共 結 来 縁 ~ あるヴァイオリン&ヴィオラ講師の戯言 ~

山川異域、風月同天、寄諸仏子、共結来縁…山川の域異れど、風月は同天にあり、諸仏の縁に寄りたる者、来たれる縁を共に結ばむ

巨匠も認めた妙なる音色

2016年05月15日 23時35分41秒 | 日記
今日は昨日に引き続き成瀬でのライブがあり、その後みらいあいこさんと一緒に本厚木に移動して、次回のライブの打ち合わせがてら《Cafeあつめ木》にお邪魔しました。

今日お邪魔したら、メインエントランスのドアにドアチャイムが付けられていました。ドアが開くとシャラシャラ…と妙なる音色を立てて、スタッフさんに来客を知らせます。

実はこれは『明珍火箸風鈴』というもので、囲炉裏や火鉢で使う火箸を吊るして風鈴にしたものです。

兵庫県姫路市に明珍家という御家があります。この御家は代々甲冑師を務めていましたが、明治新政府の発布した廃刀令に伴って刀剣や甲冑を作ることが禁じられ、明珍家も職を失ってしまいました。そこで当時の明珍家御当主は、それまで培った錬鉄技術を活かして火箸や農機具といった鉄製品を作って家業を存続させる道を選びました。

戦後になって家庭内から火鉢が姿を消すと、火箸の需要も無くなっていきました。いよいよ御家存続如何ばかりか…と思われた時、思わぬところから需要が舞い込みました。

この火箸を打ち鳴らすと、独自の鋼の配合によって高く澄んだ音が響きます。その音色に着目したのが、実は先日他界された故冨田勲氏だったのです。冨田氏の新作に使われた明珍火箸は、その妙なる音色によって話題となり、国内外の作曲家の作品にも使われることになりました。それを応用して作られたのが、この明珍火箸風鈴です。

この明珍火箸風鈴は、昨年まで我が家の室内の窓際に吊るしていたものです。何しろ材料が材料なので、外に吊るして雨に当たったりすると錆びてしまうので、室内で使わざるを得なかったのです。それで、今回《Cafeあつめ木》がリニューアルオープンするにあたって、

『室内で使っていたものなのだから、もしかしたらお役に立つかも…』

と思い立って差し上げました。今日それが、こうしたかたちで活用されているのを拝見して安堵しました。どんな音がするのかは、実際に御来店の上お確かめ下さい。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする