先住民族関連ニュース

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白老アイヌ協が5月に法人化 事業の収益化目指す

2019-04-27 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/27 05:00
 【白老】白老アイヌ協会(新井田幹夫会長)は26日、胆振管内白老町内で定期総会を開き、5月に一般社団法人化すると報告した。町内で整備が進むアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の来年4月開業に向け、現在の任意団体を法人化することで、アイヌ文化を生かした収益事業の実施を目指す。
 道アイヌ協会によると、道内の協会で一般社団法人となるのは白老が初めて。法人化で幅広い収益事業が可能になる。同協会は、アイヌ料理の販売やアイヌ文様刺しゅうなどの伝統工芸講座などを検討している。新井田会長はあいさつで「ウポポイ開業が迫り、法人化を機にさらなる活動にまい進したい」と話した。
 事務手続きを進め、5月末までに法人登記する。新法人では、代表理事に同協会副会長の山丸和幸さん(70)、事務局長に元苫小牧駒沢大教授(アイヌ文化)の岡田路明さん(68)が就く。(金子文太郎)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/300564

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アイヌ文化支えた民具 旭川市博物館 27日から企画展

2019-04-27 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/27 05:00
 アイヌ民族の衣食住をテーマにした企画展「アイヌ文化~暮らしの道具」が27日から、旭川市博物館(神楽3の7)で開かれる。アイヌの人々の生活を支えた伝統的な食材や衣装など、普段は収蔵庫に収められている計67点を紹介する。
 同館の主催。でんぷんを取り出して貴重な保存食にしたオオウバユリ(トゥレプ)の鱗茎(りんけい)や、鍋料理の具材にしていたギョウジャニンニク(キト)のレプリカのほか、オヒョウの樹皮で作った着物や、サケ漁に使う木製の弓などの狩猟道具も展示している。
 飯岡郁穂学芸員(31)は「アイヌ民族の少女らが活躍する漫画『ゴールデンカムイ』を好きな人にも、道具を見て関心を持ってほしい」と話している。
 会場では、胆振管内白老町に来年4月に開館する「国立アイヌ民族博物館」のPR展(文化庁国立アイヌ民族博物館設立準備室主催)も同時開催。5月19日午後1時半からは、同準備室の中井貴規研究員が、アイヌ民族の衣食住について講演する。定員30名。事前の電話申し込みが必要。
 企画展は5月19日まで(同13日は休館)。午前9時~午後5時。問い合わせは旭川市博物館(電)0166・69・2004へ。(佐藤愛未)
◆トゥレプのプは小さい字
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/300525

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湯治経験者がシェアハウス 豊富温泉に「ウカスイモシリ」

2019-04-27 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/27 05:00
 【豊富】主にアトピー性皮膚疾患などに悩む湯治客向けのシェアハウス型宿泊施設「湯治の宿~ウカスイモシリ」が豊富温泉地区にオープンした。同温泉での湯治経験者が「恩返しのために」と建設、湯治客向けに低価格で長期滞在しやすい施設を目指す。
 営業は13日に始めた。木造2階建て22室で、暖房は温泉の天然ガスを使用。食事の提供は行わず、自炊用の台所や食堂、シャワー室を備える。
 湯治客は3泊以上で1泊3910円、8~14連泊(同3680円)、15~30連泊(同3450円)と長く滞在するほど割安になる。ビジネス・観光プランは1泊4600円から(いずれも税別)。多目的スペース「モシリホール」にはバーカウンターを設けたほか、地域のイベント用にも有料で貸し出し、湯治者同士や地域住民との交流の場を目指す。
 「ウカスイモシリ」マネジャーの菊原一平さん(37)は札幌で建設関係の商社に勤めていたが、アトピー性皮膚疾患が悪化し、4年前に休職。豊富温泉で2年間療養し、回復した。「この豊富町で同じ悩みを持つ人のために自分しかできないことは何かと自問自答し、答えが『ウカスイモシリ』でした」
 町内にシェアハウスや旅館、ホテルはあるが、ピーク時は客室が不足し、長期滞在が難しいという。さらに宿泊費の負担も重い。そこで、低価格のシェアハウス建設を思い立った。町から商工業活性化事業の助成金400万円を活用し、昨年10月に着工、今月、完成した。
 「ウカスイモシリ」はアイヌ語で「助け合う」の意味の「ウカスイ」と「島、大地、国」を表す「モシリ」を組み合わせた。
 宿泊はホームページ(HP)で予約する。玄関と部屋の電子錠は事前に暗証番号が通知され、チェックインやチェックアウトは自動的に行われる。常駐スタッフを配置しないことで経費を削減、低価格を実現した。菊原さんは「私はこの温泉に救われた。湯治者に限らず観光やビジネス向けの人にも温泉の紹介をして、利用客を増やしたい」と話している。
 申し込みはホームページ(https://ukasuymosir.com/)で。(福田講平)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/300493

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三陸防災復興プロジェクト2019の開催と 八神純子さん出演!オープニングセレモニー等の観覧者募集について

2019-04-27 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/26 16:00
平成31年4月26日(金)
三陸防災復興プロジェクト
東日本大震災津波の教訓を日本各地へ、世界へ
三陸防災復興プロジェクト2019の開催と
八神純子さん出演!オープニングセレモニー等の観覧者募集について
2019年6月1日(土)から8月7日(水)の68日間に、岩手県三陸沿岸地域の市町村を舞台とし、復興の今と三陸の魅力を発信する防災復興行事「三陸防災復興プロジェクト2019」を開催します。
その開幕日である6月1日は、復興に向けて度重なる御支援を継続してくださっている八神純子さんにも御出演いただくオープニングイベントなどを下記のとおり実施します。

