「9」のつく日は空倶楽部の日。
居座った寒波がようやく抜けた日曜日。
朝のうちはまだ雪雲が残り、風も冷たかったものの、
次第に天候は回復し、午後からは快晴の空が広がった。
待ちに待った貴重な冬の空。
その理由はこの光景に出会いたかったからだ。
Sony α99 G 70-200㎜ (f/8,1/500sec,ISO400)
石川県加賀市、柴山潟越しに仰ぐ白山。
冬のわずかな晴れ間にだけ真っ白に雪化粧した姿を見せてくれる。
おそらくは「白山」としか名づけようがなかった姿、
そして、その神々しさ、霊峰と呼ばれる由縁でもある。
子供の頃は単に馴れ親しんだ眺めでしかなかったが、
ふるさとを離れたある時期からというもの、
冬の白山は特別な光景へと変わっていった。
その頃、冬の帰省のたびに白山を眺めてつぶやいた歌が...
ふるさとの山に向かひて 言ふことなし ふるさとの山はありがたきかな
ふるさとを離れた石川啄木が思い描いた岩手山の情景と伝えられるが、
自分にとってのそれは白山だった。
いや自分だけではない。
進学や仕事でいったんふるさとを離れた友人知人に聞くと
一様に白山に対する思い入れが強くなっていったそうだ。
つまりは石川県人、とりわけ加賀地方にに住む人々にとっての白山は
懐かしくも、そして「ありがたい」存在なのである。
もう10年以上も前だったろうか、
井上靖の小説「氷壁」をNHKがドラマ化し、
その主題歌がこのFar Away(彼方の光)だった。
Libera Far away
神々しいヒマラヤの山々の映像にかぶさって流れるボーイ・ソプラノ。
その澄んだ歌声が印象的だった。