「9」のつく日は空倶楽部の日。
この時期、犀川河畔に現れる自分だけの光景がある。
金沢市犀川河畔 2021.03.27 12:00 Sony α7R3 F2.8G/70-200㎜ (70mm f/5.6,1/400sec , ISO100)
犀川大橋から河岸に沿って続く小道に桜並木がある。
見ごたえはあるが広く紹介されているわけではないので
桜目当てに訪れるのは地元の人でしかない。
例年なら並木が見える河川敷にシートを広げ
花見を楽しむ人たちも多いが
さすがに今は距離をとって散策する人が数組見受けられるだけだ。
道に沿ってソメイヨシノが立ち並ぶ風景など珍しくもないのだが
何年か前から、大きな空が広がる川景色と
その景色の中にアクセントのように入り込む桜が気になるようになった。
その時以来、桜が咲いたと聞くと
金沢城や兼六園など桜の名所はそっちのけで
まずはこの川岸にやって来る。
自分だけの「桜の光景」を楽しむためである。
ところで...。
この並木道には「犀星の道」という愛称が付けられている。
金沢が生んだ文豪、室生犀星に因んだものだ。
室生犀星はこの近くに生まれ、幼少期を過ごしている。
その名から想像できるように犀川を愛し
代表的な詩集にもこの川の記述を残している。
「うつくしき川は流れたり そのほとりに我は住みぬ」
その詩の全文を覚えていたわけではないが
この風景を眺めていたら、
ふと、冒頭の一節を思い出し、つぶやいてみたのだった。
叙情小曲集「犀川」
うつくしき川は流れたり
そのほとりに我は住みぬ
春は春、なつはなつの
花つける堤に座りて
こまやけき本のなさけと愛とを知りぬ
いまもその川ながれ
美しき微風ととも
蒼き波たたへたり
折にふれてでもないが...。
つい最近、ラジオから流れてきた懐かしい曲に
消えかかった記憶が鮮やかに蘇った。
PYG/花・太陽・雨
タイガースから沢田研二へ。
その間、ミッシング・リンク的に存在したスーパーグループ『PYG』の名曲。