1 オープニングセレモニー・第1回シンポジウムの概要
犠牲者への鎮魂とともに、今まさに復興に力強く取り組んでいる地域の姿と、復興への支援に対する感謝の思いを発信し、国内外の多様なつながりを深めるためのセレモニーと、東日本大震災津波の教訓を伝え、日本国内はもとより世界も防災力向上につなげるシンポジウムを開催します。
(1) 開催日:2019年6月1日(土) 13:30~17:30
(2) 会 場:釜石市民ホールTETTO ホールA ※入場無料
(岩手県釜石市大町1-1-9 電話0193-22-2266)
(3) 主 催:三陸防災復興プロジェクト2019実行委員会
(4) 共 催:オープニングセレモニー 釜石市
第1回シンポジウム   釜石市、大槌町、岩手大学地域防災研究センター
(5) 協 力:岩手わかすフェス実行委員会
(6) 行事概要
① オープニングセレモニー
・米国大使館代表者による「海外からの支援活動(仮)」に関するスピーチ
・国連国際防災戦略事務局による「東日本大震災が国際的な防災議論に与えた影響(仮)」に関するスピーチ
・若者による復興に関する取組の報告
・八神純子さんのトーク&ライブ
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201904265891-O1-vKq9dCCj 】
【八神純子さんからのメッセージ】
震災以前は、コンサートに行って帰るだけだった東北でしたが、歌を届けるために被災地を訪れるうちに、第2の故郷のような親しみを感じる東北になりました。
6月1日の釜石では、私のバンドとのライブになります。当日は私がそうであるように、たくさんの人が東北を大好きになり、足を運ぶよう、心から願いながら歌います。
② 第1回シンポジウム
「これからの防災~東日本大震災津波の教訓から学ぶ新しい防災のカタチ~」
基調報告:災害に強いこれからのまちづくり(仮)
パネルディスカッション
「未来につなぐ災害に強い地域づくり~過去の被災・復興の教訓を踏まえたこれからの地域づくり~」をテーマとし、世界の災害の現場での取り組みに学びながら、これからの災害に強い地域づくりを考える国内外の有識者によるディスカッション
登壇予定者
首都大学東京 名誉教授 中林 一樹 氏
台湾長栄大学 副教授 邵 珮君 先生
インドネシア・アチェ津波博物館 館長 ハフニダール 氏
日本政策投資銀行 主幹 蛭間 芳樹 氏
岩手大学理工学部(地域防災研究センター) 教授 南 正明 氏
(6) 観覧申込方法
入場無料 定員600名(全席自由)
□申込み方法
「メール」、「ファックス」又は「往復ハガキ」でのお申し込みになります。
 ①住所、②氏名、③連絡先電話番号、④ファックス番号(ファックスでのお申し込みの場合)を記載の上、事務局まで申込みください。
□申込締切
 5月20日(月)必着
 ※応募多数の場合は、抽選とし、当選者には御連絡します。
□申込み先
 三陸防災復興プロジェクト2019実行委員会事務局オープニングセレモニー係(テレビ岩手内)
 e-mail:sanpuro2019@tvi.co.jp
 ファックス:019-624-0174
 〒020-8650 岩手県盛岡市内丸2番10号
□申込みに関するお問い合わせ
 電 話:019-624-9034
2 シンポジウム分科会
(1) 災害看護・災害時の公衆衛生
 「中長期の復興を見据えて~いまもなお復興途上にある被災地から~」
① 開催日:2019年6月2日(日) 13:30~16:00
② 会 場:釜石市民ホールTETTO ホールB ※入場無料
(岩手県釜石市大町1-1-9 電話0193-22-2266)
③ 概 要
基調講演:中長期的な人々の生活と健康を視野に入れた災害時の看護活動・保健活動について
オフィスいわむろ 代表 岩室 紳也 氏
(陸前高田市ノーマライゼーション大使)
パネルディスカッション:有事も平時も できる人ができることを~被災地の経験から 日々の生活につながること~
オフィスいわむろ 代表 岩室 紳也 氏
岩手医科大学衛生学公衆衛生学講座 助教 佐々木 亮平 氏
株式会社くまもと健康支援研究所 代表取締役 松尾 洋 氏
釜石市食生活改善推進員協議会 会長 佐々木 ひろ子 氏
岩手県立中央病院 特任看護師 小野寺 直子 氏
④ 観覧申込方法
入場無料 定員150名(全席自由)
□申込み方法
「メール」又は「ファックス」でのお申し込みになります。
 ①住所、②氏名、③連絡先電話番号、④ファックス番号(ファックスでのお申し込みの場合)を記載の上、事務局まで申込みください。
□申込締切
 5月20日(月)必着
 ※定員になり次第締切とさせていただきます。
□申込み先
 三陸防災復興プロジェクト2019実行委員会事務局シンポジウム係(テレビ岩手内)
 e-mail:sanpuro2019@tvi.co.jp
 ファックス:019-624-0174
 〒020-8650 岩手県盛岡市内丸2番10号
□申込みに関するお問い合わせ
 電 話:019-624-9034
(2) いわての復興教育
 「『いわての復興教育』の充実に向けて」
① 開催日:2019年6月2日(日) 13:30~16:30
② 会 場:鵜住居地区生活応援センター(鵜住居公民館)多目的室 ※入場無料
(岩手県釜石市鵜住居町第16地割66番地17 電話0193-28-2470)
③ 概 要
パネルディスカッション:故郷(ふるさと)の宝、子どもたちの未来のために
~「いわての復興教育」の現状とこれから~
文部科学省 安全教育調査官 森本 晋也 氏
釜石市立釜石小学校  教諭 沖   拓 氏
釜石市立釜石東中学校 教諭 宇夫方 朋子 氏
三陸ひとつなぎ自然学校 代表理事 伊藤 聡 氏 他
※震災当時生徒も登壇予定
いのちをつなぐ未来館見学
④ 観覧申込方法
入場無料 定員100名(全席自由)
観覧申込方法は、分科会「災害看護・災害時の公衆衛生」に同じ(上記2(1)④に同じ)
3 【同時開催】三陸防災復興展示会
会場周辺にて、地震体験室を備えた県の防災指導車を活用した防災訓練、防災・復興に関係する機関の災害支援車両の展示、民間企業の防災グッズ展示などを実施します。
※入場無料、観覧自由
□開催日
2019年6月1日(土)~6月2日(日)
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201904265891-O3-NSPaZS25 】
4 【今後の予定】第2回~第4回シンポジウム
なりわいの再生、地域防災力の強化、交通を核とした交流の拡大につながるシンポジウムを、会期内に開催します。参加申し込みは、近日中に御案内の予定です。
(1) 第2回シンポジウム
① 開催日:2019年6月28日(金) 13:30~16:00
② 会 場:久慈市文化会館
③ 概 要
「なりわいの再生と新たな三陸の創造~三陸の豊かさを生かした持続可能な産業を考える~」
基調講演:産業分野におけるリスクマネジメント(仮)
一橋大学 名誉教授 関 満博 氏
事例報告:株式会社ひろの屋 代表取締役 下苧坪 之典 氏
久慈地域エネルギー株式会社 取締役 若林 治男 氏
④ エクスカーション:2019年6月29日(土) 9:00~14:30(予定)
(2) 第3回シンポジウム
① 開催日:2019年7月19日(金) 13:30~16:00
② 会 場:大船渡市民体育館
③ 概 要
「地域コミュニティを基盤とした防災力の向上~つながりの力で災害から地域を守る~」
基調講演:地域における防災力の強化(仮)
国士館大学防災・救急救助総合研究所 教授 山﨑 登 氏
事例報告:災害伝承語り部 吉田 忠雄 氏
岩泉町 危機管理監 佐々木 重光 氏
④ エクスカーション:2019年6月29日(土) 10:00~14:30(予定)
(3) 第4回シンポジウム
① 開催日:2019年7月26日(金) 13:30~16:00
② 会 場:宮古市市民交流センター
③ 概 要
「鉄道とフェリーでつなぐ福幸~新たな三陸交通網を活用した地域間交流と地域活性化のヒント~」
基調講演:新しい交通ネットワークを核とした地域活性化について(仮)
NPOおいしいローカル線をつくる会 理事長 鳥塚 亮 氏
事例報告:宮古観光創生研究会 代表 花坂 雄大 氏
公益財団法人アイヌ民族文化財団 専務理事兼事務局長 今井 太志 氏
④ エクスカーション:2019年7月27日(土) 9:00~12:30(予定)
(4) 【各回同時開催】三陸防災復興展示会
5 三陸防災復興プロジェクト2019参加者募集中事業一覧(2019年4月26日現在)
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201904265891-O4-61Pn8lC9 】
6 5月8日(水)募集開始予定事業(2019年4月26日現在)
【画像: https://kyodonewsprwire.jp/img/201904265891-O5-5UL67257 】
詳細については、公式ホームページ(https://sanriku2019.jp/)を御覧ください。
プレスリリース詳細へ https://kyodonewsprwire.jp/release/201904265891
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/300396

