パールライスのつれづれなるままに

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上村松園-美人画の精華- at 山種美術館

2017年09月25日 | アート・文化
飲み屋で人の苦労話とか、過去の業績を自慢されても、「そうですか(棒」程度なのですが、この上村松園の画を見ると、真摯に向き合わざるを得なくなります。
美人画なのですが、凛とした美しさを感じます。「ただ可愛いだけじゃ生きていけないんだよ、人生の苦労を乗り越えて後、この美しさ・仕草なんだよ。」と逆に説教されてしまわれそうです。


ちょっと分かりずらいですが、目。虹彩は茶色ですが、瞳は小さな黒い丸で描かれています。この瞳なのですが、まん丸ではなくて、上目遣いで、円の下半分だけ描かれています。下から睨めつけている感じかな。
これはもう、「なめんなよ、コラ」と言っている気がする。それくらい気丈な女性たちに見えます。


これは、作者、上村松園(明治8年~昭和24年)の人生そのものではないかと。
簡単に箇条書きにすると、
1.茶屋の次女として生まれるのですが、その誕生2か月前に父を亡くしています。
 →母仲子は女手一つで松園と姉、二人の娘を育て上げます。
2.明治時代に女性が画家になることは、常識外れだった。
 →絵筆一本で家族を支えた。
3.生涯独身。しかし息子(上村松篁)がいる。父親の名前は不明。事実は生涯明かさなかった。
 →あの当時、私生児を生んで育てた、と言うことです。
4.昭和19年、帝室技芸員。女性では2番目。
5.昭和23年、 文化勲章受章(女性として初)
 →日本の芸術業界はいかに男尊女卑であったか。

とまあ、世間にツッパって生きた人生です。その芯の太さ・根性たるや、賞賛に値します。


この間、日本画壇は大きく変化していくのですが、それにも関わらず一貫して同じ作画スタイルを貫き通したその姿勢、そして人生。
まさにパンクですな。
そんじょそこらの男なんて、もう歯が立ちません。私も同様。
それが絵に表れていると言ってもよいでしょう。


松園が言った言葉
「一点の卑俗なところもなく、清澄な感じのする香高い珠玉のような絵」
「真・善・美の極致に達した本格的な美人画」


まさにそれにこちらが嵌まってしまうほどのエネルギーを絵から感じます。
並みじゃねぇよ、松園は。

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