ベルナール・ビュフェ回顧展 私が生きた時代 in Bunkamuraザ・ミュージアム

戦後、フランスを代表する具象画家、ベルナール・ビュフェ。
黒く太い輪郭線と尖った先端は、マンガ「カイジ」を思い出します。こっちの方が先か（笑）
ビュフェ絵は好きなのですが、だらと言って彼の人生を熱心に調べる気もなく、回顧展が開かれたのは全貌を知るには良い機会となりました。


工場経営に忙しい父親とのは疎遠の関係。唯一の心の支えであった母を10代で亡くし、引きこもり陰キャの少年が、新人賞・批評家賞を受賞する天才画家となるのでした。

初期の頃は、この不遇な環境と戦争の不安から、グレーな背景色をベースにした鬱な作品群でしたが、やがて明るさを取り戻し、カラフルな作風になります。
初期の頃は、存在の不安と不条理の作風が、サルトルやカミュの思想と共通するものがあり、「実存主義の画家」と呼ばれていました。

1997年にはパーキンソン病を患います。「絵画は私の命です。これを取り上げられてしまったら生きていけないでしょう」と言っています。
死を予測したビュフェは、1999年5月「死」シリーズを完成させ、10月に自ら命を絶ちます。
この動画の最後、「死16」が登場します。しかし、恐怖や不安よりも死に対して正面から肯定的にとらえた絵のように見えます。骸骨の目が清々しい。悟りを開いたように見受けられます。