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アイヌ支援新法/共生社会実現への一歩に

2019-04-26 | アイヌ民族関連
神戸新聞 2019/04/26
 アイヌの人たちが誇りを持って生活できる社会の実現を目指す「アイヌ民族支援法」が、このほど国会で成立した。
 アイヌを初めて「先住民族」と明記した法律だ。これまでもアイヌの文化振興を目的とした法律があったが、和人とは異なる歴史を持つ民族としての位置づけが曖昧なままだった。
 新法は文化の保護に加えて観光、産業の振興などでも国民の理解を促進する対策を、政府と自治体に求めている。現在、アイヌの人たちは全国に居住しており、北海道以外の地域でも、多民族・多文化共生を目指す取り組みを進めたい。
 もともとアイヌ民族は北海道など北方の地で独自の言語や文化を育んできた。しかし明治以降、政府による同化政策で伝統的な生活が抑圧された。
 流れが大きく変わったのは1990年代のことだ。
 復権を訴える萱野茂氏が初めて参院議員となり、アイヌ語で政府の考えをただした。差別的な北海道旧土人保護法が廃止され、「アイヌ文化振興法」が制定されたのもこの時期だ。
 国連での「先住民族の権利に関する宣言」を受け、国会も重い腰を上げる。2008年、衆参両院が政府にアイヌを「先住民族」と認めた上で対策を講じるよう促す決議を行った。
 それを受けて政府は検討を重ね、「先住民」の立場を明確にした。だが、時間がかかりすぎた印象はぬぐえない。
 新法に基づき、文化や産業、観光の振興に向けた交付金制度が創設される。北海道白老町では東京五輪・パラリンピック開催年のオープンに向けて、博物館や公園などを含む「民族共生象徴空間」の整備が進む。
 ただ、北海道が行った実態調査では、アイヌの人たちの生活は依然、厳しい状況にある。大学進学率は居住地域の平均より10ポイント以上低く、生活保護受給者の割合は1・1倍だった。文化振興などとともに生活支援にも力を入れなければならない。
 国連の宣言で「民族の権利」とされた自決権や教育権は、今回の新法には盛り込まれなかったが、国会は付帯決議で宣言を尊重するよう求めた。政府は国際社会の理念を踏まえ、幅広い施策を講じるべきだ。
https://www.kobe-np.co.jp/column/shasetsu/201904/0012276151.shtml

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【社説】アイヌ新法成立 尊厳を取り戻す出発点に

2019-04-26 | アイヌ民族関連
徳島新聞 4/25 5:00
 アイヌの誇りを尊重し、共生社会の実現を目指す新法「アイヌ民族支援法」が成立した。
 法律として初めてアイヌを「先住民族」と明記したのが特徴だ。画期的なことであり、その意義は大きい。
 厳しい同化政策によって文化や言語を奪われ、差別されてきたアイヌ民族の尊厳を取り戻す出発点にしなければならない。
 新法は、政府がアイヌ政策推進本部を設置し、基本方針を作ると規定した。これに基づいて市町村がアイヌの文化、産業、観光振興のための地域計画を作成すれば、国が関係事業に交付金を支出し、後押しする。
 アイヌが民族儀式に使う林産物を国有林から採取するのを特例で認め、河川で伝統的なサケ漁をする場合には、知事による許可手続きを簡素化することも盛り込んだ。
 「北海道旧土人保護法」に代わり1997年に施行された「アイヌ文化振興法」が、文化の普及啓発に偏っていたのに比べると、前進したと言えるだろう。政府と市町村は事業の実効性が上がるよう、アイヌのニーズをしっかりと把握しながら、計画を練ってもらいたい。
 先住民族の権利回復や、独自の文化に理解を深める取り組みは近年、世界各地で活発になっている。
 2007年には、自決権や文化的伝統を実践する権利、土地に対する権利などを広く認めた「先住民の権利に関する宣言」が、日本も賛成して国連総会で採択された。
 衆参両院が、アイヌを先住民族と認めるよう政府に求める決議を全会一致で採択したのは、その翌年のことだ。
 そうした流れで生まれた新法だが、国連宣言で先住民族の権利とされた自決権や教育権などは明記されなかった。これに対して、アイヌ関係者からは批判も出ている。
 北海道が17年に行った「アイヌ生活実態調査」では、大学進学率は33・3%で、居住地域の平均より10ポイント以上低く、生活保護受給者の割合は多かった。「差別を受けたことがある」と回答したのは4人に1人に上る。依然として、格差が残っているのが実情だ。
 新法は付帯決議で、国連宣言を尊重するよう求めている。政府は、格差と偏見を取り除く具体策を早急に打ち出すべきだ。
 なぜ支援が必要なのか、国民に説明を尽くすことも政府の責務である。アイヌは優遇されているといった、誤った認識が一部にあるためだ。
 アイヌは明治以降、北海道の開拓に伴って土地を奪われ、狩猟や川での漁を禁じられた。民族性を否定する同化政策により、伝統的な社会や言語、固有の価値なども破壊されてきた。
 その過酷な歴史を振り返れば、新法の制定は遅すぎたと言わざるを得ない。今後、不十分な点を見直し、真の共生社会を築く礎としたい。
https://www.topics.or.jp/articles/-/193749

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アイヌ財団、ウポポイの運営申請へ 国は指定の見通し

2019-04-26 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/26 05:00
 アイヌ民族文化財団は25日、アイヌ新法の成立を受けた臨時理事会を札幌市内で開き、新法に基づき「民族共生象徴空間(ウポポイ)」などの運営を担う指定法人として国に申請することを決めた。今後、国の手続きを経て指定される見通し。また北海道旧土人保護法下で道に管理されたアイヌ民族の共有財産などの現金約36万円を同財団で受け入れる案も了承された。
 新法は、アイヌ文化の振興を目的とする1法人を指定し、2020年に胆振管内白老町に開設されるウポポイの管理や伝承者の育成などをこの法人が担うとした。財団はすでに開設準備に着手しており、今後は関係各省の審査などを経て指定される見通しだ。
 財団が受け入れを決めたのは、権利者が不明とされる共有財産など計17件36万2422円。新たに財団が設置するアイヌ文化振興基金に積み立てるとした。
 共有財産を巡っては、旧土人法が廃止された1997年に知事が権利者らへの返還を決めたものの、道の管理経過に不明な点が多いとして、一部のアイヌ民族が返還の無効を求め提訴。その後、原告の請求を退ける判決が確定した。
 権利者が不明な共有財産は、アイヌ文化振興法で財団に帰属するとされているが、財団はこれまで訴訟などを理由に受け入れを拒否していた。理事会での承認に際し、「道の管理の経過については引き続き明らかにすることを求める努力を」との声も出た。(斉藤千絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/300156

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『ゴールデンカムイ』大英博物館の漫画展キービジュアルに起用 多様なテーマが評価

2019-04-26 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/25 19:33

キービジュアルに起用された『ゴールデンカムイ』 (C)Satoru Noda / SHUEISHA
 イギリス・ロンドンの大英博物館で5月23日より開催される漫画展『The Citi exhibition Manga』展覧会の詳細情報が25日、発表された。あわせてキービジュアルが公開され、『ゴールデンカムイ』の人気キャラクター・アシリパが描かれている。
【画像】『ONE PIECE』 『ジョジョ』など大英博物館の展示作品に
 同展覧会は日本の漫画作家、出版社、アニメ&ゲーム関連会社など約30社が垣根を越えて全面協力し、国外で開催される漫画展覧会としては史上最大規模のもの。来場者へ漫画について理解と関心を深め、楽しみ、好みの作品を見つけるよう誘導し、漫画の歴史や発展と社会との関係性などを探求していく。
 貴重な直筆原画のほか、日本の視覚文化の先達として、今なお多大な影響を与えた葛飾北斎や河鍋暁斎の歴史的絵画から、漫画をテーマにした現代美術まで多岐に亘る作品の数々を網羅。特別な描き下ろしもあり、会場は“アジア関連”“存命作家”のテーマに使用されるのは初で、1100平方メートルの会場に作家約50人、『ONE PIECE』『りぼんの騎士』『美少女戦士セーラームーン』『キャプテン翼』『SLAM DUNK』『名探偵コナン』『ジョジョの奇妙な冒険』など約70タイトル分、総計約240点の原画(一部複製含む)が6つのテーマゾーンに分けて展示される。
 キービジュアルの『ゴールデンカムイ』は、明治後期の北海道を舞台に、日露戦争帰還兵や脱獄囚が埋蔵金を探して死闘を繰り広げるサバイバルストーリー。アクション、歴史、ラブ、ギャグ、グルメとテーマが多様であることや、アイヌの少女・アシリパがキーパーソンで、アイヌ文化や生活が丁寧に描かれダイバーシティを体現する作品であることなどから、同展の象徴に選ばれた。
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/300063

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海の観光、外国人呼ぶには 国交省が事例集 小樽や阿寒湖も紹介

2019-04-26 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/26 05:00
 国土交通省は、クルーズ船やマリンレジャーなど海の観光で訪日外国人の誘客に成功した事例集をまとめた。利便性を向上させたケースを含め全国の38事例を紹介したもので、道内関連では小樽運河クルーズなど4事例を取り上げた。
 政府は2020年に外国人客を4千万人に増やす目標で、同省は海の観光の受け入れ態勢拡充が地方誘客や消費拡大につながるとみている。「海事分野におけるインバウンド対応ベストプラクティス集」と題した事例集を通じ、他の事業者や地域に参考にしてもらう。
 小樽運河クルーズは、運営する小樽カナルボート(小樽市)が外国人スタッフを雇って外国人のニーズに合わせた商品開発やキャッシュレス決済への対応を進め、13年度に約千人だった外国人客を17年度に約3万人に伸ばした。また、阿寒湖内を運航する阿寒観光汽船(釧路市)の遊覧船「ましゅう丸」について船体にアイヌ文様を施し、船内でアイヌ民族の語り部が活躍していることを紹介した。
 津軽海峡フェリー(函館市)の忍者ショー、ハートランドフェリー(札幌市)の会員制交流サイト(SNS)を使った問い合わせ対応なども掲載している。
 同省海事局は「創意ある取り組みの広がりを期待したい」とする。事例集は同省のホームページからダウンロードできる。(権藤泉)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/300154

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京都大学が盗掘した琉球人骨を返さぬワケ

2019-04-26 | ウチナー・沖縄
プレジデントオンライン2019.4.25
政府や旧帝大関係者も絶対認めない
明治以降、政府の意向を汲んだ人類学者たちは、琉球やアイヌといった先住民族の墓から遺骨を盗んだ。その遺骨はいまも京都大学などに保管されている。遺族らは返還を求めているが、各大学は最近まで存在すら認めていなかった。なぜなのか――。

琉球人の人骨が盗まれた沖縄本島北部・今帰仁村の風葬墓「百按司墓」。(写真提供=筆者)
京都大が「琉球人の人骨」を返還しない理由
今年3月、台湾台北市の国立台湾大学(旧台北帝国大学)がおよそ90年前に沖縄から持ち出されていた遺骨63体を沖縄県に返還した。
なぜ、国立台湾大学が琉球の人たちの遺骨を多数所有していたのか。その背景には、明治以降の日本において旧帝国大学の研究者らが担った役割を考える必要がある。
台湾大学は遺骨を返還したが、京都大学(旧京都帝国大学)は遺骨を返還していない。琉球民族遺骨返還研究会の松島泰勝代表(龍谷大学教授)ら5人は昨年末、遺骨を保管している京都大学に対して遺骨返還と損害賠償を求める訴えを京都地裁に起こした。
返還を求める遺骨は、京都帝国大学の助教授だった人類学者の金関丈夫(1897~1983年)が、1928~1929年に沖縄本島北部・今帰仁(なきじん)村の風葬墓「百按司(むむじゃな)墓」から研究目的で持ち出した26体である。
原告らは京都大学に情報開示と遺骨返還を求めたが、拒否されたため提訴に踏み切り、遺骨が本来あるべき場所にないため、憲法が保障する信仰の自由や民族的、宗教的「自己決定権」が侵害されたと主張している。
求めた損害賠償は原告一人あたり10万円。金関が墓を管理する親族らの許可を得ずに盗掘し、京都大学が人骨標本の研究材料として権限なく占有している、と訴えている。
文科省は旧帝国大が保管の琉球人遺骨の調査・返還をしてない
この問題を取材してきた琉球新報編集委員の宮城隆尋はこう解説する。
「琉球人の遺骨については、すでに遺骨返還を勝ち取ったアイヌ民族と連帯して活動する市民団代などが数年前から問題視してきました。先住民族の遺骨返還を求める権利は、2007年の国連総会で決議した『先住民族の権利に関する国連宣言』で認められており、欧米各国は近年、先住民への遺骨返還に取り組んでいます」
衆参両院はこの「先住民族の権利に関する国連宣言」を踏まえ、08年にアイヌが「先住民族とすることを求める決議」を全会一致で採択。文部科学省は「北海道大学や東京大学など全国の12大学に1600体以上のアイヌ民族遺骨が保管されている」と発表した。
他方、琉球人が先住民族であることは国連自由権規約委員会が08年に認めており、国連人種差別撤廃委員会も日本政府に対して権利保障を勧告した。ところが、日本政府は琉球人を先住民族と認めておらず、文科省も旧帝国大学に保管されているとみられる琉球人遺骨について調査や返還を行っていない。
「遺骨を収集し、人骨標本とし京都帝国大学に寄贈した」
宮城は琉球新報(2017年2月16日付)の一面トップと社会面、特集で百按司墓から持ち出した琉球人遺骨が京都大学に少なくとも26体、国立台湾大学にも33体の琉球人遺骨が保管されていると報じた。
宮城が続ける。
「いずれの大学も琉球新報の取材に答えていませんが、金関氏の著書に『遺骨を収集し、人骨標本とし京都帝国大学に寄贈した』との記載があります。また、今帰仁村教育委員会の04年の調査報告書にも、『百按司墓から研究目的として持ち出された遺骨が京都大学と台湾大学に寄贈されている』との記載がありました。台湾大学の遺骨は、金関氏が当時日本領だった台北帝国大学医学部教授に就任したことで、同墓や沖縄県内で採取したとみられる遺骨が持ち込まれたのでしょう」
なぜ、アイヌや琉球の人骨は盗掘されたのか
では、なぜ、アイヌや琉球の人骨は盗掘されたのか。宮城は言う。
「アイヌ民族や琉球人の遺骨が全国の大学に長期間にわたり保管されている背景には、人骨を標本として収集することが盛んだった時代の人類学研究をめぐる状況がある。19世紀に欧州で比較解剖学や形質人類学が生まれ、研究者が世界中の人骨の主に頭蓋骨を計測し、比較して人種の違い、進化の道筋を論じる動きが広まりました。受刑者や先住民の骨も研究の対象とされたのです」
アイヌ民族は容姿が欧米人に似ているとされ、研究の的になったことから、許可を得た発掘を含めて明治の初めから100年近くにわたって墓地が掘り返された。
だが現在、こうした当時の研究に学術的意義は見出されていない。宮城がその背景を語る。
「遺骨の収集には多くの研究者が関わり、アイヌと琉球だけでなく全国各地の日本人や朝鮮人、中国人、台湾先住民、東南アジアの先住民なども研究の対象とされました。その成果は、学術誌の論文や一般誌の記事として幅広く発表されました。多くの論文は、日本人以外の体格的な特徴や文化的風習を挙げて、日本人の優秀さを裏づける根拠とした。こうした研究が戦前の植民地主義的な国策を支える役割を果たしたことを、複数の研究者が批判しています」
論文は、アジアの人々と日本人のルーツは同じで、日本人が優秀だから日本が統治する、といった趣旨で、日本の対アジア侵略戦争や「大東亜共栄圏」を正当化する当時の政権側に極めて都合のいい内容だった。
京大が琉球人骨を保管していることを初めて認めた
日本政府は2020年の完成を目指す北海道・白老(しらおい)町の民族共生象徴空間に、全国の大学に残るアイヌ民族の遺骨を集めて慰霊する施設の建設を計画している。他方、アイヌはコタンと呼ばれる集落をつくり、先祖の霊を遺族だけでなくコタンごとに弔う。
多くのアイヌは掘り起こした場所に遺骨を返さず、違う場所に集めることに反発している。「盗んだものは土に還せ」と遺骨返還を求める裁判が道内で次々と起こった。ところが、日本の民法は遺骨の引き取りを遺族(祭祀継承者)に限定し、アイヌが求める集団や地域への返還を認めていない。このことが裁判を長期化させる最大の要因となっている。
宮城がさらに続ける。
「日本の国内法は国際法に追いついていない。近代国民国家や植民地主義が形成されていく過程で、北(アイヌ)と南(琉球)を侵略したことを国家として全く無視し顧みないからこうした矛盾が生じるのです。裁判所は民法に従って返還できないとする判決しか書けない。そうした判決を下すと国際法に反する。だから和解という形で2016年に遺骨が返還されることになりました」
沖縄でも琉球人遺骨の返還を求める動きが広がり、照屋寛徳衆院議員が翌2017年9月、国政調査権に基づき、京都大学への照会を文科省に請求。同大学総合博物館の収蔵室で琉球人骨を保管していることを初めて認めたのである。さらに冒頭でも触れたように、国立台湾大学は今年3月、沖縄から持ち出された遺骨63体を沖縄側に返還した。
「琉球処分」から140年の節目の今年、政府が実行すべきこと
宮城は言う。
「琉球人遺骨の返還問題は、琉球併合や沖縄戦、戦後の米国統治、現在の在沖米軍基地問題などにより、国家によって琉球人の自己決定権が侵害されてきたことと地続きの問題であり、全国各地の旧帝国大学に保管されているとみられる琉球人遺骨の全容が明らかにされ、その全てが返還されるまで人権が侵害された状態は続く。日本政府や旧帝国大学の関係者はこの問題に正面から向き合い、応える必要がある」
沖縄は今年、琉球国が日本に併合された1879年の「琉球処分」から140年の節目を迎えた。
宮城が指摘するように「琉球処分」以降、沖縄の人々は沖縄戦やその後27年に及ぶ米軍統治、米軍基地を抱えたままの本土復帰など苦難の道を歩んだ。そして今、県民投票で7割超が辺野古埋め立てに反対したが、日本政府は民意を一顧だにせず、新基地建設工事を続けている。(文中敬称略)
https://president.jp/articles/-/28508

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フィリピン:30名の先住民女性、技術教育技能開発庁の家畜生産育成プログラムを受ける

2019-04-26 | 先住民族関連
DIGIMA NEWS2019年4月26日

技術教育技能開発庁(Technical Education and Skills Development Authority:以下TESDA)のダバオ・オクシデンタル州オフィスは、地元のルマド族女性30名に対して、適切な家畜の取扱および生産の訓練プログラムを提供することを発表。ルマドとはフィリピン南部の先住民の総称である。
訓練生は8つのグループに分かれ、そこからさらに技能訓練に基づいて3つの班に分けられる。4グループで構成された1班は山羊の飼育・生産の訓練、2グループの2班は豚生産の訓練、そして最後の班は鶏肉生産のプロジェクトをそれぞれ行うとのこと。
同オフィスのAlfredo V. Panuela Jr.氏は、コミュニティベースの技能訓練プログラム下で、ライフスキル能力や起業家トレーニングを実施していくと述べ、同訓練プログラムは「上記課程を満足に受けられない”社会的に無視された”人々への訓練提供」を目的としていると説明した。
なお、同氏は本プログラムが元々は訓練生に対し生活を与えることを意図していたことを明らかにし、結果的に彼女たちの雇用も決まれば素晴らしいと語った。
ソース:https://davawatch.com/articles/2019/04/23/13784.html
https://www.digima-news.com/20190426_47836

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北方領土「日本人が知らない」真実、占領の黒幕・返還交渉の矛盾…

2019-04-26 | アイヌ民族関連
ダイヤモンドオンライン 4/26(金) 6:01配信
 ロシアにとっては「南方領土」 北方領土と日本の複雑すぎる関係
 「今、日本でニュースになっているクリル列島(千島列島)の問題をどう思いますか。日本じゃ北方領土と呼ぶのだけれど……」
 1月末、モスクワでの首脳会談に合わせて旧島民たちの取材に訪れた筆者は、北海道根室市のラーメン店で、隣に座った若いロシア人男性に拙いロシア語でこう尋ねた。サハリンから商売に来ていた体格のよい男は、「北方領土ではないよ。あの島は絶対に我国の『南方領土』なんだ。でも日本はいい国だよ。仲良くしたいね」と笑った。
 安倍首相とプーチン大統領による日ロ首脳会談の度に取り沙汰される北方領土問題だが、3月15日、ロシアの『コメルサント』紙が「大きく交渉スピードが後退した」とプーチン大統領が発言していたことを報じた。足もとでは、5月上旬の対ロ協議を前に、河野太郎外相が国会答弁においてロシア側を刺激しない配慮を見せるなど、交渉の「難しさ」が伝わってくる。
 近づいたとか思うと離れるブーメランのような「北方領土」とは、日本人にとってどんな存在なのか。筆者が若き記者時代から関わったこのテーマについて、まずは地理や歴史などの基本事項を解説したい。
 背の低い白い灯台が立つ根室半島先端の納沙布岬。眼下の岩礁にはかつて作家の三島由紀夫を信奉する国粋主義団体「楯の会」がペンキで描いた「千島を返せ」の文字があったが、積年の波で消えている。沖へ視線をやると、水平線上にまっ平で樹木の1本もない不思議な水晶島が見える。貝殻島の「日本時代」からの古い灯台が見える。右には勇留(ゆり)島。いずれもロシアの実効支配下にある歯舞群島の1つだ。
 「うわあ、ロシアが見えるなんて」-――。若いカップルが驚いていたが、寒がって車に引っ込んでしまった。夏のシーズンは濃霧で見にくいため寒い時期がいいのだが、この地域の冬の寒さは半端ではない。見えていた数隻の漁船は、あまりの近さに日本の船かと思いたくなるが、潜水でウニを採るロシアの船である。ここから日露の海上の「中間ライン」(固有の領土、領海を主張してきた国は国境とは言えない)はわずか1.7キロだ。
 「ロシア人はウニなんて食べないから、みんな日本に売るんです。この寒いのによく潜るよ」とは食堂兼土産物店「請望苑」を経営する竹村秀夫さんだ。訪問者たちの「北方領土って、こんなに近かったんですか」の言葉に地元民は辟易しているが、北海道旅行も根室まで行く人は少ないから、それも仕方がない。
 北方領土は、北から択捉島、国後島、並列する歯舞諸島と色丹島の「4島」だが、沖縄本島より大きい最大の択捉島と2番目に大きい国後島が、全面積の93%を占める。国後島は根室市からも見えるが、標津町からはより近く、好天なら主峰の爺々岳も見える。
 北方領土をめぐる国際的な取り決めの柱は、(1)1855年の日露通交(和親)条約、(2)1875年の千島樺太交換条約、(3)1904年のポーツマス条約、(4)1951年のサンフランシスコ講和条約、そして(5)1956年の日ソ共同宣言だろう。日ロ間における北方領土を巡るターニングポイントについて、おさらいしてみよう。
● 開国時にロシアだけは 友好な態度だった
 1855年2月7日、江戸幕府はロシア帝国と「日露通好条約」を結ぶ。「日露和親条約」ともいう。ロシア語では「貿易と国境の条約」だが、日本語では「貿易」も「国境」も消え、和親だとか通好とか、わけのわからぬ言葉になる。
