人客は同約2倍の4620人。宿泊客の9割以上は虎杖浜地区に泊まり、同地区で外国人の宿泊客が急増している状況だ。
 この動きを受け、宿泊業「虎杖」は運営する「虎杖浜温泉ホテル」の2階大広間を洋室10室に改築する工事を、2018年1月に始める。ゴールデンウイークの開業を目指す。
 同ホテルは今年4月にリニューアルオープンしたばかりで、客室23室の稼働率は6~10月、90%を超えた。世界最大級の旅行口コミ情報サイト「トリップアドバイザー」を利用してPRしたこともあり、宿泊者の30%以上は外国人客。1泊2食付きで1室2万円前後と手頃な価格も、宿泊客獲得につながった。
 笠師利章社長は「外国人客は今後も延びると予想され、対応できるよう準備を進めたい」と話す。
 町経済振興課は宿泊客の増加について、隣接する登別温泉から流れてきた観光客や、団体バスの運転手ら観光産業従事者の利用が増えたと分析する。同課によると、虎杖浜地区では大手コンビニエンスストアも出店を計画している。アイヌ文化復興の拠点「民族共生象徴空間」の2020年開設に向けて、「今後も新規出店が増えるのでは」と期待する。(田鍋里奈)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/153635


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「ゴールデンカムイ」から、メインキャストが登壇した「ジャンプフェスタ 2018」イベントレポートが到着ッ!!!

2017-12-27 | アイヌ民族関連
ニコニコニュース2017/12/26 09:00アキバ総研
アニメ化が決定した「ゴールデンカムイ」から、12月16日・17日に幕張メッセで開催された「ジャンプフェスタ 2018」のオフィシャルレポートが到着した。
「ゴールデンカムイ」は、野田サトルさんが週刊ヤングジャンプにて連載中の人気コミックで、明治時代末期の北海道を舞台に、アイヌの埋蔵金を狙う元陸軍兵・杉元佐一と、アイヌの少女・アシ(リ)パの冒険が描かれる。また、作中ではアイヌの文化や風習、料理などがリアルに表現されており、歴史エンターテイメントとしても楽しめる作品となっている。監督は「Fate/Grand Order -First Order-」の難波日登志さん、シリーズ構成を「黒子のバスケ」の高木登さん、キャラクターデザインは「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」でキャラクター作画監督を務めた大貫健一さん。制作は、「虐殺器官」のジェのスタジオが単担当する。
今回、12月16日・17日に幕張メッセで開催された「ジャンプフェスタ 2018」のオフィシャルレポートが到着したので紹介する。
【オフィシャルレポート】

