久しぶりにLeica M6を持ち出した。
フィルムLeica晩年の名機(と思っている)で
それまでのM型Leicaと異なるのは露出計を内蔵したことだ。
とは言え、今のカメラでは当たり前のAE(自動露出)機能はない。
ファインダー内に表示されるふたつのインディケータの光り方をを参考に
絞りとシャッタースピードを設定する必要があるのだ。
つまり、撮影現場の明るさや被写体との距離、また被写体の動きなどから
絞りとシャッタースピードを判断しなければならないので
撮影に慣れるまでは試行錯誤が必要となる。
さらに、これまた今のカメラでは当たり前のAF(オートフォーカス:自動焦点)機能もなく
レンジファインダーを覗きながら、レンズのダイアルを回してピント合わせをしなければならない。
つまり、今のカメラならシャッターを押すだけで撮れる写真が
Leicaだとまずフィルムを巻き上げることから始めて
被写体に向け絞りとシャッタースピードを設定して
ピントを合わせた後でシャッターを押す。
とにかく面倒なのだが、それだけではない。
撮った写真をメールで誰かに送るなんてことはできないし
それ以前に写真の出来栄えをその場で確認することすらできない。
撮り終えたフィルムはいったん現像に出してネガにしたうえで
スキャナで読み取ってパソコンに取り込んでようやく陽の目を見る。
「どうして、そんな面倒なことを」と思う向きもあると思うが...それが楽しいのだ。
いくつもの手順を踏んで写真を撮る。
ところがその結果はすぐには確認できない。
そんな不自由さがあるからこそ、ネガが出来上がるまでが待ち遠しく、
出来栄えへの期待感が膨らんでいく。
純粋に撮影を楽しむ。そんな「写真生活」が再び始まったのだ。
さて、再開した「写真生活」の一端をご紹介。
その日は脈歴なく、訪れたそこかしこでシャッターを押した。
キリっとしたデジタル写真とは違って
どこかモコモコとした感じを受ける。
けれどもそれが「点」の集まりとは違うフィルム写真の味。
と、悦に入っているのは私だけかもしれないが。