 このとき、ニコライ一世の訓令・プチャーチン提督と対峙したのが、幕府の川路聖謨(かわじ・としあきら)という旗本。NHKの元モスクワ支局長の石川一洋解説委員は、2月に鳥取県倉吉市に招かれた講演会で、川路について「優れた人でしたが、ロシアの交渉団が彼の写真を撮ろうとしたら固辞した。『私のような醜男が貴国に紹介されては日本の恥です』と言ったのです」と素朴な人柄を紹介した。川路は戊辰戦争で幕府軍に殉じて自決した。
 この時期、米国のペリー提督が軍艦を連ねて開国を迫るなど、欧米列強が「鎖国日本」を力でこじ開けようとしたが、石川氏は「ロシアだけは非常に友好的な態度で日本に接してきたのです」と強調した。確かにその通りだ。
 この条約で国境線が得撫(ウルップ)島と択捉島の間とされ、樺太は「日露混住の地」となるが、20年後の1875年、ペテルブルグ(今のサンクトぺテルブルグ)で締結された「千島樺太交換条約」で、樺太は全島がロシア領、千島列島すべてが日本領となる。日本は大政奉還から7年目の明治8年、ロシア側は革命で銃殺されるロマノフ王朝最後の皇帝ニコライ二世の父、アレクサンドル三世の時代だ。
 20世紀初頭、日露戦争で日本が勝利し、1905年に「ポーツマス条約」で樺太の南半分が日本領となる。これはロシア人にとって大変な屈辱だった。南樺太のロシア人は北緯50度以北へ追いやられ、代わりに日本の開拓団が多数樺太へ移住し、石炭生産、製紙産業、林業、農業、漁業などを繁栄させた。樺太や千島の日本人は、第二次大戦末期に日本本土の人たちが空襲などに苦しんでいた頃も平和を謳歌した。
 それが破られたのが、ポツダム宣言受諾後の1945年8月。日ソ中立条約を一方的に破ったソ連軍が、満州、樺太、北方領土へ侵攻したのだ。戦闘らしい戦闘もなかった北方領土では、樺太や満州のような悲劇は少ないが、金品を奪うソ連軍との諍いや、本土への脱走時に船が銃撃を受けるなどして、幾人かが命を落とした。
 その後、色丹島などでは2年間ほど日露混住の時代もあった。色丹島の混住時代に小学生時代を過ごした得能宏さん(85)は、「先生は怖がっていたけれど、ロシア兵が黒板のほうに来て、生徒の算数の間違いを直してくれた」と振り返る。
 最終的に4島から日本人すべてが追われた。根室や羅臼などに裸一貫で引き揚げた彼らの戦後の苦労は想像に難くない。
● 意外に知られていない サンフランシスコ平和会議での失態
 ソ連の対日参戦は1945年2月の米、英、ソのヤルタ会談で密かに決められた。戦争を早期終結させ、米兵の犠牲を減らしたいルーズベルト・米国大統領の求めによるものだが、スターリン・ソ連書記長の談話録には「問題が起きているわけではない日本と戦争することに国民は納得しない」と、代償に領土拡大を求める巧みな会話が残されている。
 後にスターリンは、釧路と留萌を結ぶライン以北の北海道の北半分までも要求したが、米国が拒否した。実現していたら北海道は今頃、どうなっていたのだろうか。
 1951年、米国との単独講和だったサンフランシスコ平和条約で、日本は「クリルアイランズ(千島列島)」を放棄した。実はこのときに、現在に至るまで禍根を残す失態が生じる。批准国会で野党議員に「放棄した千島に国後や択捉を含むのか」と訊かれた西村熊雄条約局長が、「含む」と答えてしまったのだ。
 外務省はこの大失敗に触れられることを今も嫌がるが、和田春樹・東大名誉教授(ロシア史)は「どんなにつらくとも、放棄したことを認めて交渉すべきだ」と話す。外務省は、「サ条約にはソ連が参加していないから、ロシアのものとされたわけではない」としている。
 1956年、鳩山一郎首相とソ連のブルガーニン首相との間で「日ソ共同宣言」が締結された。今、盛んにニュースになっている史実だ。「平和条約締結後に、色丹島と歯舞諸島は日本に引き渡すとされた」が、「引き渡す」(ロシア語では「ペレダーチ」)とは、「返す」ではなく、「私の物ですが差し上げます」というニュアンスだった。
 結局、平和条約を結べないまま、世界は冷戦時代に突入。日本を自由主義陣営に引き込みたい米国のダレス国務長官が、「歯舞・色丹の返還を目指してソ連と平和条約を結ぶなら、沖縄を永久に占領する」とした有名な「恫喝」が大きな楔だった。
 そして、1960年の日米安保条約延長でソ連は態度を硬化し、「領土問題は解決済み」とされる。1973年、田中角栄首相がブレジネフ書記長に「両国間の未解決諸問題」に領土問題が含まれることを認めさせたが、その後進展はなかった。80年代にゴルバチョフ政権が誕生し、91年にソ連が崩壊、続くエリツィン政権ではロシアが一旦態度を軟化させたものの、日本は何度も好機を逃してきた(これについては、後述する)。
 日本人の最も身近にある国際問題の1つ、北方領土問題はこうした経緯を辿って来たのである。
● 忘れられがちな史実 本当の先住民は誰だったのか
 2月7日、筆者は大阪は中の島公会堂の「北方領土返還要求大会」に出かけた。入り口で「アイヌ民族抜きで交渉を進めることはおかしい」と抗議の横断幕を掲げる人たちがいた。
 北方領土史で忘れられがちなのは、「本当の先住民は誰だったのか」だ。筆者は1980年代、北海道で知り合いのソ連担当の公安関係者から、「ソ連の学者たちが北海道のアイヌ民族の存在を口実に、北方領土が古来、自分たちの領土だったことにしようとしている」と聞いた経験がある。アイヌはロシア側にも居ることをテコに、「日本人より先にロシアのアイヌが千島にいた」として、日本が主張する「固有の領土」を否定しようとし、「AS協会」という組織を立ち上げたと、といった話だった。
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20190426-00201097-diamond-soci