12月16日・17日に幕張メッセで開催された「ジャンプフェスタ 2018」。連日大きな賑わいを見せるなか、17日には2018年4月からTVアニメ放送が決定した『ゴールデンカムイ』のステージイベントが実施された。登壇したのは、TVアニメ メインキャストの小林親弘さん(杉元佐一役)と白石晴香さん(アシ(リ)パ役)、原作編集者の大熊八甲さん。会場に集まった大勢の観客を前にした小林さんは、開口一番「緊張しています」とイベントに臨む心境を告白。一方の白石さんは「白石役の……なんて冗談は置いておいて」と自己紹介を切り出し、観客の笑いを誘うひと幕も。本作にとって初のステージイベントは、そんな対象的なキャストの第一声で幕を開けた。
 登壇者の紹介が終わると、いよいよトークショーがスタート。元々原作コミックの愛読者だったという小林さんは、PVを初めて観たときの感想を聞かれて「感動しました!」と興奮気味にコメント。白石さんも「作画が素敵で流れている音楽もすごく格好良かったので、この映像にセリフを入れられると思うとドキドキ感で一杯でした!」と語り、二人の発言からは映像の仕上がりに対する強い手応えを感じられた。さらに大熊さんは作中の動物や広大な自然も手を抜かずに映像化しようとするスタッフの熱意を讃え、「期待してください。見どころはすべてです!」とアピール。関係者からの賞賛の声に、観客の期待も大きく膨らんだことだろう。
 場の雰囲気が温まったところで、トークは原作のお気に入りシーンの話題に。まずは小林さんが「扉絵だとアシ(リ)パとアザラシが協力して戦っていたのに、実際にはアシ(リ)パがアザラシを殴っていたシーン」と答え、会場が大きな笑いに包まれる。続いて白石さんは、杉元の死を想像したアシ(リ)パが泣き顔になって「死ぬな杉元ッ!!」と叫ぶシーンをセレクト。「普段のアシ(リ)パは凜としているけれど、やはり女の子なんだなと思います」と、自身が抱くアシ(リ)パの印象についても語ってくれた。二人のお気に入りのシーンがアニメにも登場するのか、原作ファンならずとも気になるところだ。
 イベントの中盤では、原作者である野田サトル先生からのメッセージも紹介された。スタッフから杉元役の声優について希望を聞かれた際、アニメに疎いせいで「一番人気のある方に頼んでください」と返答したという野田先生。ところが、実際には経歴に関係なく本当に杉元のイメージにピッタリな小林さんが起用されたと知り、スタッフの本気度を感じるとともに、そのときのそっけない自分の返答を恥じたそうだ。一方のアシ(リ)パ役については、オーディションの音源に「ウンコ」というセリフが入ったものが4つもあり、何十人ものウンコを聞かされているうちに投げやりになったことを暴露。しかし最終的に決定したキャストに寄せる野田先 生の信頼は厚く、メッセージの最後は「『ゴールデンカムイ』のアニメが小林様と白石様の経歴に花を添える作品になれたならば幸いでございます」と締めくくられた。
 続いて行われたのは、原作に関する二択クイズ。1問目から順調に正解を重ねていく二人だったが、3問目で雲行きは怪しい方向に……。「白石(由竹)の異名は何か?」という問いに用意された選択肢は、「明治の脱糞王」と「明治の脱獄王」。答えは言わずもがなだが、小林さんから何かを期待するような視線を感じ取った白石さんは、ここであえて「明治の脱糞王」を選択するという行動にッ! クイズには外れたが、二人の息の合ったやりとりに会場からは笑いと拍手が沸き起こった。
 クイズで盛り上がったあとは、原作コミックの公式サイト内にある「確定!本日のごちそう」診断にもチャレンジ。これは選択肢に答えていくと、そのときの気分に合った作中のグルメをお勧めしてくれるというもの。どんなグルメが出るのかウキウキしながら答えていく二人だったが、なんと結果は、罠に掛かった白石(由竹)……。 すかさず白石さんからは、「お前じゃないんだ!」とツッコミが入っていた。
 楽しい時間はあっという間に過ぎていき、最後は小林さんと白石さんから観客に向けてメッセージが贈られた。
「今日はたくさんの方に集まっていただき、本当にありがとうございます。原作ファンの皆さんにも楽しんでいただける作品に絶対しますので、心待ちにしていてください」(白石)
「皆さんに満足していただけるように一生懸命頑張ります。TVアニメが4月に放送されますので、どうか楽しみにお待ちください。今日はどうもありがとうございました」(小林)
 こうして大盛況のうちに幕を閉じた初のステージイベント。TVアニメの放送に向けて今後もさまざまな展開が用意されているので、情報を見逃さないようにッ!!!
【作品情報】
■TVアニメ「ゴールデンカムイ」
<スタッフ>
原作:野田サトル(集英社「週刊ヤングジャンプ」連載)
監督:難波日登志(「Fate/Grand Order -First Order-」)
助監督:川越崇弘
シリーズ構成:高木登(「黒子のバスケ」)
キャラクターデザイン:大貫健一(「機動戦士ガンダム 鉄血のオルフェンズ」キャラクター作画監督)
メインアニメーター:羽山淳一
銃火器設定:渡辺浩二
プロップ設定:浅沼信也
動物設定:墨佳遼
美術監督:森川篤
色彩設計:茂木孝浩
撮影監督:戸澤雄一郎
CGディレクター:奥村優子/濱田康平
編集:定松剛
音響監督:明田川仁
音響制作:マジックカプセル
アイヌ語監修:中川裕
音楽:末廣健一郎
アニメーション制作:ジェノスタジオ
製作: ゴールデンカムイ製作委員会
<キャスト>
杉元佐一:小林親弘
アシ(リ)パ:白石晴香
【キャラクター情報】
■杉元佐一(すぎもと・さいち) CV:小林親弘
元大日本帝国陸軍第一師団の隊員。日露戦争で目覚ましい武功を上げ、そのときの鬼神のような戦いぶりから「不死身の杉元」と呼ばれる。彼を不死たらしめるのは、死地に活路を見出すことができる並外れた度胸と驚異的な回復力。除隊後、戦死した親友との約束を果たすべく、ゴールドラッシュに沸いた北海道へ。そこでアイヌの村から奪われた埋蔵金の存在を知り、精強を誇る陸軍第七師団や凶悪な脱獄囚を向こうに争奪戦を繰り広げる。
■アシ(リ)パ CV:白石晴香
北の大地で杉元が出会った、アイヌの少女。和人の言葉を解し、山での暮らしや狩猟の知識に長けている。「新年」や「未来」を意味する名を与えられた自分を「新しい時代のアイヌの女」と称し、古い因習だけに囚われない現実的な考えを持つ。アイヌの埋蔵金を奪った人物に父親を殺されており、仇を討つべく優秀な戦士と認めた杉元と行動を共にすることに。彼女が危機に陥ると、エゾオオカミのレタ(ラ)がどこからともなく駆けつける。
■白石由竹(しらいし・よしたけ)
「脱獄王」の異名を持つ天才脱獄犯。収監されては脱獄する行為を繰り返してきたことから、いまや脱獄での懲役が元の罪で課せられた懲役を上回るほど。関節を自在に外すことができる特異体質の持ち主で、不意に拘束されたときの対策として釘や針金などの道具を身体のあちこちに忍ばせている。埋蔵金の在り処を示す刺青が刻まれた24人の脱獄囚のひとりだが、杉元たちと手を組んだほうが得策と見て、彼らの埋蔵金探しに協力する。
(C)野田サトル/集英社・ゴールデンカムイ製作委員会
(C)野田サトル/集英社
>> 「ゴールデンカムイ」から、メインキャストが登壇した「ジャンプフェスタ 2018」イベントレポートが到着ッ!!! の元記事はこちら
「ゴールデンカムイ」から、メインキャストが登壇した「ジャンプフェスタ 2018」イベントレポートが到着ッ!!!
http://news.nicovideo.jp/watch/nw3176200


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ピックアップ 「カタツムリの知恵と脱成長 貧しさと豊かさについての変奏曲」ほか

2017-12-27 | アイヌ民族関連
毎日新聞 2017年12月26日 東京夕刊
 ■カタツムリの知恵と脱成長 貧しさと豊かさについての変奏曲(中野佳裕著・コモンズ・1512円)
 世界一大きなうち=殻を得た「ちびカタツムリ」が崩壊してしまう物語を入り口に、消費社会のグローバル化に伴う現代世界の危機に迫った。「貧しさ」の意味を問い直したイランの思想家ラーネマらの研究を読み解く。社会哲学者である著者の経験も踏まえた、脱成長論への親しみやすい道案内だ。
 ■東京おいしい老舗散歩(安原眞琴著、鈴木透画・東海教育研究所・1944円)
 江戸文化の研究家が月ごとに1店ずつ、12店を紹介。そばや甘味、串揚げやドジョウ鍋、桜鍋に豆腐料理。東京最古、240年続く駄菓子屋もある。いずれも食欲を誘う。ただ単なるグルメ本と違い、地域の歴史や名物などのうんちくが豊富。四季の移ろいも楽しむことができ、読むと歩いてみたくなる。
 ■縄文の思想(瀬川拓郎著・講談社現代新書・907円)
 考古学者でアイヌの歴史に詳しい著者が、「海と山を往還する神」などアイヌと古代海民の間で共通する神話・伝説の存在に注目。日本列島の周縁に生きた人々が、縄文の習俗や世界観・他界観をとどめてきたことを明らかにし、縄文の思想を立体的に探った。
https://mainichi.jp/articles/20171226/dde/012/070/013000c

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ネイティブアメリカンにキリスト教を広めるためにスペイン人は「太陽」を利用した

2017-12-27 | 先住民族関連
GIGAZINE2017年12月26日 08時00分00秒

By Leo Reynolds
15世紀半ばから17世紀半ばまで続いた大航海時代の終わりごろ、当時のスペイン帝国は北米大陸およびカリブ海、太平洋などにまたがるヌエバ・エスパーニャと呼ばれる領土を有しており、先住民族に対するキリスト教の布教を進めてきました。その中でスペインは、天文学を教会の建築に取り入れることで、太陽信仰を行っていた先住民族に対してキリスト教をうまく浸透させるという手法を採っていました。
A sacred light in the darkness: Winter solstice illuminations at Spanish missions
https://theconversation.com/a-sacred-light-in-the-darkness-winter-solstice-illuminations-at-spanish-missions-70250
カリフォルニア州立大学モントレーベイ校の考古学者であるルーベン・G・メンドーサ博士は、カリフォルニアおよびメキシコ、そして中央アメリカに至る地域に点在するキリスト教の伝道所を現地調査し、建物建築に隠されていた秘密を明らかにしました。そこには、当時すでに太陽の動きを正確に把握していた天文学の知識と宗教を融合することで、人々の信仰心をかき立てるためのテクニックが盛り込まれています。
1769年から1823年にかけて、現在のカリフォルニアには21の伝道所が建設されました。これは、現在のメキシコシティに拠点を置いていたイエズス会宣教師団によって進められたもので、現地に住んでいたネイティブアメリカンをカトリック教徒に改宗させ、ひいてはスペイン帝国による支配を進めるために行われたプロジェクトの一部です。それぞれの伝道所は基本的に自給自足の運営が求められ、居住区画や保管庫、キッチンスペース、作業場、そしてもちろん教会施設などの複数の建物などで構成されていました。

