晩秋の夕暮れ、福井県三国港。
ここは福井県随一の河川、九頭竜川の河口に開けた港で
日本海の荒波の影響を受けることが少ないことから、
穏やかな海の夕景を撮るポイントのひとつにしている。
そして、夕陽に照らされた水面の中、
点在するテトラポットで羽休めをする鳥たちも、
穏やかさを演出する手助けをしてくれたようだ。
ところが、一方でこの光景。
別の場所か、と見まがうようだが、実は、同じく三国港。
しかも同日、同時間の写真。
渚に据えた望遠レンズをほんの少し横に振っただけで海は別の表情を見せる。
先の穏やかな海は突堤の内側、そして後の写真は外海。
すなわち、この時期から徐々に強くなる北西の風を受け始めた日本海で、
時折、大きな波が突堤を打ちつけている。
「突堤が物理的に海を分けている。」
そう言ってしまえばそれまでだが、
秋と冬、日本海を往き交う季節を映す対照的な光景と、情緒的に感じた次第である。
さて、突堤付近に広がる海をひいた画角に凝縮してみた。
日本海を往き交う「季節」を感じていただけたなら幸いと思う。
11月9日の空倶楽部でも、同じ日に撮った穏やかな三国港の様子を紹介した。
そのとき、折にふれての音楽として使ったのが、
レオン・ラッセルの「ソング・フォー・ユー」だった。
ところが、それからほどなく彼の訃報が届いた。
残念としかいいようがなく、その気持ちの表現として、
彼が残した名曲を紹介することにした。
Carpenters - Superstar
ラジオから流れてくる大好きなスターの曲。そのスターに恋い焦がれる乙女心を、
美しいメロディにのせてカレン・カーペンターがしっとりと聴かせてくれる。
レオン・ラッセルという人は、容姿や声色から受ける泥臭い雰囲気からは想像もできないほど、
繊細な心の持ち主だったのだろう。