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東京メトロ早稲田駅構内に電飾ボード 早稲田大学のミュージアム4施設を紹介 /東京

2019-04-26 | アイヌ民族関連
みんなの経済新聞4/25(木) 15:30配信
 早稲田大学の4つのミュージアムを紹介する電飾ボードが3月22日、東京メトロ早稲田駅構内に設置された。(高田馬場経済新聞)
 キャンパスそのものをミュージアム化することを目標の一つにしている早稲田大学。現在、キャンパス内には「坪内博士記念演劇博物館」「會津八一記念博物館」「早稲田大学歴史館」「早稲田スポーツミュージアム」のミュージアム4施設がある。
 「坪内博士記念演劇博物館」は、アジアで唯一の演劇専門総合博物館で、坪内逍遙の古希と「シェイクスピア全集」の翻訳完成を記念して、1928(昭和3年)年に開館。国内外の演劇・映像関連資料を約100万点所蔵し、演劇講座イベントも多数開催している。現在はバリアフリー化のためのエレベーター設置工事中で9月27日まで休館している。
 「會津八一記念博物館」は、會津八一コレクションを柱の一つとするほか、考古学の発掘資料、アイヌ民族資料、校友からの寄贈をはじめ、富岡重憲コレクションなど、多くの収集家のコレクションの寄贈を受けている。昨年5月に開館20周年を迎えた。3月末まで行われていた全面改修でグランドギャラリー(常設・企画大展示室)、近代美術展示室、會津八一記念コレクション展示室を新設。寄贈も多く受けており、現在収蔵品は約2万件近くに上る。
 「早稲田大学歴史館」は、開学以来の早稲田大学の現在・過去・未来に関する情報や資料を、デジタル媒体なども活用しつつ展示する。早稲田グッズショップやカフェを併設し、単に展示を見て終わるだけでなく「いつでも立ち寄って楽しめるミュージアム」を目指しているという。
 「早稲田スポーツミュージアム」は、3月20日にオープンした新しい施設。長い歴史を誇る「早稲田スポーツ」の栄光のシーンやエピソードを写真や映像で展示している。実際に競技で使用したユニホームなどもそろえる。体育各部の資料を交代で展示するコーナーもあり、来館する度に新たな発見があるよう工夫を凝らす。
 早稲田駅構内の電飾ボードは、高田馬場駅方面の2番線ホームに早稲田スポーツミュージアムの開館を記念して設置された。施設の写真とともにミュージアムの簡単な所在地とオープン日などを記載している。
 4つのミュージアムをより多くの人に知ってもらうため、5月20日~31日に「Museum Week 2019」を開催する。博物館を舞台にしたワードパズル、フォトスポットラリー、似顔絵体験などのイベントのほか、早大生によるライブやコンサートも行われる。「ミュージアムウィークTシャツ」をはじめとする限定オリジナルグッズも複数用意する。
 早稲田大学文化企画課の武笠真結さんは「4つのミュージアムの電飾ボードは卒業式と入学式に間に合わせる形で掲出した。多くの人にご協力いただいたおかげで、卒業式に間に合い、卒業生や保護者に見ていただくことができた。この1カ月で反響も感じている。この一年間で新たにオープンしたり、リニューアルしたり、新しくなった早稲田大学のミュージアムに興味を持ってもらえるきっかけになるとうれしい」と話す。
 電飾ボードのデザインを手掛けた早稲田大学OBで、地元メディア「ジモア」を運営するCOCOLONEの岡本匡弘社長は「早稲田大学OBとしても地元メディアを運営する身としても、今回の電飾看板のデザイン制作に携われたことはとても光栄に思う。学生の時には演劇博物館さえも入ったことがなかったが、卒業してから各ミュージアムを見学し、歴史ある大学だからこそ存在する貴重な資料や魅力的な企画展が数多くあることを知り、個人的にも時々訪れている。今回の早稲田駅の広告を通じて、在校生や卒業生、近隣の人にもっと4つのミュージアムの存在を知ってもらえるきっかけになれば」と話す。
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190425-00000038-minkei-l13

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社説[アイヌ新法成立]民族復権につなげたい

2019-04-25 | アイヌ民族関連
沖縄タイムス2019年4月24日 08:06
 アイヌ民族を初めて「先住民族」と明記した新法「アイヌ民族支援法」が国会で成立した。北海道旧土人保護法が廃止され、アイヌ文化振興法ができたが、新法は振興法に代わるものである。
 新法は「アイヌの人々が民族としての誇りを持って生活することができ、その誇りが尊重される社会の実現を図る」ことをうたっている。
 アイヌであることを理由に差別や権利侵害をしてはならないことを明記し、アイヌ政策を国や自治体の責務と定めている。市町村が産業、観光などアイヌ文化を生かした地域振興策を作ると、国が交付金を支出するのが柱だ。
 1899年に制定され1997年まで続いた「北海道旧土人保護法」による同化政策で、アイヌ民族は土地を奪われ、狩猟や漁業が制限された。日本語を強制され、独自文化も衰退した。言葉が奪われる政策は沖縄を想起させる。
 新法は先住民族への配慮を求める国際的な要請の高まりに応えたものである。2007年に国連で「先住民族の権利宣言」が採択され、08年には衆参両院で「アイヌ民族を先住民族とすることを求める決議」が採択された。
 新法には国連宣言で民族の権利とされた自決権や教育権などが盛り込まれず、付帯決議で国連宣言を尊重するよう政府に求めるにとどまった。
 民族儀式に使う林産物の国有林での採取や河川での伝統的なサケ漁の許可を簡素化するが、本来はアイヌ民族が奪われた土地や資源である。新法には先住民族の権利は明記されておらず、国際水準からは程遠い。
    ■    ■
 アイヌ民族に対するいわれのない差別や生活・教育格差は依然、存在する。新法に生活・教育支援は盛り込まれておらず、充実を求めたい。
 アイヌ民族が居住する道内63市町村を対象にした「アイヌ生活実態調査」(17年)によると、アイヌの人たちの生活保護率は居住市町村の平均を超えており、大学進学率は12・5ポイント低い。
 「差別を受けたことがある」「他人が受けたのを知っている」を合わせると、36・3%に上る。一方、内閣府が昨年8月に発表した「アイヌ政策に関する世論調査」によると、明治以降、アイヌの人たちが非常に貧しく、独自の文化を制限された生活を余儀なくされたことを知っている人は4割にすぎない。
 差別解消やアイヌ民族の苦難の歴史を国民に知らせるのは政府の責任においてなされなければならない。
    ■    ■
 北海道白老町に「民族共生象徴空間」を建設し、復興・発展の拠点とすることも柱である。愛称はウポポイで大勢で歌うという意味だ。国立アイヌ民族博物館、アイヌ文化を体感できる国立民族共生公園、慰霊施設を整備する。
 政府は東京五輪・パラリンピックに先立つ20年4月にオープンする予定だ。初年度は100万人の来場を見込んでいる。観光重視の姿勢であることが気になる。
 アイヌ民族の尊厳と民族復権につながる空間でなければならない。私たちもアイヌ民族について学びを深めたい。
https://www.okinawatimes.co.jp/articles/-/412772

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<ウポポイ 共生の森開設へ>アイヌ文化振興へ道とキヨスク協定 開設まで1年

2019-04-25 | アイヌ民族関連
北海道新聞 04/24 23:18
 国が胆振管内白老町に整備するアイヌ文化復興拠点「民族共生象徴空間(ウポポイ)」の開設まで1年となった24日、道と北海道キヨスク(札幌)はアイヌ文化の振興に関する連携協定を結んだ。ラベルにアイヌ文様を施した水の販売や売上金の一部寄付などを通じ、ウポポイを後押しする。
 道がアイヌ文化の振興に関する協定を企業と結ぶのは初めて。協定に基づき、キヨスクが同日発売した「北海道大雪山の天然水」にウポポイをPRするラベルを掲載するほか、アイヌ服飾研究家の津田命子さんが監修した文様もあしらった。売上金の一部は、ウポポイの運営主体となるアイヌ民族文化財団に寄付する。
 この日は、同社の栗原進社長と道環境生活部の長橋聡アイヌ政策監がJR札幌駅構内で協定書に署名。栗原社長は「微力ながらアイヌ文化の振興やウポポイのPRに貢献できれば」と話した。天然水は1本110円。道内30カ所の売店「キヨスク」などで販売する。(斉藤千絵)
https://www.hokkaido-np.co.jp/article/299732

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