伝道所の建設にはすでに改宗したネイティブアメリカンの労力が投入され、スペイン人宣教師の指導の下で作業が行われたとのこと。建設後は宣教師によるコミュニティ指導が行われ、場合によってはスペイン語ではなく現地の言葉が用いられることもあったそうです。
そのようにして建設された伝道所の多くは、夏至や冬至、春分の日や秋分の日、または特定の宗教に関する日になると、太陽光が建物に開けられた小窓から差し込み、教会で最も神聖な場所である聖職台などを照らすようになっています。
カリフォルニア州にある、サン・ホアン・バティスタ伝道所に差し込む太陽光の様子。2007年の冬至の日に撮影されたもので、教会の中央にある通路を太陽光が貫き、聖職台を明るく照らす様子からは神々しいものが感じられます。
メンドーサ氏は、カリフォルニア州にある多くの伝道所で同様の現象が起きることを知りました。その多さから決して偶然ではないことを確信したメンドーサ氏は、それぞれの伝道所に関する詳細な調査を実施。建物の配置や礼拝堂が向いている方位、そしてその土地ごとの夏至や冬至などの日に太陽が通る軌道を計算することで、合計で21ある伝道所のうち14カ所で夏至・冬至、または春分・秋分の日に教会内部に日光の筋が差し込むように設計されていることを突き止めました。
サン・ホアン・バティスタ伝道所の構造を示す図によると、向かって右側に位置している礼拝堂は、建物全体に対して90度ではなく、やや角度をもって作られていることがわかります。この絶妙な角度により、サン・ホアン・バティスタ伝道所では冬至の日に太陽が聖職台を照らすようになっているというわけです。メキシコ人宣教者は、教会にこのような仕組みを取り入れることで、太陽を崇拝していたネイティブアメリカンの信仰心とイエス・キリストとを結びつけ、次々とカトリック教徒へ改宗することにつなげていきました。
https://gigazine.net/news/20171226-winter-solstice-illuminations-spanish-missions/

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デニス・バンクスさん(米先住民運動の指導者)10月29日死去 80歳 核廃絶、平和願い世界を奔走

2017-12-26 | 先住民族関連
北海道新聞12/25 17:00
 1973年、米国中北部のサウスダコタ州ウーンデッド・ニーで、米政府の先住民族政策の不法性を訴えたインディアンによる武装占拠が起きた。
 先住民族の自決を目指す組織アメリカインディアン運動(AIM)のリーダーとして71日間の闘いを主導した。1890年に大規模な先住民族虐殺があったウーンデッド・ニーは、抵抗の歴史を象徴する地となった。
 1937年、ミネソタ州に生まれ寄宿学校で同化教育を受ける。10代で空軍に入隊し、横田など在日米軍基地で勤務したのが日本との深い縁の始まりだ。
 除隊後、貧困から盗みに手を出し、獄中で民族や政治への意識に目覚める。78年、反核や平和、環境保護などを訴え世界を駆け巡る「セイクレッド(聖なる)・ラン」を始めた。
 放射性廃棄物貯蔵施設の計画が撤回される前の宗谷管内幌延町など、道内にはたびたび足を運び、アイヌ民族と連帯した。
 93年、国際先住民年を記念し日高管内平取町二風谷で開かれた「二風谷フォーラム」に参加した際に取材する機会を得た。
 「大地と人間は一つのもの」という先住民族の思想を説き、「アイヌ民族を同化しようとした日本は戦後、そのまま米国に同化された」と話した言葉は、痛切に耳に響いた。
 その後も、広島・長崎、米軍普天間飛行場の移設問題に揺れる沖縄、原発事故のあった福島などで、核のない平和な世界を願う人々との交流を続けた。
 米先住民族には、7世代先の子孫のために生きる伝統があると語っていた。母なる海や大地を傷つけ、汚す軍事基地や核に対する警鐘でもあったと思う。(論説委員 蛭川隆介)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/153440

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